大道芸に場所を提供している企業の話。
そこは日差しが強く暑い場合、日傘を貸し出していた。
そこに野点の傘を設置することになった。
そこで大道芸人に問合せがきた。
「上演前に野点の傘の設置して欲しい」と。
世話になっていることもあり、軽い気持ちで了承したら、
少しずつ話の方向が変わってきた。
「風が強くなったら、本番中でも傘を取り込んで欲しい」
強くなったら、というけれど、何か目安があるのですか。
「風速10mになったら撤去するように」
いやいや演技中に風速10mはわからないでしょう。
「風速計を設置するからそれで判断して欲しい」
演技中は演技に集中したいし、ましてや少しでも風が強いと人形への
影響が大きくて、人形を遣うことに四苦八苦して風速計なんて見られりゃしない。
もっとも風速10mほどの風が吹くと、人形が飛ばされて
演技そのものができない。
「もし傘で事故が起こった場合、その責任の一端は大道芸人にもある。
それは演技で事故が起こった場合と同じである」
いやそれは違うでしょう。
大道芸人はその演技に対して責任を負うのであって
傘の設置はあくまでも好意によるもの。
傘に対する責任は施設が持つものであって
大道芸人が持つものではない、決して持ってはいけない。
私はそう思ってお断りし、縁が切れた。
コロナ禍のせいか、いつも顔を合わせていた人が何人もいなくなっていた。
ブラック化
もしかしたら、いろんなところに出ているのかもしれない。
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