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2025年12月31日21:45

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私はマクドの経営者に向かない

許せないのは「バーガー」

この日記でも再三述べたが、
僕は出来るだけ言葉の正確性を求める性質がある。
だから、ハンバーガーを「バーガー」と略して呼ぶことに抵抗がある。
無論、「バーガー」がハンバーガーの略語である事は十分に理解した上で、である。

「ハンバーガー」の定義は
ハンバーグステーキをパン(バンズ)で挟んだもの、であるが
このハンバーグステーキが名前の中心である。
これを「バーガー」と呼ぶのである。

しかし、「ハンバーグステーキ」とは、何かというと
ハンブルク風ステーキである。
ハンブルクとはご存じ、ドイツ北部にある大都市で
ここで普及したタルタルステーキの進化系である牛肉料理を
我々も「ハンバーグ」として現在も楽しんでいる筈だ。
その「タルタルステーキ」というのは肉の粗挽きしたものを
成型した或いは塊にしたものにソースをかけて頂く料理である。

おや、とお気付きかも知れないが
「タルタルステーキ」はこれまたタタール人風のステーキという意味で
古代に征西してきたタタール人が食べていた料理である。
その「タタール人」とは地域により定義が変わるのだが、
ヨーロッパから見ると、13世紀のモンゴル帝国の襲来の折に
各地に成立した現地国家で進んだ混血による「東方民族」の総称である。
牛または馬肉を彼らが食べていたので、それらの挽肉料理を
タルタルステーキと呼び、タルタルステーキっぽいハンブルクのステーキを
ハンバーグステーキとしたのである。

つまり、「バーガー」とは
「東京」を「京」としちゃうような略し方になるのである。

別にいいじゃない、と言われそうだが
「東京ラーメン」の略称が「京めん」だと良くないだろう。
ラーメンのような汁そばの総称が「キョー(京)」だと変だろう。

例えば、ソーセージも
フランクフルト風ソーセージは「フランクフルト」
オーストリアのウィーン風ソーセージは「ウィンナー」
肉料理だけではない。
コーヒーだって飲み方次第で地名が付く。
「ウィーン風」は「ウィンナーコーヒー」と言う。
豆に至っては産地の地名がいっぱい付く。
例えば「モカ」というコーヒーの種類は
イエメン産とエチオピア産があるのだが、
要は一大拠点であるイエメンの「モカ港」から出荷されるのである。
その中でイエメン産のモカを「モカ・マタリ」と呼ぶのである。

ね?ちゃんと意味も由来もあるのが
食べ物の名前の意味だと信じている理由も分かるだろう?
「パルメザン・チーズ」だって
本来はパルミジャーノ・レッジャーノの粉末だったのに
いつの間にか「粉チーズ」と混ぜて呼ばれてしまっており
パルマ風ならそう呼べる、と解釈した人が
パルミジャーノ・レッジャーノに満たない熟成期間のチーズや
パルマとレッジャで作られたものしか認められない
「パルミジャーノ・レッジャーノ」しかそう呼ばせない地域では
「パルメザン」とすら呼べない代物である。

地名を冠する食品の名前は本当に大事なのである。

止せばいいのに、僕はそこにいちいち引っ掛かり
「何で、そんな略し方をするのだ」
と突っ込まずには居られないのである。

僕も仕事先では一応、管理職をしていて
あれやこれやと指導しているのだが
最近、「やめろ」とドヤした件がある。
若手部員が「バインダーを40冊」用意しろ、というのを
「40パイン、よろしく」
と言ったのである。
「バインダーは●冊と数えるだろうが」
「それで手短に伝わるんなら、良いじゃないですか」
とそんなやり取りをしたのである。

結果的に、彼の新呼称は定着し、
僕の部内では今でもバインダーをそうやって数えて呼ぶ。
僕ももう咎めないのである。
しかし、彼を中心に新しい言葉が次々と生まれている。
それを許す体制にあるのである。

仕事は近年、大きく行き詰まり、「新たな一手」を求めている。
僕の手札にはそれが無いのであり、現場から新手が
繰り出されることを期待しているのである。
今の時代は、この素軽さが無いといけないと思っている。
しかし、僕はこれを咎める役回りだと思っている。
これをスッと乗り越えられる「新手」を待っているのである。

しかし「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」は
自らを「ケンタ」と軽々しく呼び、
発売から20年以上続けて呼んだ「サンド」を「バーガー」に変えた。
この物議を醸した呼称変更は社内でも是非半々の
「問題の賭け」だったと聞く。
当時の社長が「半々なら話題にもなり、皆の意識も変わる」と
確信したから踏み切ったのだと聞く。
つまり、半分も「新しい呼び方、良いね」と言う意見があるなら、
と採用し、残り半分を踏み台にしたのである。
結果、話題になったぶん、市場からの注目をボーナスとして
見事に呼称変更は成功したのである。

僕はしかし、「バーガー」もどうかと思ったが
そもそも「KFC」を「ケンタ」と呼ぶことに引っかかった。
そもそも略称が州の名前である「ケンタッキー」だったのに
「州の名前」の略称がその略称だなんて
「略しすぎだろ」
となったのである。
「沖縄そば」の略称が「沖」で良いのかよ。
ケンタッキー州には他には何にもないのかよ、と。

今もテレビでCMが流れた。大阪土産「大阪花らんぐ」という、
お菓子のCMである。
小ぶりのラングドシャを数枚、花びらに見立てて並べた上に
チョコだかクリームだかをトッピングし、花のように成型した、
まあよく出来たお菓子である。自分のためには絶対買わないが、
手土産として買っても悪くないとは思っている。
ただ、このお菓子の誕生秘話が面白い。
まず販売元はあの「岩おこし」や「粟おこし」を作っている
どちらかというと和菓子の製菓店という点である。
「岩おこし」はが関東で言う「雷おこし」の源流にある菓子で
江戸時代に誕生した甘くて固いお菓子である。
この頃は京都・大阪が流行の最先端にあり、
「上方」と呼ばれて、関西で流行ったものが遅れて江戸で流行る、
という風潮があったのである。
というよりはごく近年までは東京は文化の集積地であって
「土地のもの」がごく少ない環境にあったので、
全国各地の名産品が集まって発展する傾向にあった。
江戸時代は言うに及ばず、先年の歴史を誇る都・京都に
強く引きずられる傾向が色濃くあったと思われる。
現在は本社本店が東京に移った老舗の企業の大半も
商売の起こりは関西だったというところが少なくないのである。

で、「大阪花らんぐ」が誕生したのは勿論の事、最近の話である。
渋すぎるだろ「岩おこし」って言われても。
という事で、老舗岩おこしメーカーが放った乾坤一擲がこの
「大阪花らんぐ」なのである。
既にネタバレしているが、
大阪名物「岩おこし」に代わる銘菓をと「大阪」の名を冠し、
花の形をさせているので「花」と入れた。
では「らんぐ」とは?
しかし既に小ぶりの「ラングドシャ」の存在は示唆している。
問題は、その「ラングドシャ」の意味である。
「Langue de Chat」とはフランスの伝統菓子である。
といっても日本でいえば江戸時代の生まれと聴くので
「岩おこし」と歴史の長さは大差ないのかも知れない。
そしてLangueとはフランス語で「舌」、Chatとは「猫」である。
小ぶりで可愛い菓子として「猫」の比喩が使われていて、
大ぶりの似た形のお菓子に「ラングドブッフ」というのもある。
「牛の舌」である。
つまり、「大阪花らんぐ」とは
「大阪の花状の舌」と言っているのと同義である。

この商品は、大阪の玄関口の新大阪駅のコンコース内に
結構大型の売り場を出し始めて、結構続いているので
商業的にも成功していると思われる。
この名前を多くの人が目にすることを意識しての出店であろう。
そして、老舗の土産物屋がこの商品名の意味を知らない筈がない。
つまり、ネーミングの違和感を乗り越えて、存在しているのだと思う。

まあ、いい。
兎に角、そのツッコミを超えて出てくる
面白いアイデアと呼び方は常に募集中なのである。
だが、常に抵抗勢力側に脳は傾いている。
僕には経営者は向いていないのである。

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