言わずと知れた、小津安二郎監督の傑作と名高い『 東京物語 』をレンタルDVDで観た。以前、友人から薦められていたのだが、観る気が起きないまま歳月が流れ、ようやく鑑賞なったという次第である。友人知人からは「 無類の映画好き 」と思われている私だが、実は、邦画が苦手である。たまたま観ているのは、黒澤明作品か時代劇、話題になった現代劇だけと言って過言ではない。根っからの、洋画党字幕派なのだ。
さて、『 東京物語 』である。冒頭から、描写のリズムが遅過ぎて、なかなか手強いものがあった。昔の映画は、たいてい「 これ 」が大きな障害となる。しばらく我慢して観ていたが、この物語にはどこか既視感を覚えた。途中まで観て、イタリア映画『 みんな元気 』にそっくりであることに気づいた。なんと、『 みんな元気 』は『 東京物語 』のオマージュ作品であって、こちらの方が本家なのだそうだ。
この映画には、正直、驚かされた。低いカメラポジションや、真正面の切り返しショット。パンを一切使わない完全なフィックス撮影。独特の省略や間の取り方など小津調と言われる個性的な映像表現手法にではない。1952年制作でありながら、「 親子の絆とその喪失 」という現代的なテーマをじっくり腰をすえて撮っている先見性に驚いたのである。画作りや表現技術は相応に古くなっているのは仕方ないが、このテーマは時代を超越している。年老いた夫婦が、今は成長して立派に家庭を築いている子ども達を訪ねて歩くが、子ども達はそれぞれに自分の生活がある。老夫婦は子ども達の家庭を回って歩くうちに、かつてのような、優しく思いやりのある子ども達の姿はもはやないことに気がつくのだ。それは、子ども達が立派に自立している証拠であり、親としては喜ばしいことなのだが、やはり寂しい。老夫婦が訪ねて歩く子ども達の年齢に近い私は、彼らの言動に胸を痛めると共に深く反省させられてしまった。
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