mixiユーザー(id:32437106)

2023年03月24日21:01

430 view

戦時下の動物達(前編)、ウクライナの自然環境と動物園移送プロジェクト、日本の里山を代表して東京都八王子市長池公園 トモエガモ夫婦

日本テレビは、スッキリでの放送中、出演者がペンギンの池に落下したことについて、謝罪文を出した。公共事業費によって運営される動物園は、種の保護と共に、子供を中心に、教育する目的もある。改めてモラルが問われる事態となった。
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=7349609

  本日の主題は、ウクライナの自然と日本の里山である。四方を海に囲まれ、山あり谷ありの険しい日本列島とウクライナの環境は大きく異なる。西部のカルパチア山脈を除き、国土はほぼ平坦で、乾燥が進む。

 戦時下で進むウクライナから国外への動物の移送プロジェクトと、日本の里山を代表して、東京都八王子市別所にある長池公園を紹介する。


  <戦時下の動物達の移送プロジェクト ウクライナの自然と日本の里山>

 目次
・第1章 ウクライナの動物達
 1.ウクライナの地形と動物
  (1) ウクライナの動物達
  (2)ドンバス地域で略奪される動物達
2 . オデーサから救助されるクマのマーシャ
  (1) 初めにアメリカへ移送された9頭のライオン
  (2)オデーサからルーマニアへ メス熊のマーシャ
  (3)世界最大のクマの保護区へ
  3. 日本時間3月23日(木)付け、バフムートの戦い最新情報

 ・第2章 八王子長池公園、満開のヨウコウザクラと春まで残った一組のトモエガモ夫妻
  (1)里山について紹介
   (2) 3月19日(日)の長池公園レポート
(3) 桜の季節まで残ったトモエガモ夫婦

          第1章 ウクライナの動物達

 以下 ウクライナ動物の関連日記
 2022年4/15(金)円安が進む 最新ウクライナ情報と動物関連 ウクライナ国内のペット達 フクロウの化石など https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982076649&owner_id=32437106

 2022年10月8日付け 7月から10月初旬の情勢について
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983436892&owner_id=32437106
  
 (1)ウクライナの国土について

 日本の国土の1,6倍になるウクライナは、南西部のカルパチア山脈を除き、国土はほぼ平坦である。全長1500kmに渡る山脈の1角にあるブナ原生林は、世界自然遺産に登録された。スロバキアとウクライナ側は2007年に、ドイツ側が2011年に追加された。正式名称は「カルパティア山脈のブナ原生林とドイツの古代ブナ林群」という。2017年には、12カ国まで拡大され、新名称「カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群」に変わった。

 原生林の面積は、東西185キロメートル、総面積2万9278ヘクタールに及ぶ。ナラやボダイジュなどの樹木も生育し、カエデやカシ、モミなどの別の樹種との混交林も確認される。多様な食性により、生き物達の格好の住処となった。絶滅危惧種のキンメフクロウを含め101種類の鳥類、ヨーロッパノロジカやアカシカ、ヨーロッパミンク、ヒグマ、アカギツネなど73種の哺乳類の生息が確認されている。

 詳細 世界自然遺産ガイドより https://worldheritagesite.xyz/carpathians/

写真=上記のサイトより ブナ林
フォト

南部は乾燥したステップ気候、その他の地域も湿度が低く、夏は乾燥しがちだった。首都キーウの年間降水量は、東京都の1400mmに対して、600mm程度にとどまる。冬は寒いものの、夏は暖かくて、快適だという。古くから首都キーウ郊外を跨ぎ南北に流れるドニエプル川沿いを中心に、町が形成された。15世紀、中南部の荒野には、イスラムのオスマンの属国クリミア汗国から防御するべく、コサックと呼ばれる自警団が形成されていた。16世紀以降、ドニエプル川沿いに定着している。コサックは、ウクライナを象徴する。遠く離れた日本では、ウクライナ発祥の「コサックダンス」が受け継がれている。

   (2)ドンバス地域で略奪される動物達

 21世紀、ロシア軍との戦争により、多くの人々が傷つき、住処を追われる中、動物にも大きな影響を及ぼした。ウクライナ当局の推計によると、戦闘により巻き込まれた動物達は100万匹以上になる。激しい戦闘の舞台となるドネツク州では、ロシア軍による略奪行為により、動物達に被害が及んだ。飼育員を含め、職員が避難したことにより、警備が手薄になった園内にロシア軍が入り込み、アライグマやオオカミ、クジャクが連れ去られたという。防犯カメラには、あばれるアライグマをわしづかみにした兵士の姿が映っていた。連れ去られた動物達の行方はわかっていない。

 Yahoo 2022年12月8日付け https://news.yahoo.co.jp/articles/204e9527af066f0948c150952559226999ab6680

       2.オデーサから救助されるクマのマーシャ

       (1)初めにアメリカへ移送された9頭のライオン

 穀物輸出の拠点となったオデーサでは、いち早く動物達の救出作戦を実行した。ロシア軍による侵攻開始後、動物園で飼育された9頭のオスライオンを、安全な米国への輸送が始まった。7頭の大人と2頭の子供を陸伝いで、モルドバを跨ぎ、5月24日に一時滞在先のルーマニアに到着した。保護施設内で餌を与えて、健康管理を行う。米国への渡航許可の申請が降りると、9頭を飛行機に乗せる。到着先は、米・コロラド州の自然保護区である。非営利団体「The Wild Animal Sanctuary」が運営する約1万エーカー(約4047万平方メートル)の敷地だった。600頭以上の哺乳動物が、手厚く保護され、職員から世話を受け、時に獣医師から怪我や病気の際には治療を受けている。

 詳細 朝日DEGITAL 2022年10月21日付け https://www.asahi.com/articles/ASQBP4192QBPUHBI00Q.html

写真=上記のサイト 移送されたライオン
フォト

         (2)オデーサからルーマニアへ メスグマのマーシャ
 
 戦時下において、飼育動物の扱いにも苦慮する。ドネツク州を中心に、激しい激戦により、飼育員がシェルターに避難すると、動物園はがら空きになる。ウクライナ軍が撤退した町では、無秩序状態となり、ロシア軍により略奪行為が繰り返された。西部オデーサでは、危機を察して、いち早く動物達の避難ルートが確保された。

 続いて紹介するのは、ウクライナ西部サンビルで飼育されていたユーラシアヒグマである。マーシャと名づけられたメスグマの避難プロジェクトが行われていた。

 詳細 2022年4月18日付 日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD0463Z0U2A400C2000000/

 避難先は国境沿いのルーマニアの町ハルメウである。輸送プロジェクトを率いたのは、ウクライナを拠点とする動物保護団体「ウォリアーズ・オブ・ワイルドライフ」の創立者で代表者のライオネル・デ・ランゲ氏だった。

 写真=デ・ランゲ氏  Lionel de Lange flew to Ukraine on Monday as part of a relocation project for a bear. Image: SUPPLIED
フォト
 掲載元 times live 2022年2月25日14時55分 https://www.timeslive.co.za/news/south-africa/2022-02-25-listen-sa-animal-rescuer-in-ukraine-speaks-about-russian-invasion/
 

輸送車にマーシャを載せて、20時間かけて、国境検問所を越えて、一時的な保養先のハルメウにたどり着いた。平時よりも、道路事情は悪く、爆撃の不安から、緊張が続いていた。検問所の前では、安全な国外への渡航を求めて、長蛇の列が出来ていた。体の大きなマーシャを、狭い車内のケージに閉じ込めておくと、ストレスがかかる。ライオネル・デ・ランゲ氏は、そこで決断する。輸送車の扉を開けて、外からの新鮮な空気を送った。ケージの中でじっとしているマーシャだが、国外避難を求めていた人々の目に留まり、視線を注がれたという。

 写真=クマのマーシャを見せるデ・ランゲ氏 掲載元 https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/11009050q
フォト 

ランゲ氏は、避難民の目にさらすことに一抹の不安を覚えていた。戦時下において、人命が優先される中、動物を移送することに、非難された経験があるからである。

 我先にと国外へ脱出を図る人々は、ケージ越しとはいえ、クマの姿を見て、緊張が和らいだという。

 西欧諸国の力を借りて、動物を退避させる大掛かりなプロジェクトは、戦争開始当初から活発に行われている。対照的に、空襲警報が鳴る中、自らの命を犠牲にしてまで、飼育種の世話をする人々の存在を忘れてはならない。

       (3)世界最大のクマの保護区へ

2022年3月21日に、ユーラシアヒグマのマーシャは、最終目的地ルーマニアのザルネシュティにあるリバティ・クマ保護区に到着した。ヨーロッパ各地のサーカスや修道院、ホテル、観光地などから保護された117頭のヒグマの静養地である。

 写真=ウクライナのザンビルとルーマニアのリバティ・自然保護区の位置関係を示した図 
 フォト

 デ・ランゲ氏は、メス熊のマーシャとの付き合いは4年にのぼった。2018年にサーカス団からマーシャを保護したことに始まる。2022年3月時点で22歳のマーシャは、生後間もない頃から母親から離れ、18年にわたり、人の下で生活していた。移動を繰り返すサーカス団員に売り渡されると、忠実な僕として、訓練をさせられる。綱渡りや自転車載り、ボールを扱う芸を覚えた。サーカス団員として、観衆を引き付けたとはいえ、褒美はなく、狭いケージですごす時間が長かったのである。ランゲ氏は、マーシャを気遣い、サーカス団から買取り、リビウ近郊のサンブル農場に居場所を設けた。ランゲ氏が率いる団体が、農場の持ち主と契約した土地である。2021年末に契約切れに伴い、動物達の新たな移転先が必要だった。ルーマニアのリバティ・保護区が、引き取り先として名を上げてくれた。輸送手続きは2022年2月28日だった。決められた日時に従い、準備を進めていた。事態は急変する。2月24日にロシア軍が、宣戦布告なしに、ウクライナへ武力攻撃を仕掛けたのである。ロシアから離れた西部ザンブル地区でも爆発音が響いた。

 ランゲ氏が暮らすのは、ヘルソン州のへルソン市、2月24日の侵攻から2日後の26日に、クリミア半島に拠点を置いていたロシア軍によって、占拠された。ランゲ氏は、着の身着のまま町を後にし、徒歩とヒッチハイクにより、ルーマニア国境へと逃れた。異国の地で動物達の移送プロジェクトを始める。輸送車の手配手続きに入ったものの、6社から断られた。7社目は、本来の目的を伏せ、ウクライナへの物資輸送と説明して、バンの貸し出しを許可されたという。食料・衣料品・衛生用品、合計700キログラムを詰め込み、ウクライナへと戻った。

 2018年にサーカス団から引き取った後、農場の敷地で世話を引き受けていたのは、ウォリアーズ・オブ・ワイルドライフの従業員だった。3月20日、ルーマニアから物資を調達して帰還したランゲ氏を従業員は歓迎した。事は速やかに進む。再開を喜ぶまもなく、ランゲ氏は、マーシャを鎮静剤で眠らせる。移送用ケージに入れ、ルーマニアとの国境に着くまでの20時間、車を走らせた。国境を越えた後も、安全性は高まったとはいえ、10時間も車を飛ばした。検問所では、新鮮な空気を送ったとはいえ、マーシャは不安から、常道行動を繰り返したという。狭いケージ内で、円を描くように歩き、与えられた食べ物も口にしなかった。サーカスの一員として過ごした18年の日々が、フラッシュバックしたといえる。

「到着した日の夜は、全員が大変な思いをしました」と、リバティ・クマ保護区の創立者で代表者のクリスティーナ・ラピス氏は振り返る。到着時、好物の蜂蜜を与えても拒否し、体が震えていたという。

 新たな環境に不安を覚えたことは明白だった。翌朝には、冷静さを取戻したとはいえ、動きは重かった。ケージから足を一歩踏み出し、草の感触を確かめたという。生まれて22年間、サーカスの一員として過ごした頃から、孤独だった。保護されて4年間も、同じクマと触れ合うことがなかったのである。22年の人生で、初めて仲間と出会い、自然の草の上で過ごすことが出来たのである。

 写真=リバティ自然保護区で暮らすクマ
フォト

 世界最大のクマの保護区を管理するクリスティーナ・ラピス氏の下には、ウクライナ各動物園から問い合わせが続く。爆撃を受けて廃墟となったレストランの跡地で発見された15歳のヒグマの保護も決まった。

 動物愛護の精神が根付く21世紀、我々ヒトと同じ命と理解されつつある。動物移送プロジェクトにも多くのウクライナ国民が、支持していた。保護プロジェクトの一員、デ・ランゲ氏は、身の危険を犯してまで、動物達の命を救うべく、活動を続けていく。

     3. 日本時間3月23日(木)付け、バフムートの戦い最新情報

 ロシア軍によるウクライナ侵攻は、2年目を迎えた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、いかなる領土割譲も許さず、クリミア半島奪還を掲げている。ロシア軍は、ドネツク州とルハンスク州を含めたドンバス地域の完全制覇を達成するまで、武力攻撃を緩める気配はない。2022年末以降、へルソン市からハルキウ市の攻略部隊を引き上げ、ドンバス地域に投入している。兵の数で勝るロシアが、ドンバスでの攻防において、優勢にたつ。2023年1月25日に、ウクライナ側は、ロシア軍により約2週間前から制圧されたドネツク州の補給地ソレダルからの撤退を認めた。ロシア軍は、ソレダルから、バフムートへの物資の補給が可能にり、畳み掛けるように攻勢をかける。

 写真 掲載元 NHK キャッチ!世界のトップニュース 2023年1月17日付
https://www.nhk.jp/p/catchsekai/ts/KQ2GPZPJWM/blog/bl/pK4Agvr4d1/bp/pdGbyWEj8V/


2023年3月22日の段階で、バフムートの攻防において、ロシア軍の制圧地域は70%、反撃に出るウクライナ軍の司令官は、弾薬が尽きつつあることを認めた。保有している武器を効率よく使うべく、ロシアの民間軍事会社ワグネルが、2月25日に占領したヤヒドネ村を狙う見込みだ。バフムートは戦前の人口7万、ワグネルが拠点に置くヤヒドネ村は3000人が暮らしていた。ウクライナ軍が辛うじて保有している強力な武器は、長距離誘導爆弾(JDAM-ER)である。旧ソ連製の古い戦闘機に装着することにより、飛行しながら発射すると、威力が増す。米国防省によると、木の高さほどの低空飛行しながら、発射した場合を想定すると、8km先から16km先の物体にまで命中するという。

 バフムート近郊の戦い 詳細 Forbess 2023年3月22日付け 弾薬不足のウクライナ軍、バフムートで慎重にロシア軍を攻撃 https://forbesjapan.com/articles/detail/61811/page2

停戦の道筋も見えないまま、ドンバス地域を中心に攻防が続く。

 写真=上記のサイトより
フォト


 第2章 八王子長池公園、満開のヨウコウザクラと春まで残った一組のトモエガモ夫妻

           (1)里山について紹介

続いて戦争からかけ離れた日本の首都圏の里山が舞台である。紹介するのは、東京都八王子市南東部の長池公園、人口の池や雑木林、水田、梅林から成り、昭和時代の原風景を残している。

 今月前編・後編に渡り、春先の公園の模様を紹介させていただいた。

 前編 2023年3月15日 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984612095&owner_id=32437106

 後編 2023年3月17日 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984628468&owner_id=32437106

 国土がほぼ平坦なウクライナに比して、山あり谷ありの日本列島は地形が険しい。人々は、古くから傾斜地を上手く利用し、沢から水を引き入れ、稲作を行ってきた。丘陵地に階段状に広がる田んぼを「棚田」という。春先水を張った棚田に、光が当たると、鏡のように雲を写しだす。今ではフォトスポットとしても定着している。

 写真=長野県千曲市にある 姨捨の棚田 掲載元 aのEVFが見せる世界 2019/5/26
フォト 

長池公園は、里山保全活動の一環として、西暦2000年に開園した。里山とは、ヒトの手が入った生態系が維持された区域をさす。小川のせせらぎが聞こえ、田畑と雑木林と人家が隣り合う、日本の原風景である。ヒトによって植林された雑木林には、クヌギやコナラが中心となり、クルミとミズナラも混在する。人々は、木の成長に従い、切り倒して、冬に暖をとるための薪として利用した。人々が築き上げた環境下で、タヌキやアナグマ、ノウサギなどが定着している。野鳥の世界でも、春と秋には、南国と北国または高原地帯を往復するキビタキを含め渡り鳥が立ち寄った。湿潤な気候に恵まれた日本列島は、植物の生育も早い。人々は、定期的に雑木林に入り、枝打ちや下草刈りを行っていた・

       (2)3月19日(日)の長池公園レポート

3月19日(日)の午後3時から4時ごろ、暖かい日差しに誘われ、子供から大人まで、思い思い散策を楽しんでいた。園内南部の長池見附橋と築池まで跨る芝生広場では、駆けっこやボール遊びする子供達の姿がある。ヨウコウザクラが育つ通り沿いでは、キッチンカーが出展していた。

写真=長池公園の地図 掲載元 https://www.h-yugi.org/nagaikepark
フォト

以下 公園の地図 アップ
http://www.pompoco.or.jp/1999_2016/chiikitai/201011map.pdf

 築池・水辺観察デッキでは、15日(水)まで、10羽のトモエガモが確認されていた。19日には、オスとメスの一組の番のみ残っていた。カルガモの数が上回る中、池の端から端まで静かに移動する。他8羽の仲間達は北国へ向けて飛び立ったものの、一組の夫婦は居心地がよかったのか、築池にとどまる選択をした。

   オス               メス
フォト フォト
  
 オスとメスの2ショット
フォト

 トモエガモは、2020−2021シーズンには、首都圏の複数個所で確認された。ここ長池公園でも3年連続、越冬することになった。間もなく、他の8羽の後を追うように、繁殖地の北国へ向けて旅立っていく。

 春の見所といえば、長池見附橋交差点から長池橋口まで跨るヨウコウザクラ並木である。15日(水)に咲き始めだったものの、既に満開を迎えている。道行く人々は、花びらにスマホを近づけて、撮影をする。

 写真=長池見附橋の西側に位置する結婚式場ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢を背景に撮影
 フォト

 写真=花びらをアップ
フォト

 ヨウコウザクラは、ソメイヨシノよりも開花期間が短く、見頃はおよそ数日にとどまる。鮮やかなピンクの花びらは、太陽光を受けると、より引き立つ。

 この日ヒキガエルの鳴き声は聞こえず、産卵期を終えたと判断できる。池には粘液に包まった卵の鞘が、張り付いていた。

春本番を迎えた長池公園は、より多くの人々が散策していた。植物の開花リレーが行われる中、我々人の世界でも卒業や入学シーズンを迎える。

       (3)桜の季節まで残ったトモエガモ夫婦

3月21日(火・祝)午後3時過ぎにも、長池公園に向った。この日、朝からどんよりとした雲に覆われていた。芝生広場では、子供をつれた家族グループの姿がある。ヨウコウザクラは、2日前に続き、満開状態だった。

 写真=長池橋から北側の結婚式場ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢側を撮影

 公園内の長池の道に咲くカタクリは、開花が進んでいた。とはいえ、例年と比べると、色あせているうえに、お辞儀をするように垂れ下がっていた。

 写真=同じ場所で2021年3月24日に撮影した株
フォト

 以下 長池公園のカタクリの写真を掲載したサイト 株式会社エー・アル・アイ
http://www.ari-web.com/ari/hachioji/E/D/671/G50/003.htm

 一緒に観察した知人は、寿命を迎えてきているのではないか、と推測していた。カタクリは発芽から開花まで7年から8年、寿命は40年から50年、成長はゆっくりである。公園ができたのは西暦2000年、開園後に球根を植えた場合、開花から16年から17年といえる。冬から春へ移り変わると共に顔を出すことから「春の妖精=スプリングエフェメラル」ともいう。植樹活動により、身近な里山でも観察できるようになった。

 ヨウコウザクラとカタクリに続き、3月中旬まで残った一組のトモエガモ夫婦を探した。公園到着時、姿はなかったものの、午後4時半頃、夫婦寄り添いながら、ゆったりと水面を進んでいた。

 オスとメス
 フォト

 夫婦は、カルガモに遠慮しているのか、大きな移動はなく、周囲を回りながら、辺りをうかがった。陸地での餌を求めて、築池と歩道の間にある林の中に入り、採食をする。歩道の築池の道と、池の間はフェンスによって隔てられていた。私自身も始めて、トモエガモの食事シーンに出くわした。オスもメスも嘴を土の中に入れて、感触を確かめる。餌となる昆虫を摘むと、嘴を小刻みに振って、飲み込んだ。


 写真=築池の道からオスをアップで撮影
フォト
 写真=築池の道と水辺の間で食事中を撮影
 フォト

 頭の模様が緑、白、黒の3色入ったオスと、全身茶褐色のメスでは、派手さが違う。現に初めてトモエガモに出会った私の知人も、オスにひきつけられていた。

 春先はカモ類の繁殖期、首都圏の平地ではカルガモのみ残る。トモエガモを含め、他のカモ類は、北国へ飛び立ち、日照時間が長く、湖が広がる北海道やシベリアで繁殖活動を行う。

 南北に細長い日本列島は、南国と北国を往復する渡り鳥の中継地になる。冬場平地では、北国で繁殖を終えたカモ類が、滞在する。殺風景な冬場、池の中は色取り豊かなカモ類でひしめき合う。今では、餌付けにより、冬ガモ達は、人になれるようになった。
 日本は、1991年のバブル期まで、野山を切り開き、工場地や宅地へと変えた。多摩ニュータウンでは、5階建て、または10階建て以上のマンションが林立する中、子供たちが遊べる公園が残された。宅地の合間に位置する長池公園は、まさに緑のオアシスのような存在だった。人々は、ふとした拍子に、自然の中に帰りたくなる。昭和時代の原風景、里山は着実に親から子へと次の世代へと受け継がれている。 
 
5 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年03月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031