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2018年09月03日00:35

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黎明の包丁講座  その一 保管方法

私は高価な包丁を持ってはいないし、包丁さばきが得
意なわけでもない。だが、包丁の手入れや扱い方につ
いては徐々に知識を習得し、かなり研究もした。とい
うことで、この日記では主に鋼の包丁の扱い方と保管
方法について書く。

研ぎ方については満足できるものは少ないが、多くの
人が解説しているのでこの日記では触れない。

鋼の包丁は、基本的な研ぎと扱い方を習得すれば、人
生の友となってくれるほど素晴らしい道具だ。あまり
知識のなかった頃はせっかくの包丁をしばしば錆びさ
せてしまった。その都度、理由を考えて対策を施して
きた。

特に冒頭の写真の蕎麦切り包丁は何度も錆を浮かせて
しまい、その都度研ぎ直して保管方法を改善した。こ
の包丁は私が野鍛冶に依頼して作ってもらった特注品
なので、錆び付かせるわけにはゆかない。私が独自の
包丁保管方法を編み出すことができたのは、この包丁
のお陰でもある。

自慢の特注包丁をもう一度じっくりと見て頂こう(笑)。
フォト


鋼の包丁でも毎日使うものは使用後、洗って水を丁寧
に拭き取り風通しの良い場所に置けばよろしい。以下
伝授するのは鋼の包丁の長期保管方法だ。

研いだらスポンジなどで丁寧に洗い、沸き立ての熱湯
を刃に掛ける。鏡面仕上げの包丁でも拡大して見れば
分かるように表面には微細な凸凹がある。この凹面に
入り込んでいる水分を熱湯を掛けて蒸発させるのだ。

洗ったあと乾いた布でよく拭けば表面の水分は除去で
きると考える人がいるが、間違いだ。簡単な実験で確
認できる。

生魚を料理した包丁を洗って布巾でよく拭いてから刃
に熱湯を注ぎ、昇り立つ湯気の匂いを嗅げば生魚の匂
いがする。包丁表面の微細な凹面に魚の血や肉汁や匂
い物質が染み込んでいるからだ。

包丁に熱湯を注いで10〜15秒ほどで微細な凹面に入り
込んだ水分は完全に蒸発する。次に刃がまだ熱いうち
に油を丹念に刷り込む。油は粘度が高いため、刃が冷
えていると微細な凹面に浸透しないのだ。熱い刃に油
を塗れば粘度が低くなって深く浸透する。

まだ刃が熱いうちに油を拭き取る。表面に僅かな油の
皮膜がある程度でよろしい。油の膜が厚いとカビが生
え、これが錆を誘発する原因となる。保管前の処理で
ここまで細かい説明はお目にかかったことはないはず
だ。

鋼の刃物に塗る油は椿油が定番だ。ヨウ素価が81程度
の不乾性油、つまり非常に酸化しにくい油だ。間違っ
てヨウ素価が高い乾性油(酸化しやすい油)を鋼に塗
れば酸化の過程で鋼を錆びさせてしまう。

だが私が刃に塗るのはオリーブ油だ。これには理由が
ある。ヨウ素価は83程度で椿油とほとんど変わらな
い不乾性油であることの他に、いつでも台所に新鮮な
オリーブ油があるからだ。粘度は椿油より高いが、熱
い刃に塗ることで粘度が低下するので問題はない。

通常、植物油は乾燥させた種を焙煎してから絞るので
水分はほとんど含まれていない。一方、オリーブ油は
種ではなく果実を絞るので僅かな水分が含まれている。
この水分が錆を誘発させる可能性があるが、刃が熱い
うちに塗るので、油の水分は蒸発する。以上の理由で
私はオリーブ油を塗っている。

長期保管は防錆紙と新聞紙で包んで保管するが、以上
の処置を終えたら一日ほど乾燥しやすい場所に置き、
柄が吸った水分を乾燥させなければならない。柄に水
分が残ったままで包めば、これが錆を誘発する。

私の和包丁の柄には水が浸透しにくくするためカシュー
を塗ってある。握っても特に違和感はない。

次の写真は柳刃包丁と刃を包むための防錆紙だ。
フォト


防錆紙で包んで購入したときの箱に入れるが、これま
で僅かに錆が浮いたり、表面にうっすらとカビが発生
して僅かに曇ったことがある。この経験で、防錆紙に
は化学的に錆の発生を防ぐ効果があるが、湿気が僅か
でもあれば錆やカビを防げないことを学んだ。

そこで防湿効果と防錆効果がある新聞で防錆紙を包ん
だ。写真の新聞紙の内側には防錆紙をいれてある。
フォト


この出刃包丁の切れ味は抜群で、時間があるときに鏡
面仕上げをしてあげたいのだが、現在表面はかなり粗
い。つまり、空気中の水分が微細な凹面に浸透しやす
いのだ。それでもこの方法で保管して一度も錆やカビ
が発生したことはない。

新聞とは洗脳紙なので購読はしないが、その防湿・防
錆効果は目を見張るものがある。そこで新聞紙が必要
な場合は、ご近所さんからもらっている(笑)。

冒頭の蕎麦切り包丁はご覧の通り武骨な仕上がりで、
錆が浮きやすい。だが防錆紙と新聞紙で包み、かつ家
の中で一番湿気にくいと思われる場所に保管するよう
にしてから一度も錆が浮いたことはない。

これだけ入念な対策をしても高温多湿な日本だ。長期
保管中に僅かの湿気で錆が発生し、そのままにしてお
けば錆が錆を呼んで錆だらけになってしまう可能性が
ある。それゆえ、入念に保管しても一年に一度、でき
れば半年に一度は点検しなければならない。

いかがだろうか。ここまで詳しく包丁の手入れと保管
方法について述べたものはないはずだ。ここまでの講
釈料は一万円くらいかな(笑)。

もちろん、以上の手入れと保管方法は包丁だけでなく、
鋼製品全般に応用できる。裁ちバサミやナイフや鉈や
鎌など。刃物は愛情を持って大切に手入れすればいつ
までも使えるし、怪我をすることもない。

次回は鋼の包丁を扱う際の禁忌について述べる。
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