mixiユーザー(id:22841595)

2022年10月08日10:01

93 view

鳥が休めるように

 明後日から16日までフィンランド発のジュエリーブランド「カレワラ(Kalevala)」が、日本への初上陸を記念して、東京・⻘⼭の複合文化施設「スパイラル(SPIRAL)」でポップアップを開催するそうです→https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=7128672&media_id=63
 まぁ10日も前に報じられたというのに、いまだにつぶやきも日記も一つも付いていない記事なので、少なくともmixiユーザーの皆さんは興味も関心もないようです。私自身もポップアップに出かける予定は今のところありません。
 ただ、ブランド名の「カレワラ」は、おそらくフィンランドの民族的叙事詩「カレワラ」に因んだもので、そこには、ちょっといい話があったことを思い出しました。
 ザっと言うとこんな話です。

 天地創造の直後、この叙事詩の主役級の英雄ワイナミョイネン(白い髭を長く伸ばした逞しい老人で、広大な知識と魔法の力を持つ)は大地を豊穣なものにするため、種蒔きを行いましたが、樫だけが育ちませんでした。そこで、四人の乙女と海のトゥルサスの働きで育て直したところ、今度は育ち過ぎて天地を覆い隠すまでになりました(世界樹)。
 やむを得ず、ワイナミョイネンは海の母に願って世界樹を切り倒すものを呼んだところ、やって来た小人が目の前で大男になり、木を切り倒しました。倒れた木は海に落ち、その破片は人々に幸せをもたらすものとなりました。
 木が倒れて日光が届くようになったので、植物は育つようになりましたが、大麦だけはなかなかうまくいきません。そこで、ワイナミョイネンは木を切り倒し(世界樹ほど大きくなかったので、今回は自分で切り倒せたようです)、畑を開墾しましたが、その際、白樺を1本だけ残しました。その理由を鷲に問われて「鳥が休めるように」とワイナミョイネンが答えたので、鷲は感謝して火を打ちだし、開墾地を燃やしました。木々は灰となり、土地にまかれて、やがて大麦が成長したということです。
 そして、春の郭公がやって来たとき、ワイナミョイネンは言いました。
「そこで鳴くのだ、郭公よ 
 砂色の胸よ、囀るのだ
 銀の声で歌いなさい、錫の声で鳴きなさい!
 夕方に鳴き、朝方に鳴け
 そして昼間にもう一度
 わたしの空を楽しますため
 わたしの森を喜ばすため
 わたしの岸を富ますため
 わたしの地方を豊かにするため」と。

 世界樹の話自体は、他の国々の神話、伝説にもあるようですが、白樺を一本残す話は、「カレワラ」独自のものではないかと思われます。
 実際、白樺の木は、フィンランドでは特別な意味をもつものであるようです。例えば、サウナでは、ヴィヒタという白樺の枝葉で身体を叩き、発汗を促すという行為がありますが、そこには単なる実用的側面だけでなく、まじないとしての意味を備えていると云われています。というのは、かつてはそのヴィヒタを用意するのは、処女の役割だったそうで、サウナは神聖な空間であり、身体を洗うだけでなく、その束で叩くことによって心の中の邪悪なものを追い払う意味が込められていたからです。
 また、少なくとも、 1970年代半ばくらいまでは、フィンランド人は開墾地を切り拓くときは孤立した木(白樺に限らない)をそのまま残しておいたらしく、木に対する信仰心が垣間見えるところです。
 こうした信仰心の現れからか、やはりフィンランド人だったシベリウスは「樹木の組曲」と呼ばれる5つの小品(ピアノ曲)を遺しています。
https://www.youtube.com/watch?v=GBBilAJtB8c

 動画に示されているとおり、ここでは順にピヒラヤ(ななかまど)、松、ポプラ(はこやなぎ)、白樺、樅の木というフィンランドで一般的な5種の木が表現されています。

 今日は、(日本では)“木の日”ということです。
3 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する