悲しい光景である。全米の都市で展開される黒人を主とした抗議デモ。まるで1年前の香港デモを見るようだ(写真)。
違うのは、商店への略奪が横行していることだ。便乗した無頼漢が多数、混じって、商店を襲い、金目の物を略奪している。
ワシントンの飲食店は、やっと数日前に影響再開したのに、これでまた休止だと頭を抱えている(写真)。
これによって、当初の警官暴行事件への抗議デモの主旨が大きく毀損された。
◎制度としての差別はない
10日ほど前の5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで逮捕された黒人容疑者が白人警官によって首を絞められて死亡した事件をめぐって始まった抗議デモは、当初、平和的な集会・デモだったが、便乗した無頼漢と組織的な煽動者によって略奪を伴う暴動に発展した。
アメリカには、制度としての人種差別はないし、個人としても人種差別も厳禁だ。会社で差別をした者は、社内的地位を失う。その点で、セクハラが厳しく規制されていることと同じだ。ちなみにアメリカの企業、公的機関、大学・学校には定年制がない。年齢差別が禁止されているからだ。
それで思い出すのは、10年ほど前、アメリカで現地工場を立ち上げて日本に帰任した知人が語った言葉だ。工場勤務の労働者の採用募集の履歴書に、写真を貼る欄がなかったという。人種で採否を決めたと後で批判されないためだ。
◎暴動扇動者を取り締まれない民主主義の脆弱性
それほど人種問題は繊細で、差別は禁止されている。しかし個人の心の中に巣くう差別意識は、払拭しきれない。それが、今回の事件だ。なお黒人容疑者を死に至らせた警官は、即座に懲戒免職にされ、殺人罪で訴追されている。
それでも抗議デモ・集会が全米に広がっている。
これを見るにつけ、民主主義とは実は脆弱な体制だと思う。
計画策定やアジテーション・プロパガンダだけでは取り締まれない。実行行為も、法の限度を超えて初めて規制できる。そうして暴動は、全米に広がる。
かつてフランスのマクロン大統領も、「黄色いベスト」運動で手こずり、譲歩に譲歩を重ねて政権体力を磨り減らした。
計画段階で大量逮捕・投獄できるスターリニスト中国との大きな違いだ。
◎スターリニスト中国は高笑い
スターリニスト中国の官製メディアは、これ見よがしに、連日、詳細に報道しており、自らの体制の優位性宣伝に余念がない。それが、やりきれない。
武漢肺炎パンデミックも抑えられない、暴動も収束させられない劣等国、というわけだ。
しかし平和的な抗議デモ・集会ならどこまで自由で、本日の香港での6・4市民革命(いわゆる「天安門事件」)追悼集会さえ禁止する独裁との差は、歴然としている。独裁者どもに、揶揄されるいわれはない。
◎武漢肺炎パンデミックのストレスが
この暴動には、むろん扇動者と無頼漢がかなり流入しているけれども、火が全米に燃え広がったのは、やはり武漢肺炎での外出規制や失業・収入減などでストレスがたまっていたからだろう。これも、いわばスターリニスト中国の謀略のように見える。
トランプ大統領は、武漢肺炎と反政権暴動との闘いで、困難な2正面作戦を強いられている。
だが信じられないのは、トランプ大統領の相変わらずの強気一辺倒ぶりだ。ツイッターでデモ参加者の神経を逆なでる投稿を繰り返している。
◎もはやトランプ再選はなし
これまでの民主主義国の指導者なら、まさに前記のマクロン大統領がそうだったように、叛乱者の言い分にも耳を傾け、譲歩に譲歩を重ねて収束させようとした。トランプ大統領は、その点でまさに異質である。
これは、トランプ大統領の民主主義国のと指導者としての資質にあらためて疑問視させる行為だ。
おそらく武漢肺炎対策の混迷と今回の暴動で、11月の大統領選挙でトランプ大統領は対立候補のバイデン前副大統領に敗れるだろう。
それは、スターリニスト中国にとって大きな勝利となる。思うだに腹立たしい。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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昨年の今日の日記:「安倍首相の4選は、アメリカ大統領選次第」
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