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哲学の塔〜改〜コミュの第6章〜ふたつの塔〜

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 ドォン!!!

 その瞬間、爆発音が鳴り、塔が激しく揺れる。そして“ふたつの塔”は崩壊を始めた。
「シド、彼は“ハイドパークの亡霊”となった!」
 崩壊し始めた“哲学の塔”の屋上で、シャーロット・ロンドンはなおも続ける。しかし塔
の激しい揺れに、その場に倒れた。マシューとアリス、ドムは手すりを握りしめ、何とか
踏ん張る。塔の内部から螺旋階段が崩れ落ちていくような物凄い音が響いてくる。
「内部から地下に崩壊していっている。恐らく屋上が陥没し、塔が倒壊するまで時間の問
 題だ…。運命は尽きたのだよ…」
 エスパーは、屋上の真ん中で静かに告げた。すると、突然屋上の床が大きく割れ、裂け
目からのぞく暗黒が彼の身体を飲み込んでいく。大きな音をたて、屋上の真ん中に穴が
空き、彼は瓦礫と共に暗闇の中に落ちていった。
「さらば…我が宿敵よ」
 その姿を静かに見守るシャーロット・ロンドン。
 その時、マシューの足元が崩れ、彼は驚いた拍子には手すりを離し、暗闇に引きずりこ
まれた。
「うわぁ!」
「マシューーー!!」
 叫ぶアリスの声が聞こえたかと思った瞬間、シャーロットが彼の身体を掴み、安全な
場所に放り投げる。しかし、逆にシャーロットがその崩れた裂け目に落ちる。危機一髪、
マシューが彼の右腕を掴む。必死になってシャーロットを支えるマシューに、彼は静か
に囁いた。
「我がチャイルド、よく聞け。母の本名は…」
 マシューはその名前を聞いた瞬間、言葉が出なかった。
「まさか…そんな、僕は知っている…その人物を…ずっと…」
「きゃぁ!」
 その時、アリスの叫び声が聞こえ、振り返ると、彼女も崩れ落ちた足場を失い、暗闇に
落ちる手前で、奇跡的に崩壊しかけの屋上の床の部分に片手でしがみついていた。
「助けて…」
「アリス!」
 しかし、今、彼が手を離したら、シャーロット・ロンドンは暗闇に落ちる。
「私の手を離し、妹を助けるのだ!」
「でも…」
「決断の時だ!我がチャイルド、自分の運命を受け入れろ!」
 シャーロットは自ら、手を離し、暗闇に落ちる。
「と…父さん!」
 そのマシューの言葉を聞いたシャーロットは、暗闇に落ちながら笑っていた。そして
彼は、最後に叫んだ。
「5人目の子供はいない!
 それは“幻影の子供”。君が見たシルエット・L・ワルツは幻だ。
 その目を凝らしてよく見るのだ、真実を!
 迷信が盲目にするなら、心の恐怖を取り除け!
 そしてあるがままを見るのだ!想像するな!そして創造もするな!」
 そのシャーロット・ロンドンの最後の言葉を聞きながら、マシューは急いでアリスの
右腕を掴み、引き上げようとする。しかし、激しい揺れにマシューは体勢を崩し、アリス
を引き上げる力を緩めてしまう。
「しまった!」
「馬鹿が!」
 その瞬間、マシューの身体をドムが支えた。
「ドム!」
「正義のヒーローの出番だ!」
 そしてマシューはアリスの右手を、ドムはアリスの左手を掴み、彼女を危機から救い
出した。3人の兄弟は力を合わせて危機を乗り越えた。
「ありがとう〜!」
 アリスは泣きながら、マシューに抱きつく。そして遠慮がちにドムにも言った。
「アンタもありがとう。本当は嫌いだけど、今は好き」
「そりゃ、どうも。お・姉・ちゃん!」
 ドムは嫌味に言い、そっぽを向く。アリスも頬を膨らませそっぽを向いた。
「喧嘩しないでよ、ふたりとも。これからどうしよう…そうだ!秘密の脱出経路だ!」
 “哲学の塔”の外壁にある、秘密の脱出経路。犯罪に使われたこの禁断の道を使う他に、
方法はなかった。
「いつ倒壊するかも分からない…行くしかないな」
 ドムも、決断した。この道を通ろうと。そして3人は、手すりを乗り越え、外壁にある取
っ手を掴み、一歩、また一歩とゆっくりと歩を進めていく。まずはマシュー。その次にア
リス。そして最後にドムが続く。下を見ないように、彼らは降りていく。そしてふいに、隣
の“秘密の塔”を視界に入れる。“幻影騎士団”と、ロッド・シルバーフィールドを乗せた塔
は、外壁を崩壊させながら、砂煙を上げて地下に沈んでいっていた。マシューたちよりも
早く、急速に地面の下に落ちてゆく“秘密の塔”を、彼らは悲痛な表情で見ていた。砂煙の
中に微かに見える5人のシルエットに彼らは叫んだ。
「父さん!クリス叔父さん!」
「お母さん!」
「兄貴!」

「めくりめく謎と怪奇に満ちた“ふたつの塔”のショーの終焉だぁ!!」
 最後にロッド・シルバーフィールドの叫ぶ声が聞こえたかと思うと、“秘密の塔”は完
全に地面の下に落ちていった。そこに砂煙だけが立ち込める。
「そんな…みんな」
「おいマシュー急げ!塔が崩壊する!」
 そのドムの声にマシューが見上げると、屋上の辺りから塔が傾きかけていた。彼らは
塔の中腹を越え、更に下へと進んでいた。徐々に塔が傾き始め、彼らに迫っていた。この
秘密の脱出経路の先、すなわち地面の方角に視線を移すと、そこにシャーロットの黒い
馬が居た。偶然でなく、必然的に、その馬は彼らを待っていた。
「飛び降りれるか?ドム!」
 マシューは一番上の彼に言う。
「ここから?地面にか?」
「違う!馬の背中に!」
 そう言うと、マシューは飛び降りた。そして、うまいこと馬の背中に着地を果たした。
以外と、飛距離はなかった。いつの間にか、ここまで降りてきていた。彼は見上げると、す
ぐにアリスを促す。
「アリス!飛び降りるんだ!僕が受け止めるから!」
「うん!」
 言うが早く、彼女は飛び降りてきた。
「え!ちょっと待っ…!」
 そう言いながら、マシューは必死に落ちてきた彼女を確りと受け止めた。
「うお!っと!」
「よっと!ありがと、マシュー」
「アリス…せめていち、にのさんで歩調を合わせてほしか…」
「行ったぞ!」
「え?」
 その声が聞こえたかと思うと、突然ドムが馬の背中に落ちてきた。その衝撃が合図と
なったのか、馬が驚いて急に走り出した。体勢もままならないまま、3人は落ちそうにな
りながら馬にしがみついていた。
「うわあああぁぁ!」
 その瞬間、“哲学の塔”は倒壊してきた。マシューたちの居た場所に建物が落下して大
きな衝撃音と共に土煙を巻き上げた。刹那遅れていたら、倒壊した塔の下敷きになって
いた。安心したのも束の間、黒い馬は3人の不安定なバランスを支えきれずに、地面に転
がって倒れた。その衝撃で放り出された3人は、地面に叩きつけられた。マシューは、アリ
スをかばうように彼女を抱き締め、下敷きになった。ドムは顔面から落馬して、悶えてい
た。とにかく、助かった。
 瓦礫の山と化した辺りを見渡し、彼らは呆然としていた。身体中を傷だらけにし、服も
汚れていたが、気にならなかった。
「クリス叔父さんも、父さんも…みんな、大丈夫かな…」
「兄貴は死なない。そういう奴だ」
 ドムは煙草に火をつけながら、呟いた。
「私たち本当に兄弟なのかな?シャーロット・ロンドンは実の父親で、実の母親はエヴァ
 ン・ウェンブリーって人で、お母さんたちは、“幻影騎士団”で…」
 アリスは混乱していた。無理もない。そんな彼女にマシューは右手を差し出した。
「決断しよう。自分の運命を受け入れる時が来たのかもしれない」
 そこにドムは右手を重ねてきた。
「兄貴が何を伝えたかったのか、今なら分かる気がする」
「ドム!」
 マシューは、ドムが自分の運命を受け入れたことを、感じ取った。
「私も、決断する!シャーロット・ロンドンの後継者だって!」
 アリスも手を重ねてきた。
「何があっても、手を取り合って助け合おう。僕たちは今から兄弟だ!」
「あぁ、“蒼い兄弟”だ!」
 マシュー、アリス、ドムは、知的に輝くその蒼い瞳でお互いを見つめあった。知性と静
謐さを兼ね備えた神がかりな蒼い瞳は、きっと、伝説の名探偵と言われたシャーロット・
ロンドンの残した意志の象徴で、後継者の証。
「クリスティーヌを迎えに行こう。彼女は今どこに…」
 マシューは携帯電話を取り出した。そして届いていたメールの内容を確認し、愕然と
した。マシューは震えていた。
「マシューどうしたの?」
「何ビビッてる、今更?」
 マシューは静かに、彼らに伝えた。
「クリスティーヌが誘拐された」
 その言葉に、アリスも、ドムも驚いていた。
「誰にだ!」
 ドムの鋭い声に、マシューは答えた。怒りに震える声で。
「5人目の子供、シルエット・L・ワルツに…助けに、行こう!ハイドパークだ!」
 3人の兄弟は駆け出した。
 その様子を静かに見届ける4人のシルエットがあった。
「僕たち“幻影騎士団”の役目は終わった。“幻影の子供”の秘密を守る“騎士団”としての」
「彼らは最後の試練に立ち向かうことになるわ。受け止められるかしら…彼らに」
 そして最後の謎を解き明かす瞬間がやってきた。

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