津川雅彦氏が亡くなった。
私は若いころからたくさんの映画を見てきた。
彼の出た映画もいろいろ見てきたが、印象に残っているのは中平康監督の「狂った果実」だ。
原作は石原慎太郎で、裕次郎が主演し津川雅彦は裕次郎の弟役で出ていた。
彼のデビュー作だった。裕次郎はこの作品で一躍スターダムにのし上がった。
私は「太陽の季節」や「狂った果実」は東京に出てきてから見た。
「狂った果実」のあらすじは、
津川雅彦は一途な思いを持つ初々しい美少年で、偶然出会った北原三枝に惹かれ彼女に思いを寄せて付き合うようになるが、兄の裕次郎があるとき彼女がアメリカ軍人の日本妻であることを知り、弟にバラさないかわりに強引に彼女をものにする。
彼女は弟に思いを寄せているが兄にも惹かれてしまう。
あるとき兄は弟に知られないように彼女をヨットに乗せて海に連れ出す。
それを知った弟はモーターボートを借りてあとを追いかける。一晩中探し回り夜が明けてやっと2人の乗ったヨットを見つける。海の上で彼が追いかけてきたのを見たとき彼女は海に飛び込み、彼のほうへ行こうとするが、弟は彼女をひき殺し、兄のヨットに体当たりする。
兄の長門裕之は早くから名俳優と言われ様々な作品で数々の賞をとっていたが津川雅彦は美男子であったことがある意味災いして役に恵まれなかった。
彼が俳優として頭角を現したのは中年になってからだと思う。
デビュー後は一時的に日活のスターとなっていたが、沢山の映画に出たにもかかわらずあまり役柄には恵まれなかった。
日活から松竹に移り、その後フリーとなった。
晩年はマキノ雅彦の名前で映画監督もするようになった。
彼が出た映画で記憶に残るのは松竹に移ってから出た大島渚監督の「太陽の墓場」がある。
佐々木功や炎加代子などが出ていて津川雅彦はチンピラやくざの役だった。
大阪釜ヶ崎のドヤ街の日雇い労働者や売春婦、ヤクザなどの極つぶしのような連中のバイタリティ溢れたハチャメチャな生活と誰もがじりじりと夏の太陽に照らされて脂汗を流している姿が印象に残っている。
佐々木功は津川雅彦の子分のような少年役だったが、最後は線路上で津川雅彦が佐々木功を撃ち殺すが彼は津川雅彦の足をつかんで離さない、そこへ汽車が走ってくる。
そのほか見た映画では「天国の駅」がある。吉永小百合主演で戦後初の女性死刑囚となった日本閣事件を題材にした映画だ。西田敏行が出ていた。
ほかには伊丹十三監督の「マルサの女」シリーズなどがある。
「狂った果実」と「太陽の墓場」はもう一度見てみたい。
====合掌=====
ログインしてコメントを確認・投稿する