妄想探偵社

〜移動〜

「八重洲側の高層ビルが近くに見えるって事は
ここは新幹線の始発の駅っていう事になるよね」

『はい』

「根拠は？」

『訊かれると思いました
二枚の写真は一つが赤いテールランプでもう一つは明るい前照灯
いずれも左手奥に距離は少し違うけど同じビルが写っていて
同じ番線で同じ方向を時間差で撮った写真だと言えますので』

「同じ番線は判ったけど何故始発駅なのかな？」

『はい　仮に路線の途中駅だとしたら
同じ番線で同じ方向にテールランプと前照灯が‥
つまり最後尾車両の顏と先頭車両の顔を同じ位置で撮るのは
不可能で　この番線で折り返す時のみ撮影可能ですす
きっとこの二枚の写真の撮影者は新幹線が好きで
一枚目のテールランプはホーム上がってさっそく目の前を出発する
のぞみの姿にシャッターを切り
二枚目の撮影位置まで‥おそらく次に入線するのぞみの指定席が
１２とか１３号車なので後方の乗車位置まで歩いている時に
のぞみが入線してきたので興奮して思わず撮った‥って感じです
左手のビルが一枚目より遠くに見えるのはホーム後方に下がった
証拠です』

「お見事！ご褒美に
車内販売でワンコインモ−ニングとアイスクリーム買ってあげる」

『ほんとですかぁ！？　えへへ　やったあー』