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の続き
で、昨年は第1四半期こそ「コロナモード」で仕事は減っていたが
会社ははっきりとは言わないが「ギリギリまで通常運転」に近づけたい。
そういう指標だけを出してくるだけである。
「Withコロナっちゅうことですか?」
とストレートに問うたところで明確な回答が得られるわけでは無い。
病院での各種検査の結果は「大きな異状は無し」だった。
血圧だけが上がっていて、「薬飲みましょうか」と言われた。
肺活量は標準よりも多く、窒素の含有量も問題ない。
つまり、呼吸は出来ているのに酸素が運べていない。
咳が止まらず、痰が多く分泌される。
それは喘息だと言うのである。
その診断は昨年の初夏である。
夏になる頃には咳は一応、収まりを見せ
睡眠はきっちり取れるようになった。
半年ぶりにぐっすり眠る心地好さを味わった僕は
可能な限り睡眠をとった。
お陰で体調はばっちりだが、喘息は小康状態と言ったところで
薬を飲み忘れたり、激しい運動をした時に
思いがけず咳き込んでしまうと、暫く止まらなくなる。
まぁ、良かろう。
僕の中ではそう処理されていた。
薬漬けの日々ではあったが、日常生活は何とか送れていたし
何より仕事が忙しくなると色々と充実感もあった。
そんな折に、ワクチン注射をする事になった。
仕事をする上でワクチンを接種していないと
従事できない仕事が幾つかあって
「それって、人権侵害じゃないですか」
との声が上がるのを防ぐため、予め僕が接種しておく必要があった。
当然である。ワクチン接種が無いと従事できない仕事は
最初から未接種者には回さないようにすれば
人権侵害は避けられるからである。
つまり、人権は尊重されるのである。
それで良いとは思わないが、ごちゃごちゃ議論して時間を浪費したくなかったのだ。
初夏のある日、僕を昇格させた上で九州に送り
再び大阪に呼び戻す時は降格させて自分の手元に置いたという
横暴且つ自己中心的な政治的立ち回りが得意だった上司が
とうとう昇格して東京に赴任する事になった。
新設された部署の統括者に彼のかつての上司が兼任していたので
いずれその席を貰って帰京するだろう読みは
周囲の誰もが随分前から容易に出来た。
だから、意外ではなかった。
僕は彼を表現すると悪し様に言ってしまうが、
別に彼が嫌いではない。というより分かりやすくて話が通じる人なので
どちらかと言えば与しやすいと思っている。
ただ、彼が目指す道は僕の目指す道ではないし
「サラリーマンだから」の意味が違っている。
組織は人間が構成していて、
出来る奴もいればポンコツの奴もいる。
同じ水準で同じ基準で同じ入社試験を通過した
同じ雇用形態の者なら水平に社員に要求しても
まぁ話が通じないわけでは無い。
だが、その時々の事情でその時々の試験をして採用した社員を
水平に切り取ったら、そりゃ切り口はバラバラだろう。
それを「サラリーマンだから」で束ねる事は無理なのである。
彼は僕が九州から戻るのと交代で、1年先輩の大ポンコツを
送り込んだのである。
「絶対に潰れてしまいますよ」
「そんな風に言うもんじゃない」
「彼の大阪での働きぶりを見てたんでしょう?」
「ポストが人を作るという事があるだろう」
上司は分かってて、彼を九州に送り込んだのである。
果たしてその大ポンコツは、10か月働いた後にギブアップして
異動希望を出した。
「平社員で良いから大阪の元の部署に戻りたい」
彼の希望は叶わなかったが、大阪の元居た部署の閑職にどうにか戻ってきた。
訊けば、異動前に酔った勢いで
先の偉くなった上司に暴言を吐いたらしい。
更迭で九州に行かされてクシャクシャに潰されて帰ってきたのである。
潰したのは彼ではなく、九州の劣悪な環境が潰したのである
兎に角、うちの部署はそんな感じのポンコツが溜まりに溜まっているのである。
僕の血圧はさらに上がる一方だった。
その上司の後任が、また面倒な人物だった。
それは僕の九州時代の上司である。
彼は良い意味で「イイ男」である。男っぷりが良い。
政治的立ち回りは得意ではなく、しかし色々と気が付くのだ。
それだけなら面倒ではないと思うだろう?
だが、大阪について何一つと言って良いくらい知らないのである。
「面倒みてやってくれ」
色んな上司にその「イイ男」の事を頼まれたが、
彼自身は面倒をみてもらう事を良しとしない男である。
とっても格好つけだからである。
僕は思うのだ、中身の伴わない権威や権力は却って面倒を呼ぶ。
彼が自分の知見で今の仕事を判断し立ち回れるのだとしたら
そんなに面倒だとは思わなかっただろう。
「なぁ、それは去年はどうだった」
「去年は僕と一緒に九州に居ましたよね」
「そういうことを訊いてるんじゃない」
「去年はコロナで中止、一昨年が最後の実績ですかね」
去年はその会話ばかりしていた。2年も前の資料を探すのは大変である。
僕の前任者は現場と最終的に対立していて、
必要以上の資料は作らなかった。
口頭では伝えきらない、現場で起きる細かい事は
現場に聴かねば分からない。
その現場も、コロナの間にごっそり入れ替わっているのである。
そんな馬鹿な話があるだろうか。
また僕の血圧は上がる。
そんな調子でかれこれ1年間、東奔西走して
初めて自分の組んだ予算で迎える年度が立ち上がった。
闘うための予算を組んでおり、休んでもダメージは少ない代わりに
誰かが欠員となると様々破綻が生じるリスクがある。
メンタル上問題のある社員がいつ退場しても問題ない構成にしているが
足りない人員は今後補充しないと「息切れ」必至である。
健康は大事だ。
僕は今夜も血圧と喘息の薬を服用してぐっすり眠る努力をしている。
おやすみなさい。
(了)
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