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バーチャルトラベル?コミュの2003年1月27日〜30日

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1月27日

 ヌアクショット2日目の午後である。ようやく落ち着いて日記をつけることができる。前日からの続き。
 カミヨン自体は一度もスタックはしなかったが、他の車が何度も砂に埋もれた。その度に、僕らは砂を均して鉄板を敷き、声を掛け合って車を押した。タイヤの空気圧も何度もチェックした。柔らかい砂地では、どんどんタイヤの空気を抜き、硬い砂地では、またタイヤに空気を入れた。カミヨン自体はスタックこそしなかったが(もしあのでかい車がスタックしてしまったら、僕らは途方に暮れてしまったに違いない)、とても古い車両で、インパネのメーター類はすべてピクリとも動かず、ドアもガタガタ、おまけに燃料タンクの蓋がきっちりと閉まらなかった。ベンは2年前にオランダでこのカミヨンを買ったと言っていたが、それからヨーロッパで仕事をしつつ転々とし、ポルトガルでは1ヵ月間、カミヨンの荷台で暮らしたと言っていた。確かに荷台の中には、ソファーベッドがあり、ガスコンロがあり、プラスティックの棚があり、釣竿があり、スノーボードまで吊るされていた。もちろんスピーカーやカセットデッキもある。カミヨンの後部には、ベンのYAMAHAのこれまた古いバイクが積んである荷台があり、およそ生活に必要なものは全て揃っていた。とまあそんな具合に、ばかでかい車でサハラを越えてきたわけだが、初日と二日目は、皆仲良くバカ騒ぎしながら過ぎていった。狭いが一応道もあり、初日などは夜の9時近くまで走り続け、寝る場所、つまり車を止める場所を見つけるのも簡単だった。腹ペコだったが、皆でワインを飲みながら、ベンが作るTajineが出来上がるのを待って、2時間経って出来上がったTajineをつまみながら、遅くまであれこれとおしゃべりして過ごした。
 2日目も、最初は前日の続きみたいに快調に進んでいたが、1度チェックポイントがあり、その後モロッコ側のパスポートコントロールがあって、モロッコを出国するといきなり道は無くなった。あるのは道というか、多くの車によって踏み均された砂漠の平地だった。そしてすぐに、モーリタニア側のチェックポイント。そしてなぜかその隣にパスポートコントロールがあった。最初のチェックポイントで、カミヨンの内部をかなり細かく調べられ、最後に決め台詞「Donnez moi, petit cadeau」。そして次のパスポートコントロールでは、一人ずつ役人に呼ばれ、僕が職業を聞かれた時chauffeurと言うとTaxi?と聞かれ、そうだと言うと、モーリタニアでタクシーの仕事をするのかなどと、からかわれた。パスポートコントロールのところで3台で一人のガイドを雇った。そのせいで、僕らの行き先はヌアディブではなくヌアクショットに変更になった。そしてそこから先は、ほとんどずっと、質の悪いジェットコースターに乗っているような気分だった。カミヨンの荷台に積まれているベンの生活用品はことごとくバラバラになり、僕は一応外の風景を眺めつつ、すぐ真横にあるスペアタイヤが倒れてくるのを防ぐように身体で押さえながら、体勢を保っていた。僕が不思議に思ったのは、ダクラからヌアディブを通らずに、直接ヌアクショットへ向かったのにもかかわらず、何故National Parkのほうへわざわざ回ったかである。ヌアディブに寄らないのだから、一番内陸のルートをとれば良いのに、僕たちが雇ったガイドは、何故かエントリーフィーのかかる、海岸に近いほうのルートを取ったのだ。おかげで僕たちは、ヒッチ代金以外に、ガイド代30€とNational Parkの通行料15€もかかってしまった。2日目の夜は前述通り、民家に泊まることができたので、快適に夜を送れた。しかし、3日目からだんだんいろいろな点で歯車が狂い始めた。まず第1に、カミヨンのガス欠があった。致命的とも思えるこんな事態でも、何故か砂漠のど真ん中にもかかわらず、タンクでガソリンを売っている場所があり、そこで油まみれになりながらも、給油をすることができた。が、しかし、このあたりから、ベンがだんだん苛立ち始めた。第2にパンが無くなったために、フィリップが落ち着かなくなった。とは言っても、ほとんどのパンを平らげてしまったのは、もちろんフィリップであり、ベンなのである。僕やSwee Kongも行動は変わらずいられたが、疲れの色はもはや隠せなくなってきていた。そしてとうとう、バイクを積んでいたカミヨン後部の荷台が壊れた。もちろんずっと続いていた、でこぼこ道のせいである。仕方なく、僕らはその荷台に積んでいたベンのバイクを、荷台の奥のほうへ積みなおした。しかもその夜から翌日にかけて、砂嵐に遭った。Swee KongとPhilippeと僕は、3人並んで砂嵐の中、砂浜で頭から寝袋をかぶり寝るはめになった。もちろんベンはカミヨンの中で寝た。今考えるとすごくむかつく。

1月30日

 今、ダカールにいるが、とりあえずサハラの続きを書く。
 3日目の夜、寝る場所に着く前に、National Park Feeを払う場所に立ち寄ったとき、途中で切れてしまったタバコを買うべく、持っていた20€を両替してみた。真っ暗闇の中で、物売りの少年に持ちかけられ、レートは分からなかったが、とりあえず1€=200UMでウギアに交換し、タバコを買った。
 4日目の朝も砂嵐は続いていた。僕が目覚めた時にはすでに皆起きていて、出発の準備をしていた。急いでまた荷台に乗り込み、間もなく車はスタートした。海岸沿いの道を、あまり揺れることなく進む。ところが途中で、エンジントラブルの車に遭遇!急遽カミヨンで牽引することになる。この後ベンとフィリップがマジの言い争いを始めてしまい、僕は助手席に乗ることになる。運転しながら見るからに怒り心頭といった感じのベンに、どうしたのかと聞いてみたが、思ったとおり、フィリップがわけのわからないわがままを言い続けたことで、言い争いになった様子。「ヌアクショットに着いたら、フィリップの奴を殴ってやる、本当に」と息荒いベンをなだめつつ、砂嵐の中をひたすら南へ向かった。海岸(砂浜)の道からダイレクトにNouakchottかと思いきや、またまた硬い砂地へ入り進む。途中牽引していた車の左後輪がパンクしたが、みんなで寄って集ってたった5分で交換終了。そして夕方頃やっと、また何かのチェックポイントがあり、そこからは薄っすらと舗装の跡が見える道を進み、ようやくNouakchottの市街に入ったのであった。
 
 僕らが到着した場所は、誰かがHotelと言っていたが、おそらくはサハラのガイド達が、客を必ずここへ連れてこなければならないguest houseのようなものだったのだろうと思う。もちろん、そこに泊まらずに市街地に出る者もいるのだろうが、僕らがそこに着いた時には、すでに辺りが暗くなり始めていたし、僕自身も疲労困憊で、とても新しく宿を探す元気など無かった。やっとカミヨンから降りることができ、早く身体を休めたり、シャワーを浴びたり、食事をしたりしたかったのに、やはり金のことでもめた。ベンが、ダクラからヌアディブまで300DH、そしてヌアディブからヌアクショットまでが300DHと約束したにもかかわらず、30€+50€よこせと言い出し始めたのだ。これにはさすがに皆反発したが、僕自身としては、酷く疲れていたせいもあり、そしてすでに80€も先渡ししてしまっていたので、もうどうでもよくなっていた。ただ、言うだけのことは言いたかったので、皆の興奮が少し収まって、Swee Kongとフィリップが相談し始めた頃、僕はベンのところへ行って、自分の考えを言った。その内容は、
「僕はそれを払えるよ。とても大変な道程だったけど、とても良い経験ができたと思っているし、確かに君のお酒を分けてもらって飲んだし。でもね、僕とSwee Kongもボトルの水や食料を出した。しかも僕は、12本以上あったボトルの水を、たった1本しか飲まなかったし、ディナーのとき以外、ほとんど食べ物も口にしなかった。これについて君はどう思う?」というものだった。これを話している最中に、2回くらいベンが相槌以外の言葉を言い始めたので、すかさず僕は話を止め、じっと彼の目を見て、わざと小さな声で「Can I speak ?」と言うと、彼も黙って僕の話を聞き始め、そして最後には「わかった。君はもうこれ以上払わなくていいよ」とベンは言った。

 さて、宿についてだが、これまたちょっとあった。とにかく金を使いたくないSwee Kongが、シャワーとトイレだけ4€で使わせてもらって、寝るのは外で良いと言い出したのだ。さすがにこれには僕も反抗したが、結局彼は考えを曲げなかった。しかしそのことを宿の主人に相談すると、「では・・」と言って屋上へ僕らを連れて行き、「ここならタダでいいよ」と言ってくれた。その屋上には、巨大なテントが張ってあり、その下にマットレスとクッションとテーブルと椅子と照明があった。その時の僕らには、そこが天国のように見えた。二人とも大げさに喜んで主人に礼を言い、4€だけすぐに払って使わせてもらうことにしたのだった。まあ今となっては、決して戻りたいとは思わないが。
 荷物を階上に上げ、早速水シャワーを浴びると、本当に体中砂だらけだったことが良くわかった。頭からシャワーの水をどれだけ流しても、下の排水口には黒い水しか流れなかったからだ。シャツやパンツを洗おうと思い、洗面台でいつもの通りに洗ってみたが、いつまで経ってもすすぎの水が透明にならなかったので、諦めて適当に切り上げた。鏡を見ると、髭ボウボウでほんの少しだけ頬がこけてやつれてしまった様に見えて愕然とした。しかし晩飯は、最高に幸せを感じることができた。白いご飯と、Agadirで買ったインスタントラーメンと、温めたグリーンピースとツナだ。あの時ほど、食事をしていて幸せに感じたことは、久しく無かったと思う。一つとして日本のものは無かったけれど、久しぶりに日本食を食べたような喜びを感じることができた。

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