mixiユーザー(id:6231411)

2021年06月16日23:28

78 view

恍惚の裏切りの感想の

昨日書きかけて書き切れなかった
「大豆田とわ子と三人の元夫」の感想だが、
作品全体に通じて同調性と違和感と
一定の圧力の不快感が綯交ぜにしたような感情が想起され、
何とも不思議な気分のままエンディングを迎えてしまった。
不思議な終わり方はこの脚本家の特徴だろうか。

簡単な略図の矢印や傍線では描き切れない人間関係と、
実にシンプルな出演者の構成。
シュールだがシュール過ぎず、
複雑だが端的なセリフで表現される登場人物たちの感情表現は、
脚本の坂元裕二がその個性を色濃く出している。

一方で、ドラマに投入されるのは
現実社会のさらに単純ならざる問題や
より単純ならざるトピックで
それらが「出口のない話題」を作り出し
怪しい締め括りにしてしまった感は否めない。

「カルテット」の時もそうだったのだが、
それまでの濃厚で濃密で作りこんだ設定やドラマを
いきなり棚上げにして
フワッと終わらせてしまう事で
「後は皆さんのご想像に」とでもしたいのだろうか。

格好良いパッケージで各話を包み込んでしまっているので、
どこか浮世離れしている部分はドラマとして許容されるが、
突然生々しく切り込んでくるディティールはかなり説得力があり、
それでいて結末は「ふわっと」或いは「ばっさり」として
観る側の想像力を使わせるのだ。

例えば、今作で最もパンチのある登場人物の一人だった
「かごめ」を前兆段階から細かく前振りを挟みながら、
突然「死なせて」しまう大胆さ。
不意に就任した社長職という設定なのに
部下の裏切りからM&Aの餌食とされて買収されそうになる。
こういう時って「ウルトラC」で買収を免れるという事はまず無いのだが、
本作ではそこは辛うじて回避する。

いや、そもそも初恋だの元夫だのが、
揃いも揃って独身マザーの眼前に次々と行儀良く登場するものだろうか。
現実社会の「たら、れば」を
これでもかと都合よく丁寧に並べて作り上げたこのドラマの魅力は、
誰にでもある何万分の一の偶然の混合物のような設定にある。

骨太の脚本家であれば、
一本筋の通ったストーリーに
細かいエピソードを付け加えていくパターンが王道であり、
観る者はそのメーンストーリーに沿って時系列を追っていくものなのだが、
本作は、否、坂元の近作はそこに固執しない特徴がある。

あらゆるドラマは、予定調和で構成されているのだが
彼の作品は予定調和を許さないのである。
それだけにフワッと終わらせるんじゃないかと
心配していたのだが、その通りになってしまった。
また、してやられた感である。
僕の敗北だ。存分に楽しんでしまった。
またよろしく頼みたい。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年06月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   

最近の日記

もっと見る