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2012年09月10日17:42

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映画評論家・品田雄吉

記でも感想文でも、「 素人の映画評 」を読む時はいささか注意が必要だ。冒頭でいきなり映画のテーマを要約してしまったり、ただ単にあらすじをなぞることを感想文だと勘違いしている場合が少なくないからだ。この手の素人の場合、自分がネタばらしをして、「 これから映画を観ようとするファンの楽しみを殺いでいる 」という自覚がないのだが、それは素人ゆえに許せる。頼まれたわけでもないのに、SNSの日記やブログを勝手に読んだこちらに非があると言える。

 ただし、これが職業として映画評を発信しているのなら話は別だ。映画評論家に品田雄吉という大ベテランがいる。愛読している『 週刊文春 』の「 Cinema Chart 」で新作映画の寸評と★評価をする五人のジャッジの一人だが、もともと彼と私は映画の好みが合わない。戦争映画やアクション映画などは特に顕著で、私が名作傑作と高く評価する作品に限って、実に愛のない酷評を下す。『 プライベート・ライアン 』では「 アメリカ万歳映画 」と無残に突き放し、『 ブラックホーク・ダウン 』では「 アメリカって、まだこんなことをやっていたんですね 」と冷ややかに呆れて見せる。彼が何をどう評価しようと、それはそれで立派な意見なのだから、私もとやかく言わない。彼の評価を真に受けなければ済むのである。ちなみに、最も信頼しているジャッジは「 おすぎ 」だ。彼の寸評には映画愛があり、信頼に値する。

 さて、大ベテラン品田雄吉である。主人公達が遭難し、厳しい大自然の中でサバイバルを強いられる「 とある冒険映画 」の寸評で、彼は先日こう書いた。「 極寒の地に放り出された人間たちがあがきながら死んでいく。あの○○(サバイバル能力に長けた主人公を演じる俳優の名を挙げている)でもダメなんて暗い気分になる 」 この寸評を読み、私は大いに脱力した。「 そうか、彼(渋い演技で私が大好きな俳優の一人である)は助からないんだ・・・ 」 なんとも素人じみたネタばらしではないか。主人公が助からないことを知った上で、劇場に行かねばならないという事実に、私の方が「 暗い気分 」にさせられるよ。感情が高ぶって筆が滑ったのか、重鎮だけに編集者が気をつかってスルーしてしまったのか、いずれにしても品田雄吉の判断が鈍ったのは間違いない。少なくとも、重要な登場人物の生死は作品の評価とは無縁である。
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