珍しく
『 僕の彼女はサイボーグ 』というSFラブファンタジーに深くはまった私に、周囲が『 猟奇的な彼女 』(2001年)『 僕の彼女を紹介します 』(2004年)を薦めて来た時、『・・・・サイボーグ 』の監督がクァク・ジェヨンという韓国人だったことを初めて知った。道理で日本映画にはない雰囲気の漂う作品だったわけだ。しかし、私はそれを未来彼女の視点で描かれた「 エキゾチックな現代 」ゆえのテイストだと理解してしまっていた。食い逃げや万引きといった脱線も、未来彼女の無知や奔放さと好意的に受け止め、何の違和感も抱かず、ただただ素直に作品世界にのめり込んだ。もし、最初から韓国人監督が撮った映画だと思って観ていたら、こうは行かなかっただろう。
もともと、『 僕の彼女はサイボーグ 』は決して観るはずのない映画だった。たまたま、HDDに録画されていたのを見つけ、「 あぁ、家内が私のために録画しておいてくれたのだな 」と思って、彼女の厚意を無にしないため観たに過ぎない。しかし、それは間違いだった。家内は私のためではなく、自分のために録画したのだった。韓流にはまり、韓国制作のラブロマンスをドラマ、映画の区別無く、片っ端からエアチェックしていたのだ。もし、韓国映画であれば、間違いなく私は観なかった。韓国人監督が撮ったと知っていれば、やはり観なかっただろう。主演の綾瀬はるかと小出恵介のせいで「 日本映画と信じ 」、家内が私のために録ってくれたという「 勘違い 」が重なって、『・・・サイボーグ 』を観たのだ。結果はご承知の通り。思い切りはまってしまった。戦争映画でいえば、『 プライベート・ライアン 』や『 ブラックホーク・ダウン 』級の深みに完全にはまってしまったのである。したがって、クァク・ジェヨン監督作品を次々に観ることになるのは、もはや必然だったと言える。『・・・サイボーグ 』の物語世界をもっと理解するためには、『 彼女 』三部作と呼ばれるクァク監督作品を観なければならないからだ。前述の『 猟奇的な彼女 』『 僕の彼女を紹介します 』に続く、3作目が『 僕の彼女はサイボーグ 』だった。
第1作『 猟奇的な彼女 』も悪くはなかったが、冒頭から日本映画では絶対ありえない、ほとんど暴走のような演出に度肝を抜かれた。なぜ、『・・・サイボーグ 』が不思議な雰囲気を持っていたのか、よく理解できた。原作の存在する『 猟奇的な彼女 』の要素をうまく取り出して、もっと大きなスケールに再構成したのが『・・・・サイボーグ 』であることもわかった。日本人の俳優、スタッフと組んだ結果、クァク監督独特の「 アク 」が抜け、エピソードもうまく整理されて、程よいバランスの作品に仕上がったことも私が素直にのめり込めた原因だろう。『 猟奇的な彼女 』はエピソードを詰め込み過ぎて展開が早く、あまり重要でないシーンもふんだんにあって、少々受け容れにくいものがあった。それでも、普通に感動させられたのは、物語そのもののクオリティの高さや主演俳優の魅力に違いない。全体に粗が目立つものの、なかなか良い作品だと思う。
そして、シリーズ第2作『 僕の彼女を紹介します 』。これは正に、『 猟奇的な彼女 』と『 僕の彼女はサイボーグ 』を繋ぐ存在だった。クァク監督は『 猟奇的な彼女 』のパーツを使って何度も焼き直し、組み換え、巧妙にアレンジし、自分の納得のいく物語を作っているに違いない。三部作の物語設定やエピソード、演出がみな似ているのは、そのためだろう。単純で乱暴で男っぽいが、飛び切り美人でチャーミングで一途なヒロイン。「 彼女 」に振り回され、純真で優しいが頼りない「 彼 」が殴られたり困惑したり命を助けられたりするドタバタを柱に、「 彼女 」の荒っぽさに隠された繊細な心を描く。これこそ、『 彼女 』シリーズのテーマだ。
クァク監督作品については、色々な映画で観たようなシーンが多いと指摘されることが多い。彼がこれまでに観た映画から気に入ったシーンを借用しているのは間違いない。しかし、映像に携わる者なら誰でも、自分が好きな映画の好きなシーンを真似してみたいと思って当然だ。それが許されないのは、自分のオリジナルだと主張したり、元ネタに対する敬意が感じられない場合に限られるのではないだろうか。クァク監督は色々な作品から借用した映像表現を大胆に取り込み、自分の作品の中で見事に生かしている。伏線の張り方も巧い。好きな映画の好きなシーンを散りばめて、好きなテーマの物語を自由に撮っていけるのだから、映像人としての彼は幸せ者だ。
『 僕の彼女を紹介します 』は、美人だが荒っぽい婦人警官のヨ・ギョンジン(チョン・ジヒョン)と、彼女がひょんなことから知り合った女子高の物理教師コ・ミョンウ(チャン・ヒョク)の物語だ。これは笑って泣ける、実に良い映画だった。繰り返し何度も観たくなる、何度観ても笑って泣けるという点で『・・・・サイボーグ 』に匹敵する作品だが、ヒロインの魅力ではこちらの方が上だろう。それは、奇しくも未来彼女とサイボーグ彼女が分散してしまった魅力を、ヨ・ギョンジンは一人で兼ね備えているからだ。チョン・ジヒョン演じるヨ・ギョンジンは、本当に強くてクールで美しい、素敵な女性だ。彼女は「 どんな色にも染まらない不思議な魅力に溢れている 」 ラブファンタジーのお好きな方にはぜひお薦めしたい。世の中の評価がどうあれ、私はこの作品が好きである。
下記映像は『僕の彼女を紹介します』のPVだが、思いっきりネタバレしているので未見の方はご覧にならない方が良い。この映像は、『 僕の彼女を紹介します 』で感動したファンが観て、熱い涙を流すためのものだ。もっと大きな画面、綺麗な映像をご覧になる場合は、YouTubeのURL(右→)をクリック。
http://www.youtube.com/watch?v=FXTX6K6Bgik
◆関連過去日記「チョン・ジヒョン主演作ランキング」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1773084351&owner_id=6007866
ちょんじひょん チョンジヒョン ぼくのかのじょをしょうかいします
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