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2024年05月01日23:34

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グリホサートに群がる人たち

 少し前にその悪質さがマスコミで叩かれていたビッグモーターが、新会社WECARSに事業承継されたというニュースが今日報じられました→https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC304VU0Q4A430C2000000/
 新会社には二度と以前起こしたようなトラブルは起こしてほしくないものですが、その「以前起こしたようなトラブル」のひとつにビッグモーターのいくつかの店舗が、除草剤を散布するなどして街の街路樹や植え込みを意図的に枯らしたということがありました。その際、その威力のものすごさが注目されたのがこちらの「除草王」という除草剤です→https://car-me.jp/asmust/articles/29991
 「除草王」等の除草剤には、グリホサートが入っているものが多いのですが、このグリホサートについては、発がん性の有無を巡って米国では十万件以上もの訴訟が争われています(商品名としては「ラウンドアップ」)。  
 農薬、除草剤についてある程度詳しい人はご存知のことと思いますが、このグリホサートという薬品は日本でもその発がん性が取り沙汰されています。もっとも、現在のところ、米国では次のような形で一応落ち着いてはいるようです→https://news.yahoo.co.jp/articles/6077d24904202b6543d80a83db0c997b4ecb66c0?page=1
 この記事だけを読むと、結局、グリホサートに発がん性があるというのはフェイク、都市伝説に過ぎなかったのであり、それを裁判沙汰にした一部の法律事務所、研究機関、活動家の強欲さの方がよっぽど問題だというように感じてしまう人も少なくないだろうと思います。
 でも、そもそも、裁判所は「グリホサートの発がん性の有無を判断できる最終機関」(最も高い権威が認められる機関)ではありません。多分、上記記事にいうIARCがそれに該当するものと思われます。裁判所は、提起された各訴訟において、IARCの「判断に至る各過程に瑕疵(問題)があったか否か」を判断できるにすぎません。
 IARCはグリホサートの発がん性の有無について記事にあるとおり「ヒトに対して発がん性がある可能性あり」との判断は下しているのですが、その結論に至るまでの各過程に利益相反などの瑕疵(問題)があったということをこの記事の筆者は3頁以下において論じているのです。
 それはそれでいいのですが、逆の場合、具体的にはIARCの結論に反対してグリホサートには発がん性がないと証言した学者が実はグリホサートの安全性について研究したことがなかった上、モンサント社から謝礼を貰っていた等の事実が明らかになった訴訟もあったこと、その訴訟ではモンサント社を買収したバイエル社は敗訴していること(「日本が売られる」/堤未果(幻冬舎新書)P278)もありました。でも、記事の筆者はこちらの方はなぜか無視しているようです。
 しかも、こうした判断過程の瑕疵(問題)については議論されたかもしれませんが、グリホサートの薬品としての危険性自体はこの記事では全く分析されてはいません。にもかかわらず、グリホサートの発がん性をフェイクとか都市伝説とか言うのは言い過ぎではないでしょうか。
 確かに、上述のような理由で、裁判でバイエル社側が勝ったからといって、グリホサートに発がん性がないということにはならないのと同様に、バイエル社側が負けても、そのことがグリホサートに発がん性があるということまでを意味するわけではありません。
 でも、グリホサートを主成分とする除草剤が、元々遺伝子組み換え作物とセットで売り出されたという経緯を考えると、発がん性の有無が不明とは言っても、これは限りなくブラックに近いグレイという気がします。
 バイエル社に買収される前のモンサント社は、世界中の種子会社を次々と買収して、遺伝子組み換えにより「ラウンドアップ」に耐性を持つ作物を開発し、これを「ラウンドアップ」とセットにして売り出したのです。これをやると、雑草をはじめ、遺伝子を組み換えられていない植物、虫等は「ラウンドアップ」によって、悉くバタバタと死に絶え、その反面で、モンサント社から売り出された遺伝子組み換え作物だけは無傷で生き残るわけですから、生産者にとって「ラウンドアップ」は夢の農薬に見えたことでしょう。
 実際、「ラウンドアップ」の売り上げは伸び、他の農薬は使わなくても済む分、生産者も助かりました。
 でも、遺伝子組み換え作物自体、その安全性は完全に保障されているわけではありません。何しろ、人類がつい最近まで食べてなかったものなので、長期間食べ続けても大丈夫なものなのか、その安全性など誰も保障できるものではないのです。モンサント社は安全性に疑問符が付く遺伝子組み換え作物を敢えて使って(つまり消費者の食の安全を犠牲にして)自社の利益増収を図ったわけです。
 おまけにいくら「ラウンドアップ」の威力が強いといっても、所詮は農薬ですから、繰り返し使用されれば、自然界の雑草、虫等にも耐性を備えたものが現れてきます。そうすると、ますます多量の「ラウンドアップ」を使うことになり、その分、私たちが食品として食べる野菜の残留農薬も増え、(それが原因かどうかは分からないものの)実際に体調を崩す利用者、消費者等も増えてきました。
 それでもなおグリホサートが入った農薬や除草剤を使うかどうかは自己責任なのでしょうが、このようにグリホサートを主成分とする農薬が売り出された経緯自体モンサント社が欲得づくで始めたことなのです。なのに、こちらの強欲さにはなぜか目をつぶり、一部の法律事務所、研究機関、活動家の強欲さばかりを問題にしていることには不自然なものを感じざるを得ません(憶測になって申し訳ありませんが、おそらく筆者は日本の農政とこれに圧力をかけて意のままに操る米国、つまり世界各地でショック・ドクトリン等による利益を貪る強欲資本主義の権化に忖度しているものと思われます)。
 ともあれ、発がん性を肯定するにせよ、否定するにせよ、グリホサートに群がる人たちには欲望を離れられない哀しさがあるようです。共倒れになるのが一番良いのかもしれません。
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