さて、ここ何回かTMのアルバムを紹介してきたが
87年2月に発売されたオリジナル4枚目は
小室芸術が一定の完成を見せた作品である。
ここまで何回も「迷走」と表現してきた小室の支離滅裂であったが
このアルバムに関しては多く我慢を重ねて制作したのだろうか、
完成度の非常に高いアルバムとなっている、但し。
それは小室が無理をして最新の洋楽の要素を思いつきレベルで取り込むのを
どうにかして止めたからである。
どうしてそれが言い切れるかと言うと、
初作アルバム「RAINBOW RAINBOW」から2作目「CHILDHOOD'S END」で
作品の傾向は劇的に変化したが、更に次作「GORILLA」で変質、
先に紹介した「humansystem」でも今作から大きく傾向を変え、
その次作「CAROL」に至っては完全に別物と化しているのである。
もっとも路線変更が小さいのが前作と今作の間であると見て取れるからである。
洋楽を邦楽に取り込む、という大雑把なコンセプトは変わらないものの
小室の天才的な雑食ぶりがここで留まったのには一つの理由がある。
不発が続いていた小室音楽だったが、86年初頭に渡辺美里の「My Revolution」と
今作のツアー中にリリースしたTMの「Get Wild」が立て続けにセールスを伸ばし
彼は間違いなく今作を作るまでの間に何かを掴んであるのである。
気を良くしたTMはこの年の秋にベスト盤と称した「Get Wild」初出のアルバム
「Gift For FANKS」をリリースし、過去を総ざらえする。
そして冬には間髪入れずに「humansystem」をリリースし、
実質、一年間で3枚のアルバムを「売った」事になる。
「売らんかな」と言えばそれまでだが、
TMは世間に受け入れられるものを連続して世に送り出したわけだから
その功績は大きかった。外見的なスタイルも肯定的に受け入れられ
一つのムーヴメントを作り出したのは間違いない。
85年には彼らは人気アニメのテーマソングとサウンドトラックを担当するという
チャンスをもらっていたのであるが、それが不発に終わった事で
商業バンド的には落伍者の烙印を押される寸前にまで追い込まれていたにも関わらず、
美里っちゃんと自らのヒットは当に起死回生であり、小室音楽の真髄が
完成したからだと言えるだろう。
どんなサウンドであっても、僅かに旋律を聴くだけでTMと分かり、
短いヴォーカルでTMと分かる。
或いは、他人の物を剽窃している筈なのに小室が世に送り出すサウンドは
やはり「小室のもの」と即判明する。
渡辺美里の楽曲でも分かるだろうが、アーティストが、或いは世間が
小室に求めているものは、「これ」というのが
彼は自在に繰り出させるようになったのである。
(もちろん、本人は苦労して捻り出しているのだが)
その「小室サウンド」が本作で完成したと分かるので
是非聴いてもらいたいものである。
旋律の部分は前作でも完成している。サウンドの部分である。
さて、小室王国が出来た経緯については先の日記でも述べたが、
有名な話だが、元居たバンドのリーダーが木根であり、
元居たバンドのヴォーカルが宇都宮である。
自分はそこから脱退して、
自分のバンドを作る時によく引き抜けたものである。
この時、キーボーディストだったはずの木根を
自らがキーボードなのに引き抜いた理由は、何故だったのだろうか
日本屈指の音痴の小室が宇都宮を引き抜いた理由は何となく察するところだが
木根を引き抜いた理由は不明である(或いは後述する)
有名な話だが、後日譚として木根は「エアギター」だった時代があるのである。
木根と宇都宮がギターを弾けているのか、映像で確認すると。。。(笑)
この頃、実際にギターで音を出していたのは
現在のB’zの松本である。これも有名な話。
与太話は限りが無いので、一旦これまでとしよう。
評価 ★★★★★
「Bang The Gong (Fanks Bang The Gongのテーマ)」
「Maria Club (百億の夜とクレオパトラの孤独)」
「Don't Let Me Cry (一千一秒物語)」
「Self Control (方舟に曳かれて)」
「All-Right All-Night (No Tears No blood)」
「Fighting (君のファイティング)」
「Time Passed Me By (夜の芝生)」
「Spanish Blue (遙か君を離れて)」
「Fool On The Planet (青く揺れる惑星に立って)」
「Here, There & Everywhere (冬の神話)」
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