これは、ハリー・ハリソンによる同題のディストピアSF小説を、「ミクロの決死兼」のリチャード・フライシャー監督が、「猿の惑星」のチャールストン・ヘストン主演で、1973年に映画化したもの。
今年、デジタルリマスター版が劇場公開された。
2022年、ニューヨーク。人口爆発と資源の枯渇、そして地球温暖化による農業の壊滅により、4000万人の市民の過半数が失業し、週1回配給される食品を食べて細々と生きている。
配給されるのは大手食品会社のソンレント社が、海洋プランクトンを原料に製造した、と言う合成食品のソイレント・グリーンだ。
そんな中、富裕層が暮らす高級マンションで殺人事件があり、死刑殺人課の刑事・ソーンが現場に駆け付ける。被害者はソイレント社の重役で、警護担当は強盗だ、と見解を示したが、ソーンは違和感を感じて独自に捜査を始めて……
「ソイレント・グリーン」はSFとして有名で、内容は把握していたけれど、しっかり観た事がなく(TV放送時に観た記憶がある程度)、この度、リマスター版が公開されたと言うので鑑賞に臨んだ次第。
映画としては50年前のものなので、予測されて描かれた(当時の)未来社会である21世紀社会の描写は、今となっては物足りないが、当時の価値観の延長線上にあるものとして描かれる社会の様子はなかなか興味深い――主役であるソーンが「捜査」と称して、無断で侵入したり、物品を横領するのが当たり前のように描かれたり、また、高級マンションに「家具」として、若く美しい女性が配置されているなど、今となっては許されないような描写もある。さらに、地球温暖化と人口爆発による市民の貧困化が、社会を分断させて行く、と言う未来予測は的を得たものだろうし、「PLAN75」で話題となった高齢者安楽死施設を既に描いてもいる。
しかしながら、原作小説も含めて本作に対しては、「衝撃的」だとするソイレント・グリーンの原料がバレバレ、と言うのがある……農業も漁業もダメになっているなら、後は人を食うしかない、と言うのは、SF愛好者の間では、当然だろうと受け止められていたのだ。
むしろ、「人を食う」のを当然として、その賛否を問う物語とした方が、SFとしては見応えのあるものになったのではないだろうか?
ログインしてコメントを確認・投稿する