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2023年02月27日17:58

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2/25 「圓朝に挑む!」 2/26「ルート9フェス」

 国立劇場はこの秋から2029年まで建て替えのために休館が決まっているので、それまでの一連の公演はさよなら公演と銘打たれている。「圓朝に挑む!」は人気企画公演で、圓太郎が長らく世話役をつとめているとのこと。場内は満員御礼。客層は国立らしく7割は高齢者という感じ。演目はあらかじめネタ出しされている。

●前座 こと馬「子褒め」
 本日トリの圓馬門下。女性の前座さん。

●圓太郎「黄金餅」
 上野と浅草の間に位置する下谷山崎町。その界隈にある貧乏長屋に暮らす底辺の人間の金への執着を描きつくし、初手から濃〜い一席となった。マクラで圓太郎と鈴之助が空手を習う話が出たのだが、そのとき空手の先生から横手打ち(自分の隣の敵の顔をいきなり殴る)が強いと聞かされた件を振って、噺の最後でそれを決めるのに大笑い 

●わん丈「牡丹灯籠 お露新三郎」
 「牡丹灯籠」の複雑な人間関係を説明したくても、落語は扇子と手ぬぐいしか使えない・・・と悩まし気に語りながら、巨大な扇子型の人物関係図を持ち込むというとんだ飛び道具。こういうの普段国立に来ているご通家たちはどう反応する?と思ったら、わん丈が国立をホームにして独演会をやっているせいか。なじみ客が多いようで存外楽しんでいる風だった。なんかこの感じ、志の輔が文楽とコラボしてやった会などを思い出す。いずれにしろこの人今後活躍するだろうことに異論はない。

<中入り>

●馬石「按摩の信心」
 馬石の噺は「圓太郎師匠から圓朝ものでなくてもいいよと云われて」、敢えての初代桂文治作。友人から女房の不貞を教えられた按摩。間男の顔をこの目で見てやると清水寺の観音にお参りして満願目出度く目が開くが、一方女房と間男は「目が開くな」と願掛け参りをして・・・という、滑稽なような恐ろしいような上方由来の噺。珍しいものを聞かせてもらった

●圓馬「安中草三〜牢破り」
 本日の目当て。上州安中の盗賊一代記で、自分は初めて聞く圓朝噺。武家奉公をつとめるものの、恩ある主人の罪をかぶり牢にとらわれる草三郎。大雨に乗じて牢を破るまでのスペクタクル感がある件だが、普段寄席で演じる噺ではないので、さすがの圓馬も口跡滑らかとはいかなかった様子。それでも噺の流れを聞く側に事寄せつつ語る工夫もあり、重厚なばかりでもない楽しい高座となった。

 ♪これも落語〜あれも落語〜ということで、翌日は客層も出演者も対照的な会「ルート9フェス2023」@横浜にぎわい座のげシャーレへ。ルート9は芸協二つ目落語家9人によるユニットで、基本3グループに分かれて活動し、各々の年間動員、グッズの売り上げをガチンコ?で争うという激烈なような、ゆるい仲間つながりなような?。かつての「成金」に続けとばかりに、芸協は「カデンツァ」や、この「ルート9」のようにユニット売りが盛んなようだ。しかし「成金」は前座の頃から「ただモノじゃない」三人(小痴楽、宮治、松之丞)がいて、それが他メンバーのアビリティを開花させていくという滅多に無い幸福な形だった(あくまでも見る側にとっては)。落協の「チャノマ」にしても、大学落研仲間的な仲良し感あるが、まあこれから個々の差が開いて、一部メンバーが独演会で稼ぎ出すようになってからが、本当に面白くなる時なんだろうなと思う(亀裂は生まれるかもしれないけど)。

 にぎわい座地下のげシャーレ。客入りは70人弱くらいだろうか。6割は20〜30代の女性客で、後は所謂落語好きという感じ。高座でトラブル(めくりがそのまま、見台出してるのにめくりが上方落語じゃない、アナウンスがマイクオフ)が起きるたびに、客がダメ出ししてくれるという、ものすごい身内感にあふれた会だった。

●前座 はち水鯉「寿限無」
 場内アナウンスの電源が入らず、途中でもめくりを間違えるなど前座仕事としてはダメダメだったが、なんか娑婆気が匂うというか、脂ぎった感じがクセになる。
●仁馬「倅風呂」
 馬ん次時代は何度か見ている。圓馬の弟子なのに、10歳の誕生日前日に女湯に入ろうとするギリ9歳男児の新作落語なのか・・・。ちなみに厚生労働省は混浴可能な子供の年齢は7歳までとしているようだが。
●桜子「一心太助 楓の皿」
 紅一点で講談師。師匠・陽子が大好きという話を聞いて、講談は女だらけで辛そうだな・・・とつい考えてしまう自分の心の汚さを恥じる。
●昇りん「敵は東京タワー」
 結婚して、東京タワーにある会席料亭で披露宴をしたそうだが、花嫁よりも何よりも、師匠・昇太への気遣いが大変だったとか。昇太はそういう気遣い、かえって嫌がりそうだが、弟子ともなるとそうもいかないんだろう。その時の経験をもとにした新作。


●弁橋「へっつい盗人」
 前座のはち水鯉が同い年といっていたから26歳。グループ内では一番若いが香盤は一番上だそうな。山梨出身で江戸の風を吹かせる芸風らしいが、確かに見た目も語りもべらんめぇで一蔵とか近い感じ。若くて愛嬌もあって人気が出そう。
●昇「苦くて甘い」
 本日師匠・桃太郎が出るので緊張していると云っていたが、師匠の前で渾身の新作を演じると宣言。渾身かどうかはわからないが、手ぬぐいをゲームコントローラーにするという仕草、自分は初めて見たわ!スマホはよく見るけど。
●桃太郎「お見合い中」
 師匠ゲスト。昨年は昇太だったが、今年はこの人。狭い会場で近くで見ると、本当に裕次郎に似ているのにびっくり。素顔は赤塚不二夫なのに、グラサンマジックだ!「ルイジアナママ」を唄い出すと、メンバー全員がツイストを踊りながら登場。昇は師匠とスマホで自撮り。落語協会ではありえないだろうな。

●茶光「命の授業」
 ツイスト登場時、変な踊り方しているなと思ったら、じん帯を痛めていたらしい。
美味しく給食を食べた小学生。昼休み後の「命の授業」で、クラスで育てたブタの花子が実は・・・という、ほっこりから「3年A組」に転じるホラーな新作。羽光と似たテイスト。この日一番ウケていた。
●晴太「鹿政談」
 この日高座で眼鏡をかけていたのはこの人だけだったが、花金、昇りんと共に「めがねチーム」。文科系男子っぽい雰囲気で女子ウケ良さそう。
●昇咲「文系男と理系女」
 前座になったばかりの頃日本橋で見ている。入門直前までサッカーか野球をやっていたと聞いた記憶あり。見た感じあんまりひっかかりのない印象。面白くないというわけではないが。
●花金「大工調べ」
 黒紋付で登場。昨年ナツノカモの「擬古典落語の会」で見て印象に残っているが、故金遊へ弟子入りしたというのも自分的にはポイント高い。落語協会ならば市若、朝枝、少し後だが小はだあたりと同期ということか。この人がユニットにおける起爆剤になる可能性は高いのではないか。今後も見てみたいと思わせる何かがある。




 





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