チョン・ジヒョンが
『 僕の彼女を紹介します 』で演じたヒロイン、ヨ・ギョンジンというキャラは本当に素晴らしかった。激しさの中に秘められた優しさ、繊細さには強く打たれた。そんなチョン・ジヒョンが他の作品でいかなる演技をしているのか興味がわき、彼女の出演作『 イルマーレ 』『 星から来た男 』『 ラスト・ブラッド 』を次々に観てみた。どれもそれぞれに良い作品だと思うが、ここまでにヨ・ギョンジンに勝るキャラには遭遇できなかった。チョン・ジヒョンという女優の魅力を最も引き出せたのがクァク・ジェヨン監督であり、『 僕の彼女を紹介します 』だということを再認識したに過ぎない。
さて、『 ラスト・ブラッド 』(2009年)である。日本のアニメ『 BLOOD The last Vampire 』(2000年)の実写化だそうだが、そんな作品があることも知らなかった。鬼と人間の混血少女がセーラー服に身を包み、日本刀で鬼族と戦うホラーアクション映画である。チョン・ジヒョンが出演していなければ観ることもなかったろう。彼女が主人公サヤを演じ、1970年代の日本を舞台に人類の未来をかけて鬼達と激しい戦い繰り広げる、いわば「 トンでも映画 」の部類だが、これがなかなか面白かった。物語前半で見せるサヤの戦いぶりはスピード感にあふれ、彼女のふるう「 日本刀の凄まじい斬れ味 」を存分に堪能できた。折れず曲がらず刃こぼれせず、金属でも大きな石でもたやすく両断してしまうなど、もはや日本刀の域を超えて斬鉄剣かライトサーバーだが、そんなことはどうでも良い。サヤの戦いぶりの激しさは、この日本刀の斬れ味を得て、実に爽快だ。この映画は香港・フランスの共同制作で、日本人俳優では倉田保昭が、主人の娘サヤを幼少から擁護しつつ武術を教えた忠実な老僕カトウを好演している。このカトウが実に良い。彼らの隠れ家が鬼族に発見され、サヤにはまだ戦う心の準備ができていないと見抜いたカトウは、サヤに伝来の日本刀を託すと、一人で逃げるよう促す。あなたはこれからどうするの、と尋ねるサヤにカトウは「 自分の使命を果たすだけです 」と静かに答え、彼女が逃げる時間を稼ぐために一人で戦いに臨む。いかに武芸に秀でたカトウといえども、多勢に無勢。斬って斬って斬りまくり、ついに激闘の果て、無残に斬死するのだが、彼の文字通り捨て身の戦いぶりには胸が熱くなった。さすが、倉田保昭。感動したぞ。
日本人としては、もう一人、鬼族の最強最悪の敵、オニゲンを小雪が演じている。彼女が苦手な私はどの作品の演技も感心しないが、『 ラストブラッド 』の小雪は不思議と違和感がなかった。おそらく、感情があるのかないのかわからない彼女のうつろな表情や個性的な三白眼が妖怪変化向きだということだろう。それがわかっていて小雪をキャスティングしたわけでもないだろうが、この発見は面白かった。
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