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横尾龍彦 TATSUHIKO YOKOOコミュの秩父通信20

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超越志向とアート(2)
横尾龍彦ブログ 横尾龍彦
美というのはすなわち超越です。この小さな肉体という器を激しく突き破るようなものが、そして永遠がもたらすイメージこそが、人間の持つかけがえのない美的なものだと思います。これを芸術と言います。はるか彼方の精神界に勇気を持って泳ぎ出て、現実という毎日の生活の向こう側に行こうとする衝動がある時に、そこに初めて美というものが見えてきます。また美術館に飾られた過去の様々な作品に対しても、そういった気持ちでもって接すると、自己に解放を与え、本当にそこで美を経験したという印象を持つはずです。

こういった経験を、残念ながら現代に生きる多くの人たちは持つことがありません。物質ばかり、数字ばかり追いかけている現代人の魂のどこに美が宿ることができるでしょうか。

この状況を何とかするのが私たちアーティストの使命です。社会に対するメッセージを積極的に発信していかなければいけません。共に夢見る力を取り戻して、自分自身に深い傷を受けながらも、あえて道化となって街の中に出て、そこで多くの人の注意を惹きながら、美はどこにありますかと問いかけるのが、現代の芸術家の役割ではないでしょうか。

かつてのように社会に一切背を向けて、自分の狭いアトリエだけにこもって、こつこつと絵を描くことに熱中するのもまた素晴らしいことですが、やはり今は時代が少し変わってきました。シュタイナーが言ったように、社会芸術というものは切実に必要なことだと思います。そういう意味で、宗教家は今は信頼を失っています。アーティストは本来無職ですから、歴史的な意味で権力をふるっていません。我々は今という時代にもう一度アートを通して宇宙を捉え直す、また自分の心の中を捉え直す、そしてそれを超えていくような技法を作る必要があります。私は、将来は宗教とアートが一つになっていくと想定しています。アートの中における宗教性の復活。それは宗教というものは何も神に祈るということだけではなく、自分の中の尊いものを再発見することです。それはまた、アートが本来持っている意味でもあるのです。

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