1,
気功を修練し始めた人あるいは気功に興味のある人が、色々本などを読み漁ったりして、「小周天」「大周天」などという概念に辿り着くだろう。
そして小周天の理解はまぁ「任脈と督脈を繋ぐ円環状のルートが開通すること」と理解している人も多かろうし、それであながち間違ってはいないだろう。
だが「大周天」の話になると途端に諸説入り乱れる。私耶蘇善財自身は大周天に達したわけではないから経験から申しているわけではないが、以下にいくつか記しておきたい。
ここに内勁一指禅功の秦渝生老師と柴剣宇老師に登場いただこう。
秦渝生老師は旧日本気功協会で内勁一指禅功を教えていた気功師であり、今もご健在である。
秦渝生老師は黄仁忠老師の弟子である。黄仁忠老師が日本に内勁一指禅功を教えにきたことはないが、お弟子さんである秦渝生老師や王瑞亭老師は日本で教えている。
並木克敏先生は昔、旧日本気功協会で秦渝生老師から内勁一指禅功を教わっていたという。
あるとき秦渝生老師は、内勁一指禅功の「中下上昇法」を教えている際に、色々説明した後にポツリと「これが大周天だ」とつぶやいたという。
そして並木師はそれを聞いて「なんだ、その程度のものか」と思ったのを記憶している、という。
この「中下上昇法」の元来の効果効用は何かというと、南 俊夫氏によると「「環精補脳、気沈丹田が盛んにな」るに過ぎぬものであり、並木克敏氏によると「身体内の「清らかな気」を上昇させ, 「濁った気」を下方へ沈ませ（清気上昇, 濁気下降）せる。ついでに「邪気を体外に排出する効果もあります。」というものである。ちなみに並木先生の通信教育では「外気功中級第二巻」に位置付けられている。（小周天に相当する「三関進気法」は内気功第8巻である。実際やってみると虚弱体質の私には笑いが止まらないほど真冬の布団の中で身体が熱く、足がジンジンした）。
多くの気功修練者の憬れの境地、或いは気功の終着点と思われている（誤解されている）「大周天」なる境地は実際にはこの程度のものである。
別の言い方をすれば大周天とは12正経全体に氣を巡らす功法のことである。
それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもない。
さて、柴剣宇氏は「「天」の意味は、いわゆる天を指しているのではなくて、時間的な概念のことである。たとえば中国語では「一日」という意味を表すときに「天」という文字を使って、「一天」という。つまり、一日を十二支で分ける時間の取り方にのっとっているのである。それに準じて、身体の循環ルートも十二区分し、その十二支を対応させている。そして、十二支に分担された体内を一周させるという意味で、周天と呼ばれるのである」。
（中略）
「そして小周天も二つに分類することが出来る。一つは、子午周天と呼ばれ、子から始まって午を通って、任・督脈を一周させるもの。もう一つはが卯酉(ぼうゆう)といって、「卯(うさぎ)」と「酉(とり)」、ようするに卯と酉の間を循環させる方法である。」
「それでは大周天とは何を指すか。大周天に関しては、現在は間違ったとらえ方ばかりが横行している。体全体に氣が循環して行き渡ることだという人もいるし、どこか特別の一本の経絡を通すことだと理解している人もいるが、これらはすべて間違いである。」
「正確に定義すれば、体内を通る十二本の経絡はそれぞれつながっている。そしてこの十二経絡も、十二支を用いた時間の区分と対応している。この対応する関係というのは、中国医学においてもはっきり理論づけされているものだが、この十二経絡に内気を循環させる方法が大周天なのである。」
参考文献：『「気功法」の大事典』71頁以下。新人物往来社、1994年。
2, [小周天と大周天の関係]
「小周天の基礎の上に、さらに全身に流れている十二経絡・奇経八脈が全部通ることを大周天という。大周天は小周天より高級であると思う人もいるが、実は、重要なのは小周天である。小周天が通れば、大周天はいかにも簡単に通すことが出来る。」
寥 赤紅, 寥 赤陽『気功 その思想と実践』春秋社、1998年、135頁。
気功を修練し始めた人あるいは気功に興味のある人が、色々本などを読み漁ったりして、「小周天」「大周天」などという概念に辿り着くだろう。
そして小周天の理解はまぁ「任脈と督脈を繋ぐ円環状のルートが開通すること」と理解している人も多かろうし、それであながち間違ってはいないだろう。
だが「大周天」の話になると途端に諸説入り乱れる。私耶蘇善財自身は大周天に達したわけではないから経験から申しているわけではないが、以下にいくつか記しておきたい。
ここに内勁一指禅功の秦渝生老師と柴剣宇老師に登場いただこう。
秦渝生老師は旧日本気功協会で内勁一指禅功を教えていた気功師であり、今もご健在である。
秦渝生老師は黄仁忠老師の弟子である。黄仁忠老師が日本に内勁一指禅功を教えにきたことはないが、お弟子さんである秦渝生老師や王瑞亭老師は日本で教えている。
並木克敏先生は昔、旧日本気功協会で秦渝生老師から内勁一指禅功を教わっていたという。
あるとき秦渝生老師は、内勁一指禅功の「中下上昇法」を教えている際に、色々説明した後にポツリと「これが大周天だ」とつぶやいたという。
そして並木師はそれを聞いて「なんだ、その程度のものか」と思ったのを記憶している、という。
この「中下上昇法」の元来の効果効用は何かというと、南 俊夫氏によると「「環精補脳、気沈丹田が盛んにな」るに過ぎぬものであり、並木克敏氏によると「身体内の「清らかな気」を上昇させ, 「濁った気」を下方へ沈ませ（清気上昇, 濁気下降）せる。ついでに「邪気を体外に排出する効果もあります。」というものである。ちなみに並木先生の通信教育では「外気功中級第二巻」に位置付けられている。（小周天に相当する「三関進気法」は内気功第8巻である。実際やってみると虚弱体質の私には笑いが止まらないほど真冬の布団の中で身体が熱く、足がジンジンした）。
多くの気功修練者の憬れの境地、或いは気功の終着点と思われている（誤解されている）「大周天」なる境地は実際にはこの程度のものである。
別の言い方をすれば大周天とは12正経全体に氣を巡らす功法のことである。
それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもない。
さて、柴剣宇氏は「「天」の意味は、いわゆる天を指しているのではなくて、時間的な概念のことである。たとえば中国語では「一日」という意味を表すときに「天」という文字を使って、「一天」という。つまり、一日を十二支で分ける時間の取り方にのっとっているのである。それに準じて、身体の循環ルートも十二区分し、その十二支を対応させている。そして、十二支に分担された体内を一周させるという意味で、周天と呼ばれるのである」。
（中略）
「そして小周天も二つに分類することが出来る。一つは、子午周天と呼ばれ、子から始まって午を通って、任・督脈を一周させるもの。もう一つはが卯酉(ぼうゆう)といって、「卯(うさぎ)」と「酉(とり)」、ようするに卯と酉の間を循環させる方法である。」
「それでは大周天とは何を指すか。大周天に関しては、現在は間違ったとらえ方ばかりが横行している。体全体に氣が循環して行き渡ることだという人もいるし、どこか特別の一本の経絡を通すことだと理解している人もいるが、これらはすべて間違いである。」
「正確に定義すれば、体内を通る十二本の経絡はそれぞれつながっている。そしてこの十二経絡も、十二支を用いた時間の区分と対応している。この対応する関係というのは、中国医学においてもはっきり理論づけされているものだが、この十二経絡に内気を循環させる方法が大周天なのである。」
参考文献：『「気功法」の大事典』71頁以下。新人物往来社、1994年。
2, [小周天と大周天の関係]
「小周天の基礎の上に、さらに全身に流れている十二経絡・奇経八脈が全部通ることを大周天という。大周天は小周天より高級であると思う人もいるが、実は、重要なのは小周天である。小周天が通れば、大周天はいかにも簡単に通すことが出来る。」
寥 赤紅, 寥 赤陽『気功 その思想と実践』春秋社、1998年、135頁。
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コメント(1)
大周天について追記します。
ある一指禅功練功者（黄仁忠系ではないように思える）が記述しているものがありました。
【中国伝統気功・練功会大阪・龍楊 (ameblo.jp)】
https://ameblo.jp/ronjanzensin/entry-12716922966.html
「小周天、大周天、馬礼堂大循環 2 |
2021-12-21 23:17:37
テーマ：中国気功
小周天は、任督二脈の周天ですね。
単純大周天は、手の陰陽六経と足の陰陽六経の、大まかな周天です。
双環大周天は、流注の循環にしたがって相関する手の陰陽二経と
足の陰陽二経の組み合わせの周天です。
双環大周天は、十二経絡の組み合わせで、手足にまたがって、
3組できます。
この3組を、流注八卦に沿って、一つに繋げたものが、馬礼堂大循環法です。
ただ、単純に繋げるのではなくて、流注が適切に完了するためには、
経だけでなく、絡も考慮されないといけません。
日本語訳"ツボ気功"で誤っているのは、この絡の接続です。
したがって、流注の順も誤ってしまうことになります。
2ヶ所で誤っていますから、正しいのは、肺(大腸)経導引と胃脾経の導引だけと
いうことになってしまいます。」
ある一指禅功練功者（黄仁忠系ではないように思える）が記述しているものがありました。
【中国伝統気功・練功会大阪・龍楊 (ameblo.jp)】
https://ameblo.jp/ronjanzensin/entry-12716922966.html
「小周天、大周天、馬礼堂大循環 2 |
2021-12-21 23:17:37
テーマ：中国気功
小周天は、任督二脈の周天ですね。
単純大周天は、手の陰陽六経と足の陰陽六経の、大まかな周天です。
双環大周天は、流注の循環にしたがって相関する手の陰陽二経と
足の陰陽二経の組み合わせの周天です。
双環大周天は、十二経絡の組み合わせで、手足にまたがって、
3組できます。
この3組を、流注八卦に沿って、一つに繋げたものが、馬礼堂大循環法です。
ただ、単純に繋げるのではなくて、流注が適切に完了するためには、
経だけでなく、絡も考慮されないといけません。
日本語訳"ツボ気功"で誤っているのは、この絡の接続です。
したがって、流注の順も誤ってしまうことになります。
2ヶ所で誤っていますから、正しいのは、肺(大腸)経導引と胃脾経の導引だけと
いうことになってしまいます。」
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