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2024年04月21日08:28

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歩き続ければ、大丈夫。[読書日記983]

題名:歩き続ければ、大丈夫。
著者:佐藤 芳之(さとう・よしゆき)
出版:ダイヤモンド社
価格:1400円+税(2014年11 第1刷発行)
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ケニアで事業を興した佐藤芳之さんの本を読みました。
佐藤芳之さんは1939年生まれ。ケニアでさまざまなビジネスを試み、三十五歳で立ち上げた小さなナッツ・カンパニーを世界五大マカダミアナッツ・カンパニーに育てた方だそうです。

目次は次のとおりです。
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 はじめに
 序 章 「何かやりたい」から始めよう
 第1章 考える前に走りだそう
 第2章 やりたいことを形にしよう
 第3章 消えない情熱を持ち続けよう
 第4章 シンプルに生きよう
 第5章 「本物」であり続けよう
 終 章 最後はやるか、やらないか
 おわりに  生まれた時代をフルに生きる

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印象に残った文章を引用します。

【序 章 「何かやりたい」から始めよう】《最初から本気になれる人は、なかなかいない》から、著者がガーナ留学生時代に見たココア農場の人たち。
“ココア農場で働く人の表情は、いきいきしていました。部落から無理やり連れてこられて殴られたり打たれたりしながら奴隷のように働いている紅茶農場やコーヒー農場の農民とは、全然違っていたのです。
 「オーナーシップがあると、人の顔はこんなに明るくなるんだ」
 人は、楽しそうに働く時、一番いい仕事をするものです。(51p)
 ⇒この経験を活かして、著者は自分のナッツ・カンパニーでも同じようにしたそうです。

【第1章 考える前に走りだそう】《まずは「形」にしてしまう》から、ビジネスを始める人へのアドバイス。
“「何かビジネスを始めたい」という若い人にするアドバイスがあります。
 それは「タンジブルなものをつくりなさい」ということ。
 「タンジブル(tangible)」とは、日本語でぴったりくる言葉は見つかりませんが、要は「触れることができる」という意味。ナッツでも、フルーツでも、バスケットでも何でもいいから、実際に手で触れる物をつくりなさい、そう助言します。”(74p)
 ⇒“タンジブルなものは言葉で説明しなくても伝わります”と続いています。

【第2章 やりたいことを形にしよう】《「石の上にも三年」ではない》から、「自分に向いていない仕事」に対する著者の考え方。
“もし、「今の仕事はちょっと向いてないな」と感じたら、次を探せばいいのです。「自分の場所」はなかなかわかりません。だから、みんな悩むのです。みんないろいろ試しながら自分の場所を探そうとします。「新卒で入社したところが自分の場所」だなんて、そんなラッキーな人は滅多にいません。”(120p)
 ⇒私は「石の上にも三年」という言葉を嫌いではないのですが、それが向かない人もいるのでしょう。

【第3章 消えない情熱を持ち続けよう】《本当の「試練」は、つらくない》から、アフリカで働くことについて。
“アフリカと日本、どちらが楽ということはありません。
 私からすれば、東京で働くほうが数倍しんどいように思えます。毎朝、あの満員電車に乗って会社に行くなんて、とてもできそうにありません。アフリカで働くほうが、東京で働くよりよっぽどマシともいえる。やりたくないことをやっている時の「苦労」は、どこにいても誰にとってもしんどいものです。逆に、やりたいことをやっている時にぶちあたる「試練」は、つらくない。楽しくてたまらない場合さえある。「苦労」と「試練」は似て非なるもの。”(135p)
 ⇒“やりたくないことをやっている時の「苦労」”は、よく分かる感覚です。

【第4章 シンプルに生きよう】《ちょっと粗野に、シンプルに》から、日本とアフリカの時間感覚の違い。
“日本が精密な機械時計だとしたら、アフリカは日時計です。
 日本では、電車やバスが時刻表通りにくるのは当たり前、打ち合わせに遅刻する人もいない。社会全体が一分一秒も狂うことなく、チクタクチクタクと動いています。
一方、アフリカの時間感覚は昼と夜からできています。みんな日時計で動いているように、ゆったりとしている。時間を細かくいう人はいなくて、おおよそ午前の前半と後半、午後の前半と後半があるくらい。”(162p)
 ⇒日本の経済専門家が聞いたら、ギョッとするような発言ですね(笑)。

【終 章 最後はやるか、やらないか】《「グローバル」は無理してめざすのものじゃない》から、「グローバル人材」について。
“最近、日本ではさかんに「グローバル人材になれ」「海外に出ろ」といわれます。でも、私はそうは思わない。内向きでいたい人は内向きでいいと思います。
 本当に海外で活躍する人は国民全体の3〜5%もいれば十分。あとは国内で「内向き」に生きていても国は回っていきます。アメリカにしても本物の「グローバル人材」はそのくらいしかいないでしょう。”(226p)
 ⇒この本が書かれた頃(2014年)と今は状況が異なるかもしれませんが“全員がグローバル人材になる必要はない”という考えに賛成します。

締めくくりに【おわりに 生まれた時代をフルに生きる】から、引用します。
“人生に無限の可能性なんてないのだけれど、最初の一歩を踏み出せば想像もつかないくらい遠くまで行けるかもしれない。この本を通じてみなさんに伝えたかったのは、実はそのことなのかもしれません。”(234p)
ビジネス関連本の中には、自身の成功譚を語るだけのものもあります。
ですが、本書は筆者の人生観が文章に現れた共感できる内容でした。

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佐藤 芳之(さとう・よしゆき)
ケニア・ナッツ・カンパニー創業者、オーガニック・ソリューションズ代表取締役社長、株式会社ニダフジャパン代表取締役会長。1939年生まれ。宮城県志津川町(現・南三陸町)で幼少期をすごす。1963年、東京外国語大学インド・パキスタン語学科を卒業後、アフリカ独立運動の父、クワメ・エンクルマに憧れて日本人初の留学生としてガーナ大学で学び、修了後はケニア・東レ・ミルズに現地職員として入社。31歳で退職し妻子を連れて日本に一時帰国。「やっぱり、アフリカで何かやりたい」と決意し、32歳で単身ケニアに戻り、鉛筆工場、製材工場、ビニールシート工場など、小規模なビジネスを次々と立ち上げ、うち一つを最終的にケニア・ナッツ・カンパニーとして世界5大マカダミアナッツ・カンパニーに成長させる。2008年に同社をタダ同然でケニア人パートナーに譲渡したのちは、微生物を活用した公衆衛生・肥料事業をケニア、ルワンダで展開。アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、日本など、世界各地にあるビジネス拠点を飛び回る日々を送っている。趣味は水泳と草原で聴くマーラー。著書に『OUT OF AFRICA アフリカの奇跡』(朝日新聞出版)がある。

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