mixiユーザー(id:5160461)

2024年02月04日22:24

16 view

アジア仏教美術論集 中央アジア〈1〉ガンダーラ~東西トルキスタン 中央公論美術出版 2017年2月1日

https://mixi.jp/view_item.pl?id=4689278
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000106542719&owner_id=5160461
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974012005&owner_id=5160461

p.504
月支王の時に現れた張掖郡の仏影像なる由緒は経典等には見えず未詳だが、ソーパーは高名なナガラハーラの仏影像が甘粛の張掖でも模写されていたことを示唆するものと述べ、本像に見る奏楽天を配した中国風の火焔光背は、模写がおこなわれた時期――ソーパーは六世紀第二四半期頃とする――の流行が混入した結果と解釈した。しかしながら、両氏の推測は成り立たない。亀を龍と誤認したことよりも、ナガラハーラの仏影が如来像であったことを失念した過誤が大きい。
p.508
七世紀後半の中国でこれらを翻訳した実叉難陀も提雲般若も共にコータン出身であることは、『華厳経』の編纂が行われたのがコータンもしくはその周辺と考えられることと軌を一にしており(木村一九九二:二四)、彼らの仏像観に、五〜六世紀頃に作られたラワク僧院出土象のような特異な千仏光背をもつコータンの仏像のイメージがあったことが推察できる。
p.525
向かって右(先頭)より智通都統(Uig.citung tutung)、進恵都統(Uig.sinkui tutung)、法恵都統(Uig.vapkui tutung)である。森安孝夫氏は先頭の智通を『千眼千手観世音菩薩陀羅尼神呪経』(大正二〇:一〇五七)の翻訳者その人と見なした。…これを承けて百濟康義氏は、隣の宝恵を『名僧伝抄』にみえる高昌出身の宝恵に比定し、ここに描かれる僧侶たちはトルファンの仏教あるいは寺院と深い結びつきをもつ歴史上実在した高僧たちであると考えた。
p.526
これを承けて松井太氏も、森安氏が西ウイグルの王族と考えた莫高窟四〇九窟の供養人像に付されるウイグル語の傍題をil arslan xan「イル・アルスラン・ハン」と読み、この人物を西ウイグル国の可汗とみて、森安説を補強している。
 美術史界も森安氏の沙州ウイグル説に反応を示した。
p.541
それは、sisya-guru-acarya-silacandra-agneya‡「(仏)弟子、アグニの尊師シーラチャンドラ」と読まれ、この比丘がアグニすなわちカラシャール出身のトカラ仏教系比丘であることを示す。さらに彼が手に取る梵夾にもブラーフミー文字でprak(ina)ka-skandhaka(雑蘊)と書かれていたという。「雑蘊」とは、とくに『阿毘達磨大毘婆沙論』で詳説されるテーマであり、これによりシーラチャンドラが説一切有部に属する学僧であることがわかる。
p.544
 そして両者を統合する要請から出現したのが、ウイグル語による称号であるsazin ayγuci(沙津愛護赤)、すなわち「教義総統」であったと考えられる。
p.546
すなわちqutluγ「天寵ある」は「賞紫金印」に、tapmïš「供奉せし」は「内供奉」に、ögä ïnanč「長老、信頼すべき大官」は、「校檢廿二城胡漢僧尼事」に対応しているのかもしれない。
p.553
その絵図は中世ペルシア語ではng'r、パルティア語では'rdhngと呼ばれていたことが知られているが、ここでは「大門荷翼」とある。これの原語は必ずしも明らかではない。
p.554
そのうち有名なものはシリアのエフレム(Ephrem Syrus西暦三七三年没)が書いた『散文論駁(Prose Refutations)(6)』の一節で、シリア・メソポタミアでマニ教徒たちが説教用の絵画を使っていると言っている。

 中国では八四三年の会昌の法難の際、マニ教は弾圧されたが、その事件を記録した『新唐書』の記事には「有司収摩尼書若象焼于道」とあり、宗教文献(=摩尼書)以外に図像(=象)も焼き払われたとある(8)。
p.555
その一つは上で引用したエフレムの一節で、悪魔や神々が描かれていたことが分かる。
p.557
 ヘニング(Henning)はここにある「ここ汝の前にあるこの絵(= ng'r)」とは、本のなかの挿図をさすものと理解していた。そして'rdhng wyfr's「絵図の説法」というタイトルの本があることから、この文書はそれと同様の挿図とそれに対する解説がある本だと考えていた。その後ズンダーマンは、'rdhng wyfr'sの残された断片のすべてを調査し、絵画はおろか絵画に関する言及も全く含まれてはいないことから、ヘニングの想定は成立しないことを明らかにした。ズンダーマン自身は、'rdhngはマニの絵図を指すのではなく別の聖書(Pragmateia、漢文文献の缽迦摩帝夜部)を指す表現だと考えた。しかしその後、'rdhng wyfr'sに関する研究を生前のズンダーマンと共同で行ったグラチ(Zs.Gulacsi)の準備中の著書によれば、ズンダーマンは後にこの見解を改めたという。いずれにせよ、M219で言うng'r「絵」が、マニが描いた絵であるという理解は変わらない。
 このように全貌は明らかではないものの、マニが描いた絵図には彼の宇宙論の中に登場する神々や悪魔たち、個人の終末論、そしてマニにとっての異教の宗教が描かれていたことが分かる。
p.561
その最初は二行目の「エセンチョル・チグシ's'ncwr cygsyy(=刺史)」というウイグル語の人名である。寄進者の名前であろう。五行目の人名「チャーチ・クズc'cxyz」のc'cはタシケントを意味するから、この教団とカラハン朝領内の信者との関連も推測できる。
p.562
マニ教の守護神であり(27)、四天王(ラファエルをはじめとする四大天使)の図像であろう。…
…彼の像の上には赤いインクのマニ文字で、「尊長マーニー・イショー(m'nyyyšw' xwyštr)」という彼の法名と敬称が書かれている。
p.565
その胸の部分で、しばしば仏教絵画では卍が描かれる部分に、ソグド語で「栄光」を意味するprnという文字が縦書きされている(33)。prnは卍を意味するものと理解される。
p.566
Al-Bīrūnīが伝えるšābuhragānの一節には、マニに先行する預言者としてインドには仏陀、ペルシアにはゾロアスター、西方にはイエスがいたとし、そして最後に自分がバビロニアに現れたと言っている(cf. Reeves 2011, pp. 102-103)。
p.567
その冒頭は那羅延で、五番目がマニであるが、マニを中心とした配列になっている。五佛の思想が江南以前の中央アジアにすでに存在したことは、ソグド語文献に「五佛(pnc pwtyšt)」という表現があることからも明らかである(37)。
p.568
なおマニが読んでいた新約聖書は、シリア語に翻訳された『ディアテッサロン』であることは別に論証されている。
p.570
一つはMIK III6278=Gulacsi 2001,no.79で、従来は月の船にのる三人の神格であると解釈されていたが、宇宙図では月は円形で描かれており、このような三日月型の船は光の船を表す(図11)。…
…そこでは布教用に'rdhngとk'w'n「巨人の書」を新たに作成したとあることから、『巨人の書』にある伝説(神話)を描いた地図もかつて存在していたことが分かる。
p.576
これはマニの死後に教団が独自に絵画を加えていった結果であるとも考えられるが、筆者はむしろ、聴者の生まれ変わりのパターンは千差万別で、すべてを描くことは不可能であったことを言っているのではないかと考える。つまり筆者は、一般信者の死後の運命は描いてあったが、ごくわずかのパターンしかなかったことを示唆していると考えるわけである。実際、この質問に対するマニの答えは筆者の解釈を支持するように見える。
p.578
27 これらの四神格の比定についてはGulacsi(2001:73)を参照せよ。マニ教絵画のモチーフを否定することがどれほど難しいか、また研究者ごとにどれほど解釈が異なるかの一端が知られる。一人の研究者が解釈を変えることも珍しくない。…

33 筆者からの指摘にも拘らずグラチが一貫してこの語をpwtと読み、図像の比定の証拠にしようとするのは全く理解できない。
p.579
41 筆者が研究したベゼクリク出土の手紙の一つには、rδnkという語が見え文脈から聖書の一種であることが分かる。cf.吐魯番地区文物局(編)、一一三‐一一四頁。これはパルティア語の'rdhngと同じ語で、マニの絵図を指しているに違いないから、一一世紀初めのトルファンの教団は確かにこの絵図を持っていたのである。

43 実際F. de Blois(2009)は、『ビラウハルとブーザーサフ』の短い版のほうの中にある話(酔っ払った男が死体を抱く話)と一致するマニ教ウイグル語の説話はアラビア語版に基づいているとする。全く根拠のない推測でもないが、筆者にはにわかには信じがたい。



■「ウイグル」強制労働のアルミニウムをトヨタなどが利用か?人権団体が指摘
(TBS NEWS DIG - 02月01日 22:07)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=7734394

国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、トヨタなどの自動車メーカーが中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって造られたアルミニウムを自動車生産に使っている可能性があるとする報告書を発表しました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが1日に発表した報告書によりますと、特に電気自動車の部品として使われるアルミニウムは中国が世界の6割を生産しており、うち15%以上が新疆ウイグル自治区で生産されているということです。

調査の結果、新疆ウイグル自治区にある大手アルミニウム工場でウイグル族やトルコ系のイスラム教徒が強制的に働かされており、そこで製造されたアルミニウムをトヨタやゼネラル・モーターズ、フォルクスワーゲンなど中国国内に工場を持つ大手自動車メーカーが使っている可能性があるということです。

報告書は「消費者はウイグル族の虐待につながりかねない自動車を購入している」と警告、メーカーに対して、アルミニウム生産工場の場所を開示することや新疆ウイグル自治区からの調達を1年以内にやめること、日本政府などに対しては、強制労働のリスクが高い地域からのアルミニウムの輸入を禁止する法律を作ることを求めています。

これについて、トヨタは「人権尊重をはじめとするグローバル企業としての行動指針に基づき、「人間性尊重」の考え方を大切にしています。仕入先に対しても、人権の尊重と、あらゆる人権侵害に関与しないことを求めています」とコメント、「報告書についても、今後、内容を精査して参ります」としています。

新疆ウイグル自治区をめぐっては、国連が2022年、「深刻な人権侵害が起きている」とする報告書を発表。特に「再教育施設」で拷問や虐待が行われた可能性があると指摘しましたが、中国政府は「職業訓練や中国語の研修を行う施設であり、強制収容所ではない」と反論しています。


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年02月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
2526272829