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2016年11月28日04:55

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日本の稲作の矛盾を映す「豊作なのに米価高」の怪

 豊作なのに高い――コメの不可思議な市況である。
 毎日買う物ではないから目立たないけれど、コメが店頭で昨年より高くなっている。しかし大量に仕入れる外食では、これが大きな問題となっているという。

◎コメを家畜のエサにしたから
 コメの卸業者は、スーパーや外食に次々と値上げを通告している。直近の安値の2014年産米と比べると、20〜30%も高いという。
 しかし今年の作柄は、全国平均で作況指数が103の「やや良」となった。決して不作ではない。作況指数を基にした主食用のコメの予想収穫量は、全国で749万8000トンと、前年より5万6000トンの増が見込まれるのである。
 それでも昨年より高いのは、需要を下回るからである。
 豊作なのになぜ下回るか――家畜のエサ用の飼料用米の作付けが増え、その分、主食用が減り、需要を下回ったのだ。つまり「コメを家畜のエサにしたから」人間様の主食用米が値上がりしたというわけだ。

◎高生産費で国際競争力はないのに安い飼料用米の作付増
 しかし飼料用米価格そのものは、日本農業の生産費が隣国韓国の2〜3倍もするため、国際競争力はない。輸入トウモロコシと同等で、1キロ30円程度だ。ちなみに飼料用米は、人間の食味に合わない多収量品種で、収量は10アール当たり600キロを超す。最低の600キロとして1万8000円である。
 この価格では農家の経営は成り立たないから、普通ならこれほど飼料用米の作付けが増えるはずはない。

◎税金から支出される交付金が飼料用米作付増となり主食用米が減る
 秘密は、農水省が我々、主に勤め人の税金から飼料用米の作付け農家に配っている10アール当たり8万円を基本とした交付金である。つまり飼料用米価格の4倍以上が、税金から支出されている。合わせれば10アール当たり10万円近い収入になる。
 あまりの厚遇に、交付金目当ての農家が殺到し、主食用米の作付けが減っている構図である。
 飼料用米販売価格よりもはるかに交付金に魅力を感じ生産する農家は増えており、飼料用米の10アール当たりの所得が主食用米を上回る産地も出ているのだ。
 「コメを家畜のエサにしたから」、主食用のコメの価格が上がったのだ。

◎飼料用米の交付金は2025年度に1660億円も
 この高交付金に惹かれて、作付面積がなお増えている。このままでは2025年度の飼料用米への交付金は、現行の2.5倍の約1660億円にも膨張する見込みだ。その分、主食用米が生産が減り、価格は上がる。消費者は自分の税金で割高なコメを買わされる図だ。さしもの財務省も、問題視をしている。
 日本の農水省は、他のどの省庁よりも生産者に顔を向けている。消費者への配慮は、ゼロだ。彼らは農家に、長く「減反」を強制し、日本の田園を荒廃させてきた。

◎日本の稲作は衰退の危機
 大規模化を目指せば、生産費が下がるから、食味の良い日本のコメは外国米より高く売れるので、競争力は高まったはずだ。しかし経営大規模化は掛け声で終わり、それどころかバラマキスト民主党政権時代には、バラマキそのものであるコメの所得補償までやって、零細農家を支えた。これで大規模化の流れが逆転した。
 バラマキスト民主党政権がやっと終わっても、今もその流れは続いている。
 割りを食っているのは消費者で、世界的に高いコメ価格は、さらに今年、高くなった。
 それでどうなるかというと、消費の減退である。これは、経済学のイロハであり、さらに消費減に拍車がかかる。これで、日本の稲作が世界に伍していけるほど強くなるはずはない。それどころか、もう何十年も続いている衰退がさらに激しくなるだけだ。
 亡国の役所、それが農水省である。

昨年の今日の日記:「バルト3国紀行62:最終日の早朝、独りタリン旧市街散歩で『修道女の塔』に出る」

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