ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

アキグレコミュのXIII;妖精の時刻 08/the Black World

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加



ソウル、大学路の時計使い、韓真容と言葉を交わした結果として得れる印象はこうである。

「……凡人」

本当に、普通の人だった。
韓真容は韓国人青年の範疇では平凡すぎて、時間能力者の範疇ではユニークすぎる存在なのだ。

私は昨晩、気絶した彼を別途に投げ入れ、彼のPCをチェックした。
人がどういう人なのかを知るためには、その人のPCを開けてみること以上の手段はそうそういない。
彼はさほど誠実な学生ではなかったけれど、パソコンに関するスキルは予想を遥かに超えた所にあった。
今ごろは、誰かが自分のマシンを弄ったと気付くはずである。
韓国のIT技術のレベルが高い事は熟知しているけど、それを踏まえても彼はひどく有能な人材なのだ――あくまで、一般人として生きるならば。

けれど、すでに彼は一般良民ではない。
ある種の能力者達に、一般世間の法則は通用しない。
彼は軟弱すぎる。
体が健康でもなく、
お金があるわけでもなければ、
武術、武功を覚えている様子もないので、多分ケンカも弱い。
別に私が手を汚さなくても、
あれほどの能力者はいつ首を跳ねられてもおかしくない。

それでも、多少ならば希望はある。
彼は何も知らない振りをしているけど、一方では第2時計についてかれこれ研究していた。それを私には伏せようともした。
本人が自覚しているかどうかは別問題で、それなりに頭の気転は利くようである。
確かに、どこをどう見ても一般人だけれど、うまく利用すればほかの時計使いの油断を買うことも出来るかもしれない。


「……とくに、あの男の油断を」

マエストロ。
目を閉じれば、今も1年前のあの夜が姿を表す。

ロンドンの夜、
冷たさが伝わるほど白い月、
XIIのまま、打鐘を止まないビックバンの時計塔、
タワーブリッジの死闘、そして――――カット。そこまで。


思い出に揺られる時間があれば、少しでもこれからのことを考えよう。

車を走らせる。
クラッチを降んだ足をゆっくりと緩めると、車が前に滑り始めた。
エンジンが鳴る音は、いつ聞いても心地よい。
韓国は土地も狭く、道路も狭く、ドライバー等の質も良くない。
ハンドルを握り、駐車所を抜け出す頃にして……私は一つの疑問点にたどり着いた。


「そうそう。
彼はどこで時計を手に入れたのかしら?」

ちょっと失敗。
さっき、コーヒー飲みながら言い回して聞けばよかったのに。
普通、時計を手に入れた人は、少なくとも骨董品屋だったり、魔術の家系だったり、お金持ちだったりする。
が、彼はそのうちの何にも当てハマらない。
彼の言動も知識も、本当に、道端で拾った感じで……


拾う?
第2時計を、『偶然』に得る?


微妙に引っ掛る。
すっぴんの素人が、偶然出会える品ではない。



「有事に備えて、少し探る必要があるわね」


韓真容と付き合っていく事以外に、やる事が出来た。
勘が働いた。
この街には何かがある……もっと別の、何かが。





午後4時、俺は行く当てもなく街を歩らついていた。
大学は元々休みで、バイトも辞めて早いごと2週は経っている。
これといって、やる事がない。
昨日までなら、この時間台にはエロゲーやネトゲーをやっているはずだが、今日はとてもではないがゲームする気分ではない。
理由は簡単だ。


「尹世玄……」


声をたてて言うつもりはなかった。

尹世玄、頭良さそうな名前だ。
仏語、結い上げた長髪、俺の白シャーツ、白黒のドレス、背伸び靴、細い指、風にゆられるスカート、ビニルごとくわえた三角おにぎり、美味いカレー、それから……時計使いにして時間能力者。
ちかちかちかちかちかっ。
魔の13時、時計職人ブレゲ、第1時計、代2時計、妖精王、フランスの王妃、絶対時間軸、相対時間軸、マエストロ……多くの単語が脳内を彷徨き、セーブ先を捜している。
ちかちかちかちかちかっ。
ふと、自分が気付かないうちに駅前を通り過ぎて、大学に上る坂道を登っている事がわかった。
頭がぼんやりしているから、体は習慣的に登校しようとしたらしい。
しかし、まぁなんともなにやら……


「暑ぇ~~~~」


マジ暑い。
俺らは一生経っても38度線を超えられないというのに、
最近の太陽は38度とか平気で行来している。
冷たい物が飲みたくなった。
柚志ちゃんのコスチュームでも拝めに、イノセントにでも行くか。



------------





「ユジちゃん、来ていないんですか」
「ええ。もう三日くらいなったのかしら」


5分後、俺はイノセントにてオーナーの奥様と柚志の噂話をしていた。
随分前から突如に連絡が切れ、一方的にバイトを休んでいるらしい。
お陰で、普段時ではなかなか店に顔を出さない、奥様まで店番をしているようだった。


「ケータイもダメでしたよね」
「ジンヨン君からも、連絡してみてくれません?
あなたの電話なら受けるかもしれないわ」


むむぅ……彼女が無端でバイトを休んだことなど、今までたっだ一度もなかった。
流石に心配になってきたので、奥様から教えられた番号に電話をかけてみる。


……
……
…………。


「ダメだ。お留守番サービスに繋がってしまう」
「一体どうしたのかしらねね」
「さぁ……俺からはなんとも。メールは打っておきます」
「お願いね」

トコトコ。
そういえば、何げにこれが彼女と初めてする、メールのやりとりだったりして。
互いにメアドは交換したが、バイト先で毎日会う顔で、バイトの事以外では、たいして語ることもない間柄だからである。
彼女への初メールだ。
こちらを警戒しないようにするにも、叩き込む言葉は慎重に選ばなければならない。
幾度も書いて削除してを繰り返し、結局送ったのは
<やぁ暑いね~~、ユジちゃん何してんの? バカンス行きてぇよ;ㅁ;>
だった。
送る寸前に、後の<バカンス行きてぇよ>と絵文字は余計だったと悟ったものの、時既に遅し。
己のセンスの酷さにしばし唖然としていたら、奥様がカフェーマキアットを出してくれた。

「タダで良いよ。今日客もないし」
「ありがとうございます」

しかし、突然行方を暗ますとなると、拉致監禁などの非現実的な可能性を無くすならば……どこかに旅行とか?

「そうだ。来なくなる前のユジちゃんに、何か不自然な所はなかったのでしょうか?」
「不自然な所?」
「はい。
普段とは違う様子を見せたとか、何かぼそっと流すように言い残した事とか。
まぁささやかな事でもいいですから」

奥様はしばし考え込む。

「確か……あの子、シフトを増やしてほしいと相談してきたわね」

シフトを、増やす?
だが、彼女はむしろシフトに穴を空けるような行動を取っている。
言動が一致しない。
色々と頭を回転させていると、奥様の話が続いた。

「学校が夏休みになったから……昼に10時間は働けると言ってたわ。
ジンヨン君が急に辞めて、人手が足りなかったから……ウチの亭主、簡単にOKしちゃったけど」

ふむふむ。

「ええと、先月に彼女が貰ったバイト代、いくらでしたか?」
「そうね……30か35万ウォンだったと思うけど」

店の奥に入って、先月のシフト表を捜してみる。
彼女の名前が1週間に何回入っているかを数えて、大体1日に5時間、終末を含め1週に20時間ほど店に居た事が分かった。
1時間で4000ウォンだと踏めば、大雑把な計算だけど彼女はバイト代をほぼ2倍の額に上げようとしたようだ。
となれば70〜80万ウォン。そこらへんの高校1年生が、手に出来る額ではない。

そこまでの大金が、急に必要になったわけだ。

何故だ?
80万ウォンで何が出来るかを考えてみる。
休みを活かして、ひとりふらりと旅行?
でないと、最新のケータイでも欲しくなったのか?
新しいパソコンを買うために?
……彼女のお家に電話してみれば一発だろうけど。
未成年である彼女は、本来ならばバイトができず、親には内緒にしていて、オーナーもその秘密を踏まえた上で、年を騙して雇っているはずだ。
家の連絡先など、店に残っているわけないか。

「まぁ分かりました。
もし俺の方に連絡があったら、すぐに電話しますんで」
「心配ね……」
「アイツ、しっかり者ですから。
せいぜい、ひとりで気晴らし旅行だと思いますけど」
「でも……」
「その内、自分から戻ってきますよ。そう心配しなさんな」

しかし、俺が心配だ。
元々遊んでいるような娘ではなかったけど、最近は物騒だから、何が起こるか分からない。
仕方ない。
さっさとマキアットを飲み干して、彼女の学校にでも行ってみようか。
休み中の女子高だけど、学校に閉じこもられ他律の自律学習に付き合わされている娘は何人かいるはずだ。
可愛いし、妙に拉致られオーラー漂わせているから、変質者に連れ出されコンナコトやアンナコトヤらされているかも知れない。
そんなのあかん。
兄ちゃん許しませんぞ。もっとヤれ。

ーーーーとか妄想している時だった。






「Excuse Me. 横ノ席、イイデスカ」
「はい?」

誰かが俺の横から現れた。急な人気にびっくり。
横をみれば、背が高くて金髪の、外人の中年男が表情を固めて俺を見下ろしている。
おおっと。
横の席においたカバンを急いで退かすと、外人はやっと手持のプラスチック折敷をおろした。
明洞なら外国人がいてもさほどおかしくないが、大学路ではなかなか居ないものが、また外国人である。
ちょっと好奇心が働いて、隣を覗く。
イノセントのロゴ入りのコーヒーコップと、アイスケーキと、俺のそっくりな懐中時計があった。


「!?」


心臓が止まるかと思った。
そうだ。イノセントには客が無くて、開いている席ならいくらでもある。
あえてここに座ったという事はーーーー俺に用がある、との事。
男からは、うっすらとオイルの匂いがした。
それに紛れて、血の匂いもしている。間違いない。時計使いだ。


「……」
「……」


何も言えない。
ただ、時間だけが默言したまま、ちかちかと音を立てながら時計の上を差迷っている。
頭がフル起動する。
逃げるべきか?
戦うべきか?
ここから、どこへ?
人が少ない店だとしても、民間人が全くないわけではない。
俺はできるだけ平常心を保ちつつ、片耳に差し込んだMP3Pの電源を切った。
完全に着席した外人の男は、静かな声で話しかける。


「Oh, Are you speak English?」
「a……a little」


パニックったせいで、ぱくぱくと初心者レベルの単語で答える。
俺が聞いても、俺の発音は酷く幼稚だった。
まさか、初めての実戦英会話が、時計使いとの話し合いになるとは思わなかった。


「good」
「……」
「Don’t afraid me. I want just talking with you in peaceful mood」


PEACE、平和とな。
怖い気持ちを聰らせない為に、タバコを一つくわえる。
火までつけると、彼は静かに自分のコーヒーを飲み始めた。
変な空気が漂う中、先手は彼から放たれる。


「Greetings, Do you know who am I?」
「No, I don't. but…… but I……know your clock」
「Oh」

彼は自分の時計をウ゛ェストのポケットに入れた。正しく、懐中時計を入れる所である。
こっちは体中の水分が枯れそうになっているというのに、男は優雅にコーヒーで喉を潤した。
セヒョンもコイツも、ファッションセンスがおかしい。
彼が着ているスーツは、どうみても100年は昔に流行っていた大正ものだ。

「Well……at first, I do introduce myself. My name is Louis, Le Breguet」(


今、ブレゲ云った。
確かに聞こえた。
どこかフランス語のなまりがあるようだが、それだけはハッキリと脳に刺さった。


「My name is 진용 한」
「Thank you, Sir Han」


男の声はやさしくて、人を和ませる性質があった。
言葉を交わすにつれ、俺の心も緩くなっていき、徐々に舌が回るようになった。


「I'm not a Knight. just a common people」
「Oh, sorry」


男が写真1枚をみせる。
深夜に撮影されたようで、妙なダストが混ざっていて、よく取れたとはとても言い難い写真である。
なのに、不思議とそこに捕らえられた人物だけはぐっきり分かってしまうーーーー尹世玄。


「……!?」
「Do you know this girl?」
「No……Nothing」


嘘吐いた。
頼む、騙されてくれ……!
が、男は意外と清々しく引いていく。


「OK. I do not pursue」

パルスゥ。
知っている単語なのに……なんだっけ?
頭の単語長を必死になって捲っていたら、外人の男は余ったコーヒーをがぶ飲みして席を立つ。


「……Be careful, a young Clock-User.
This Town to be Battlefield」


最後に、俺の肩を軽く叩いて、男はイノセントを跡にした。
彼が街角に消え去るのをしかと見届いてから、やっとケータイを取り出して彼女の名前を押した。



コメント(3)

久しぶりのログインで、よもやクルさんの小説を読めるようになるとは思ってもみなかったw

個人的にちらりと話してくれてたね。
こうした形で見られると、また聞きかじったのとは違う側面が見られて新鮮。

環境の所為では仕方がないけど、3話(二個目の方。ハン君が色々と実験しているレポートがまとめられているところ)と、5話の間の話がごっそりと抜け落ちてしまっているのが今のところベストオブ残念。

何かしら読み手側でも補完できるようにすると良いかな、と思います。

5話の始まりの時に、最初何があったのか解らなくて前後の話を何度も読み返してしまいました(苦笑

お話そのものへの突っ込みじゃなくて申し訳ない。

あ、あと英語の部分は……読者にも元から伏せる、もしくはある程度読める人前提ということでルビが振ってないのですかね?
何となくは単語単語で理解できたような気もしますけど、フツーの人が読む分には目と手が止まって停滞してしまいそう^^;
hanasiha wakatta.
maxa 70goniha honkideno XIIIga mireru hazunanode, sonotokini hoansitokusa.
全体的に読み返してみた。
誤字どころかへんな漢字使いおおすぎるOTL
68日後には直しますよ。はいはい。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

アキグレ 更新情報

アキグレのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング