最近歴史を知ることの大切さを説く本を何冊か目にした。
それだけ最近は、
歴史がないがしろにされていることなのかもしれない。
”今”は過去の上に成り立っているのであり、
過去を知ることは今を知ることにもなるのだ。
来年は現代人形劇が始まって100年という年を迎える。
現代人形劇の対極にあるのは、伝統人形芝居である。
現代人形劇の最初の公演は、
1923年の関東震災直後、
伊藤道郎・伊藤憙朔・千田是也3兄弟が灰燼に帰した東京を見て、
こういう時だからこそ気軽にできる人形劇をやったらよいと考え
11月24日から3日間開いた試演会がそれだった。
彼らは1921年から糸あやつり人形を製作していたので
すぐに上演できたのだが、
人形の造形に重きをおいていたため
いざ人形を遣うとなると、相当に四苦八苦したそうである。
その後続いて画家たちの手による糸あやつり人形の上演が
あるのだが、
何故画家たちが糸あやつり人形を遣ったかというと、
実はフランスに留学した画家たちは、
糸あやつり人形の上演を公園で目にしていて、
相当に刺激を受けていたようである。
きっと目にしたであろう人形芝居の絵を
五姓田義松が描いている。
その後伊藤憙朔は《人形座》を作り
1926年から糸あやつりの公演を始めるが
3回目の公演からギニョールによる公演に代わる。
糸あやつり人形は準備するのに時間がかかるし、
操作するのが難し過ぎた。
その後人形劇はギニョールが中心となる。
《人形座》はその後《大阪人形座》に引き継がれ、
それが復活公演に私も関わった《大阪出口座》につながる。
現在人形劇に関わっている人で、
関わる以前に人形劇を一度も見たことのない人は
多分皆無であろう。
ところが、現代人形劇100年という企画を提案しても
各地の人形劇フェスティバルは、全然興味を示さないという。
何とももったいない話である。
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