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ワンコイン未満読書コミュの【精神】「鳥の仏教」(中沢新一)新潮文庫

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新潮社のサイト
http://www.shinchosha.co.jp/book/129013/

460円

チベット仏典『鳥のダルマのすばらしい花輪』の訳を中心に、宗教学者、中沢新一の自由な解説を加えた一書です。文庫化は今年の五月でした。

『鳥のダルマのすばらしい花輪』(ダルマは仏法の意味でしょう)は、インド由来の大乗仏典に似た体裁の語り口でありながら、カッコウに姿を変えた観音菩薩が鳥たちに向かってブッダの教えを説くと、それを受け止めたさまざまな鳥たちが、自分自身の鳴き声をもって教えに対する自分自身の捉え方をさえずる、という体裁の美しいものです。

インドの仏典や中国で豊富に成立した偽経も、それぞれにたいへん劇的で、目に見える世界を思い描きながら読めば一大絵巻のようではあるのですが、そういう目の通し方は実際にはなかなか難しいかと思います。

それに対し、『鳥のダルマのすばらしい花輪』は鳥たちがシンプルにさえずるのですから、耳を傾けるつもりで読むと、すんなり優しく胸に響いてくるようです。

趣は違うものの、鳥たちのさえずりの連なりは、マザーグースの「だれがひばりを殺したの?」に似通ったものを感じさせさえします。
ただし、マザーグースのほうは「弔い」が最後に来るのに対し、『鳥のダルマのすばらしい花輪』は、仏教的な無常観をさえずりながらも大団円では生へのいきいきした讃歌になっていて、読み終えた後には明るく澄み渡った青い空が読者を包んでしまうでしょう。

経典中に登場する鳥たちが、いろとりどりのイラストに描かれていて、ああ、この鳥がこんなふうにさえずっているのか、と実感しながら読み進めることができるのも、本書の大きな魅力です。

人生相談を標榜したさまざまな書物より、本書の本編である『鳥のダルマのすばらしい花輪』の文字を通して、やがては日々の鳥のさえずりの中に命の讃歌を聴き取ることが出来るようになったほうが、どれだけ幸せかしれません。

そんなふうでありたいなぁ、と思いながら、この小さな本をめくり続けています。

コメント(1)

今日(日付変わったので昨日3月13日)読み終えました。鳥のさえずりを言葉に当てるの、なんていうんだっけ……と検索したら「ききなし」というのでした。

私は大抵の日本人と同様に、特に信じている宗教はありません。日本国内において「宗教」に関するものは少し敬遠されがちな雰囲気がありますが、この本は、普段の生活の中で鳥を見かけたときにふとさえずりを口にしてしまいたくなるようなやさしさと親しみやすさがありました。

ずっと前に石坂浩二氏がパーソナリティを務めていたFMラジオ番組で、英語を母国語とする人に「掘ったイモいじるな」と言ってみたが変な顔をされたという投書があり、石坂氏が「意味は通じたかもしれないが脈絡なく突然言われて戸惑ったのかも」とコメントしていたのを思い出しました。

たしかに「What time is it now?」といきなり言われたら面食らうでしょうが、私は今もしチベット人がそばにいたら「ティンリン!」と言って意味が通じるかどうか試してみたい。しかし身近にチベット人はいないし、いたとしていきなりそれを言って意味が通じても「え、『広く深い』ってなにが?」とやっぱり変な顔されるだろうな。でも言ってみたい。

だけど逆にもし私が外国の人に「テッペンカケタカ!」なんて言われたらびっくりするだろうな。よし今のうちにびっくりしないように上手い返事を考えておこう。「テッペンカケタヨ!」「テッペンカケテネエヨ!」……あんまり上手くないな。などと本書の主旨から外れたことを俯きながらにやにや想像しているところです。

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