ムラ社会の出来レース

（かなり毒を吐いた妄想です）
　もう４月になりましたが、昨年末から今に至るまで、ずーっと自民党の裏金問題が毎日のように報道されてます。
　でも、これって家計でいえば、家計簿（政治資金収支報告書）に記載すべき金額を記載してなかったことを理由に、不記載に関わった犯人を捜したり処分したりしているだけで、不記載のカネが何の出費に充てられたのか（最終的に誰がその裏金を得たのか）具体的なことにはほとんど立ち入ってないですよね。
　なぜ、立ち入らないのでしょうか？　政治資金規正法の目的（趣旨）は、不正なカネの流れを断つということなのですから、立ち入ることは、むしろ、その目的（趣旨）に沿う、いいことであるはずです。なのに、なぜそれをしないのか？　いよいよもって不思議です。
　とはいえ、裏金がこちらの拙日記（https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986615628&owner_id=22841595）にいう「有力者」の手に渡ってしまったのであろうと感じている人は少なくないと思います。おそらくその認識は正しいです。でも、その「有力者」の名前を具体的に明かしてしまうことは、あまりにも危険なのです。
　なので、みんな怖くて立ち入れない、いや問題にすること自体がタブーなんですよ、きっと。言い換えれば、そういうタブーがあるムラに私たちは住んでいるんだと思えば、年末から今までの流れに非常に納得がいきます。
　そのムラでは、「有力者」様がいるからこそ、このムラが成り立ってるんだと人々は錯覚して（錯覚させられて）います。だから、「有力者」様が危機に陥るようなことがあれば、皆一丸となって「有力者」様を守ろうとします。正しいか否かは問いません。とにかく、「有力者」様を危険に晒してはいけないという無条件の暗黙の掟があるのです。
　その結果、政治資金規正法違反の不記載により多額の裏金が生じていることが告発されたときも、（もしかしたら、その裏金を「有力者」様が取得してしまった（そして罪に問われる）かもしれないので）その使途や最終的に誰がその裏金を得たのかを追及しようとはしません。むしろ、人々の関心を少しでもそんなことからそらすように、もっぱら不記載に関わった犯人捜しや処分ばかりをもっともらしく問題にするのです。与党はおろか野党も雪崩を打ってこれに加わりました。
　ヤリ玉に挙げられた議員は不愉快でしょうが、でも裏金の使途等を正直に暴露しようものなら、次の選挙で「有力者」様から見放され（さらには妨害され）落選するのは必至でしょうし、政党は自党の公認候補が選挙で負ければ、それだけ党勢が衰えます。財界その他の圧力団体はせっかく政治献金しても、献金先の政党が選挙で勝てなければ自己の利益が図れません。そういうわけで、何が何でも、「有力者」様を守らなければなりません（たとえそれが正しくないことであるとしても、そんなことは問題ではないのです）。
　結局、議員がスケープゴート的にひとり悪者になって我慢すれば、みんな丸く収まるわけです。というか、みんな最初からそれを狙って（たとえ裏金の使途が最大の問題だと気付いていても、気付かないフリをして）演技しています。ムラ社会の出来レースなのです。
　ここでひときわ悪質なのは、この国のマスメディアです。
　私でさえ考えるこの程度のことは、情報通であるマスメディアが考えないはずがありません。でも、不記載に関わった犯人捜しや処分ではなく、裏金の使途を追及するべきだといった趣旨の記事にはお目にかかったことがありません。それどころか、NHKに至ってはこんな無駄に長いちょうちん記事まで書いてます→https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/104266.html（「Ｑ．裏金化された資金は、いったい何に使われているのか？」と「Ｑ．使いみちは具体的に？」という所で裏金の使途などについて触れてあり、それらはウソではないのでしょうが、必要経費の域を出ないものがほとんどであり、それが全てという保証もなければ、金額等も不明なものです。それらを調べ上げるのがメディアの仕事のはずなのですが）。
　マスメディアは表現の自由が保障されている限り、タブーに関わりなく正しいことを何でも主張できそうですが、本当に強いワルに牙を向くことは滅多にありません。本当に強いワルに牙を向いて自社を潰されることは避けたいからです。でも、そんなホンネが容易に見透かされてはまずいので、議員には牙を向き、視聴者の興味関心をそちらにそらそうとします。
　おそらく、議員はワルの中では下っ端で、弱いのです。だからメディアとしては潰される心配もなく安心して切り込めるのでしょう。しかも、議員といえば、お上、上流社会の人間と世間的には見られていますから、彼らを悪者にして、批判する番組をやれば、いかにも権力に牙をむく庶民の味方といった正義漢面をすることが出来、視聴率を稼ぐことだって出来ます。マスメディアにとってはいわばおいしいネタなのです。
　でも、そんな形で金儲けして恥ずかしくないのでしょうか？
　こうして、不正なカネの流れにメスが入ることがないなら、いずれまた似たようなことが起こることでしょうね。
　しかも、こんな茶番劇が長々と続いている間に、本来解決すべきどれだけ多くの問題が議論すらされずにいることか。本当に腹が立ちます。