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バーチャルトラベル?コミュの2002年12月31日〜2003年1月1日

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十二月三十一日

日記をつけていないと、日付けまで忘れてしまいそうになる。
ラバト4日目。
信じられないことに、夕べは十一時間もベッドにいた。始めと終わりの一時間づつは、本を読んだり、寝起きでぐずぐずしていて眠っていたわけではないのだが・・・退屈な一日の始まり。転じて、一歩宿の外に出れば、Excitingなラバトの始まり。

十一時頃宿を出て、とりあえず何か食べたかったのでメディナへ入っていったが、まだあまり店が開いておらず、かといって、ハエがブンブンたかっているパンだのチーズだのましてや甘いお菓子など食べる気にもなれず、しかたがないのでコーラだけ買って、カスバの奥の、海が見える丘の上の方へ向かった。おとといフランチェスカと夕日を見た場所だ。
広場へ出ると、子供達がサッカーを始めるところだった。邪魔しないように端の方を歩き、石が積まれている、海が眺められる方へと進む。しばらく石積の上に座って、たばこを吸い、コーラを飲んで、海や、海岸沿いの白い壁の連なる家々を眺めてぼんやりしていた。時折、欧米人らしき観光客が、僕の側まできて、写真を撮ったりビデオをまわしたりしていた。確かに良い風景だ。今度来た時にでも、僕も一枚くらいは写真を撮っておこうと思った。
丘を降りて、先日のギャラリーのほうへ行くと、中で手招きをするおやじがいる。このあいだと同じおやじ。中へ入って、さらっと見て帰ろうとすると、呼び止められ、上にテラスがあるから見ていけと言う。一応「いくら?」と聞くと、10DHと言っていたが、本当に有料だったかは定かではない。
扉の中へ通されると、薄暗くテラス?に上がるとパッと視界が開けた。おやじは、「あれが・・・だよ。あれは・・・だよ。」という具合に、360度案内してくれた。観光場所や建物には興味がなかったが、カスバそのものを上から見下ろせるのが良かった。今日も歩いた丘の上までの道も含め、迷路のように入り組んでいて、白壁の住居がぎっしりと並んでいる。中には小さなモスクらしき建物や、キリスト教の教会らしき建物も見えた。しかし、これだけ多くの住居があるにもかかわらず、住人らしき人はほとんど見当たらなかった。そして再び階段を途中まで降り、たぶん「昔の牢屋」と言っていた場所に案内してくれて、数メートル毎にある壁の穴を指して
「この穴からパリ(軍?)に向けて銃を撃つんだ」
と言っていた。
外に出て坂を少し下ると、先日来た時には閉まっていた、フランチェスカが行きたいと言っていた庭園の門が開いていた。門をくぐると、中は斜面に合わせて段々になっていて、花や木が植えられており、良く手入れされているようだった。さほど多くない人達が、ベンチに腰掛けたりして、のんびり庭を眺めたり話をしていた。奥には眺めの良さそうなカフェがあって、気持ち良さそうだったが、覗いただけで入るのはやめた。カフェのテーブルの向こうには、さっき僕が見たのと同じ大西洋があった。
しばらく入り江沿いを歩いて、メディナの中へ戻った。さすがに腹が減ってきたので、何か食べようと思ったが、すぐにあった、魚のフライがてんこ盛りになっている店には入る勇気は無かった。歩いていると、何軒かの店先で、肉をつくねのように串につけて焼いている店があったので入ってみた。
「パンは半分にするか、それとも・・・」
と聞かれたところで「半分で良い」と言ったのが良くなかったのか、出てきたのはサンドウィッチだった。と言っても、いつもの丸パン半分に、表で焼いていた肉がたっぷりはさんであってとてもジューシーで旨かった。
メディナを抜けた後、駅前にインターネットができるところを探しに行った。すぐに見つかり、入口の料金表を見ると細かく分かれていたが、だいたい一時間10DHだった。階段を上がり、そのネットカフェ(モロッコではcyber cafeと言う)らしき店にはいると中はクーラーが効いていてちょっと驚いた。愛想の良いおばちゃんに促されてパソコンの前に座ったが、そのマシーンにはインターネットができるソフトが入っていなかった。隣のマシーンに移ってもだめで、ソフトの入っているマシーンを探してやっとメールチェックを始めると、今度は文字化けがひどくて、手を尽くしても日本語が全く読めなかった。諦めて文字化けを無視し、メールを書いた。来ていたメールでは、唯一バックパッカーの友達からのメールだけが、アルファベットひらがなだったので読むことができた。
「tabun nihon-go yomenai daroukara...」
と書いてあったが、さすが!だと思った。まあ今日、「読めない読めない」とみんなに返信しておいたので、次からはアルファベットで送ってくることだろう。
宿に一旦戻り、日記をつけてからベッドで本を読んでいたら眠ってしまった。マドリードにいた頃には考えられないことだ、ベッドで本を読むなんて・・・。本を読むにしたって、日記をつけるにしたって、必ず誰かがそばにいた。でも、僕が集中していると、誰も話しかけてこなかったし、例えば伸びなどをすると、そんなタイミングで控えめに話しかけてきたり・・・。今日は何か変だ。日本よりも、グナやキャロルやトーマスがいたマドリードが懐かしい。まあたとえ今マドリードに戻ったところで、彼等はすでにいないはずだが。
昼寝から起きて、ハリルに誘われて晩飯に出た。連れていかれたのは、駅に程近い、小洒落たレストランだった。ハリルとはそれまであまり話したことが無かったが、話してみるとなかなか気さくな奴で、食事中の話は大いに盛り上がった。Kenifraと言う町に住むモロッコ人で、地元で学校の教師をしているらしい。
お互いの旅の目的など、お決まりテーマについても話したが、何より笑ったのはモロッコ男の特徴や習性についてだった。僕がTangerの港からRabatまで一緒だったスペイン人の女性の行く末を少しだけ案じて疑問に思っていたことについて、つまり、彼女はあのモロッコ男性に騙されているのではないかと感じたことについて、彼に聞いてみたのだ。すると、
「les apparenceの奴が多いんだよ。モロッコは・・・」
と、ハリルは言った。僕はそのフランス語の意味がわからなくて、反応できないでいると、僕の持っていた電子辞書に、スペルを打ち込んで見せた。僕が日本語に変換すると、(外見・みせかけ)と出た。
「リアリー?あははは・・・」
僕は吹き出して笑った。
「イエース!ほとんどのモロッコの男は見せかけだけの奴らなんだよ。」
ハリルと僕の会話は基本的に英語なので、満席のレストランで、僕らが大声でこんな話をし、大笑いしても、誰も意味なんてわかりっこない。ひとしきり笑った後、
「本人を知らないから何とも言えないけど、その相手の男が、真面目な奴だと良いね」
とハリルは言って、コーラのおかわりを注文した。ちなみにそのレストランで食べたのは、牛肉の串焼きとターメリックライスとサラダとコーラだ。料理自体は別段うまいというわけでもなかった。

あと一時間で2002年も終わる。いつも思うことだが、来年こそは良い年にしたい。
 今年は本当にいろいろなことがあった。本当に。
今、日本を離れて思うと、今年は、過去を清算した年だったのかもしれない。例えば片思いをしてきた彼女のこと。一年半越しの思いに、終止符が打たれようとしている。しかも新しい恋なしに。
マドリード最後の晩、カルロスが僕にこっそり聞いてきた。
「ケンドー、お前キャロルのことが好きだろ?」
僕はすぐに答えた。
「Of course! you know I like her very much! But I like you too,Carlos!」
僕にとって、人を愛するまでには、少し時間が要る。清算したつもりでも、日本に帰れば、また現実が待っている。そして今も、決して楽な旅ではないから・・・。

あと5分で新年だ。日本では9時間前に除夜の鐘。とても静かな一年の終わり。そして、とても静かで、酒無しの一年の幕開け・・・in Rabat.

二〇〇三年 一月一日

たとえ日本にいたとしても、正月というのは退屈なものである。 着物を着て、両親と一緒に親戚の家へ出向き、昼間から酒を飲んで、あっという間に腹一杯になって、昼寝して、起きてまた酒飲んで・・・。その間、親戚中に何回も何回も同じ近況報告をして、そして相手のも聞かされて・・・やれやれ、考えただけでとても億劫になる。

さて、ラバトの元旦はというと、普段と変わらない。強いて言うなら、会社や郵便局やらシーベルカフェやらは休みだ。(cyber cafeは夕方からやっていた)さしずめ日曜日と同じといったところか。ただ、メディナ、カスバに限って言えば、今日は観光客が多かった。 
ここ何日か、毎日飯を食べに行ったり、海を眺めに行ったり、暇つぶしにブラブラ歩いたり、何かにつけ通っていたが、今日は本当に人が多かった。本当に歩くのが困難なほどだった。
朝は、とりあえずマックに行った。別にどこでも良かったが、メディナの入口近くにある、僕がよく行くレストラン「ALAME」がまだやっていなかった。腹も減っていたし、のんびり本も読みたかったので、とりあえずマックにしたのだ。新年早々、ダブルチーズバーガーのセット。39DH。ちびちびコーヒーを飲みながら、2時間近く、マックで本を読んでいた。
都合の良いことに、マックの目の前には、シーベルカフェがある。覗いてみると、やはりやっていない。日曜、祭日は午後三時からとのことだった。僕は、まだ歩いたことのない方の道を進んで、海を目指した。車もまだ少なく、人影もまばらで、雲一つ無いアトランティックブルーの空から降り注ぐ太陽と、少しだけ涼しい海風が、なかなか良い感じだった。そんな風にして、一時間近く、海辺の道を散歩して、メディナの中ヘと入った。
宿に帰ると、僕はハマムへ行ってみることにした。ハリルがアイシャに場所を確認して入り口まで連れていってくれた。
ハマムとは、言うなれば銭湯だ。ただし湯船は無い。男女別になっている狭い入り口を入ると、正面に番台らしきところがあり、辺りでは皆、ベンチに腰掛けていたりして、服を脱いで浴室に向かう人や、ハマムからあがってのんびりしている人など、大勢がいた。 番台のおやじに手招きされて、大きなバケツを2つ借りる。作法がわからなかったので辺りをキョロキョロ見回してから、そろそろと服を脱ぎ始めると、となりのおじさんが僕に声をかけてくれた。彼は何故か僕に英語で話し始め
「服を脱いだら一つにまとめて、あそこへ預けろ。風呂から出てきたら、服を着て、帰る時に金を払う」
と、簡潔に教えてくれた。
「服は全部脱ぐんですか?」
と僕が訊ねると、おじさんはきっぱり
「パンツははいてろ」
と言った。
浴場へ入る。中は部屋が三つに分かれており、それぞれの部屋で皆それぞれに、体を洗ったり、寝ころんで寛いだりしている。湯気が立ちこめていて、ミストサウナにいるような感じだ。僕は一番奥の、お湯汲み場のある部屋へ行き、バケツを置くと、それに熱いお湯と、水を適量入れてもらった。それを持って比較的空いている場所へ移動し、髪を洗い体を洗い、ついでに、履いたままではあったが、パンツも洗った。こんなことなら、さっき脱いできたTシャツも持ってきて、洗えばよかったと思った。まあ次はそうするだろう。  
ハマムの中では、明らかに外国人は僕だけだった。こっそりという風でなく、皆が僕を物珍しげな目で見ていたが、特に恥ずかしいというようなことは無かった。パンツを履いたまま、風呂場にいることの方が、僕には違和感があった。そして、変な感じかもしれないが、裸になってまで恥ずかしがるようなものは、何もないような気がした。
かなりさっぱりしてハマムを出て、宿に戻った。時計を見ると、ちょうど3時少し前。支度をしてまたすぐに宿を出た。そして昼飯を食べに、ALAMEへと向かった。メディナの中へ入るとすぐに、いつもALAMEで僕の注文を聞いてくれる男の子に会った。彼は僕に気が付くと、駆け寄って来てくれて、握手をして挨拶を交わした。すぐに走り去る彼に「お店開いてる?」と聞くと、ウンウンと振り返りながら頷いた。アラビア語がほとんど話せない僕に、彼はいつもにこやかに、身振り手振りで応対し親切にしてくれる。
店では、食事を軽めにしようと思って、sandwichを注文した。ところが、予想に反して出てきたものは、いつものパンとタレ?(トマトソースのようなもの)と、たぶんこれらをはさんで食えというものであろう、小さいハンバーグ5・6個とトマトとレタスの皿だった。もちろん僕は、はさんだりせずに、普通のおかずみたいに食べた。味は言うまでもなく美味かった。
食事の後は、ネットカフェに向かってみたが、すでに三時半だというのにまだ開いていなかった。もしや、今日は休みか?とも思ったが、とりなおして、朝とは別のルートでカスバを目指した。
カスバの丘の上は、いつもと同様、子供たちがサッカーをしていて、しかも今日は、カップルがやけに目についた。ちょっとうらやましかった僕は、塀の上に腰掛けて本を読み始めたけれど、(そういう場所ではないな)と思っていた。できることなら、僕だって女の子と二人で、大西洋に映る夕日を眺めながら、愛を語り合いたいと思う。でも仕方ない。とりあえず今日はひとりぼっち。
しばらくボーッと本を読んでいたら、すぐ隣にいた、若くないカップルに声をかけられた。ひどいアクセントだったが、
「僕らの話は、君の読書の邪魔をしていないかね?」
みたいなことを言われたので、僕は、
「いいえ、全然。気にしないでください」
とだけ言ったが、二人はほどなく去った。いささか増えすぎてきたカップル達に気を使い僕もそのすぐ後に場を離れた。
メディナの中は、前述の通りすごい人並みだった。途中、公衆トイレに寄った時、用を足して出るときに、出入り口で番をしている奴がいて、そいつに(チップをよこせ)みたいなことを言われた。アラビア語だったから、わからない振りをしても良かったのだが、ついうっかり、
「払わなきゃいけないのか?」
と、フランス語で返してしまった。番のオヤジは、にやけた顔でウンと頷く。
「いくら?」
と聞くと、一瞬間を置いて「5DH」と言ってきたので、僕は日本語で「えー!」と言って大袈裟に渋り、ポケットの中で小銭を選り分け、2DHだけ見せると、ウンウンと言ってその小銭を取っていった。やれやれ、僕の負け。
メディナを出てから、大通りを渡るために信号待ちをしているところで、向かい側の歩道に日本人らしき人を見かけた。僕は驚いてしまって、声をかけられなかった。なぜならモロッコに入って、初めて日本人を見たからだ。横断歩道ですれ違い、渡ってから振り返ると、相手も向かい側で目を丸くしていたので、たぶん驚いていたのだろう。その場はすぐに立ち去ってしまったけれど、今思えば、あの時声をかけていれば、少しは楽しい時間が過ごせたかもしれないと思う。今少し後悔。
それから三たびネットカフェへ行く。やはり開いていた。まさにアフリカチック。決められた時間なんて、あって無いようなものだ。二時間ネットカフェにいたが、マシーンの速度があまりにも遅くて、本当にイライラした。二時間もいたにもかかわらず、チェックしたメール3通。送ったメールたったの4通。ありえない。
晩飯はまたまたALAME。カツレツを注文すると、「チキン?フィッシュ?」と英語で聞かれ、チキンを選んだ。すると、チキンの素揚げが出てきた。フライドポテトもてんこ盛りだった。不味いわけが無い。いつもついてくる皿盛りのトマトソースをつけて食べるとこれまた非常にチキンと合っていて美味かった。寒かったのでコーラではなくスープも注文すると、これまた不思議な味。トマトベースだとは思うが、何かの骨が入っていたので、いろんな余り材料なんかを全部鍋に入れて、長時間煮込んだものと思われる。とてもマイルドな味で、とても暖まり、美味しかった。

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