「大阪の町人學者富永仲基 内藤湖南」より
佛教の研究と其の學説――「出定後語」
この富永仲基のどういふ點が偉いかといふと、今まで世間の人に知られてゐたのは即ち「出定後語」といふこの二卷の書の爲であります。
これは何處か大阪の本屋に板木が今でもあるだらうと思ひますが、この本にどういふことが書いてあるかと申しますと、佛教の研究です。佛教の研究といふのは、佛教を有難いものとして、近頃の人が禪學をやつて膽力を練つたりするやうな研究ではありませぬ。
佛教を批評的に研究した日本で最初の著述であります。
而もそれ以上の著述が曾て出來なかつた所の著述であります。その佛教の研究法といふものが非常にえらいものだと思ひます。
< つづく >
源
http://www.aozora.gr.jp/cards/000284/files/1735_21416.html
これは、内藤湖南氏が「大阪の町人學者富永仲基」と題して、大正14年4月5日に講演され、同年8月に発行された「大阪文化史」所載の記録が「内藤湖南全集 第九卷」筑摩書房CE1969年に乗せられたものを青空文庫に収載されたものの一部です。
入力:はまなかひとし
校正:菅野朋子
とあります。ご両所にも敬意を表します。
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