●ソン・ガンホも��Uも好きなのだが、是枝監督作品が苦手なので、「ベイビー・ブローカー」はやめて「ブラック・フォン」を見た●ジョー・ヒルの短編集「二十世紀の幽霊たち」既読で、原作「黒電話」も読んでいるはずだが記憶にない。同じ本に入っていた「年間ホラー傑作選」は鮮明に覚えているのに。なので、この映画も初見のような気持ちで見ることが出来た●ジョー・ヒルは本名ジョセフ・ヒルストロム・キングで、スティーブン・キングの長男。文学というジャンルを超えて、文化全般に影響を与え続ける父親の存在の大きさを考えると、息子は「シャイニング」の後日談「ドクター・スリープ」におけるダニーのように、トラウマを背負って生きる世捨て人になってもおかしくない気もするのだが、そうはならなかったのだから、キング夫妻の子育てが良かったのだろう●SDGｓも何も無い、70〜80年代アメリカ地方都市のぬるい雰囲気はSFホラーと親和性が高い。ディアゴスティーニから「マーダーケースブック」という毎号殺人事件を特集する、定期購入者リストがそのまま捜査対象になりそうなヤバいシリーズが出ていたが、確かにこのころのアメリカでは、一般家庭の地下室に大量の死体、誘拐された女性や子供が発見される事件等々が報じられていた記憶がある●地方都市、相次ぐ少年の誘拐事件、家では父親の虐待、学校ではいじめと暗い道具立ては揃っている。また主人公がトイレで親友とブルース・リーやホラー映画について話すシーン。よくあるシークエンスだが、既に当時若者の間で陰惨な殺人シーンを売り物にしたスラッシャー映画が流行していたことが明示される●しかしそこまで前フリをしておきながら、この映画には目を覆いたくなるようなスプラッタ描写はない（暗示させるシーンはある）。全編を通して描かれるのは、絶望的な状況下におかれても、心折れない少年の成長である。無駄なように思えるサジェストからの試行錯誤を繰り返しながら、いじめっ子や父親の暴力に耐えるだけの少年が、立ち向かう勇気を手にするまでの物語。それだけにラストの解決策はどうなのか･･･という気も。自分はどちらかというと否だな●若いころはナイーブな青年ばかり演じていたイーサン・ホークが殺人鬼役。80年代レトロSFのネットフリックス「ストレンジャー・シングス」でも類似ポジ俳優だったマシュー・モディンが悪役だった●
鈴本７月は喬太郎主任が入るが、ここ数年は夜席で企画もの、前売りだったのではないか。今年は普通に昼席で、開場時には７割程度の入りだったが、徐々に増えてほぼ満席に。
●前座 東村山「家ほめ」
めくりを見て一瞬困惑。が、すぐに白鳥一門だと頭が理解する。長身痩躯、坊主頭で江戸の風が吹きそうな見た目古典派。まあでも新作がやりたくて入門したのでしょう。
●小もん「弥次郎」
この出番小はぜ、やなぎと交替。北海道から恐山に行って、オスのイノシシからウリボウ４×４（シシ）16匹うまれるまでのほら吹き譚。
●マジック 美智・美登
●㐂三郎「平林」
七が三つ揃った良い名前なのだが、変換できない、正しく読んでもらえないのが悩みだそうな。「たいらばやしかひらりんか〜」のくだりはもうラッパー感覚。小平太と交替。
●馬風「漫談」
先代の小さん、三平との思い出話。総白髪、立ち座りもゆっくりだが、前座に手を引かせることもなく高座にあがる。視力ももう衰えていると思うが、相変わらず眼力が強い。
●音楽 のだゆき
●桃花「表彰状」
昇進後初見。トレードマークのぽわぽわパーマヘアもすっきりショートになっていた。昭和30年代に作られた新作落語。文雀で聞いたことがあるから、小朝一門は習う噺なんだろうか。他所で聞いた覚えがあまりない。
●はん治「粗忽長屋」
久しぶりに古典を聞いたが、大層受けていた。なんとなく、今日の若々しいラインナップに合わせたのかな、と思いました。
●漫才 ロケット団
●さん花「欠伸指南」
今席の注目は喬太郎以上にこの人。㐂三郎と交替出演でもいいところが、敢えて中トリ。協会だけで組む鈴本ならではとも云えるが、席亭に見込まれているのか。入門して、兄弟子たちと顔合わせをしたとき、喬太郎は既に白髪頭だった･･･と思い出話。喬太郎からエアコンをもらったが、大きすぎて自室に取り付けられず、引っ越すまでの4年間、「室外機を室内に」置いていたらしい。あくびの先生「欠伸斎長息」、喜多八が入れていた記憶があるが、久々にこの名前聞いた気がした。何事にも無駄に前向きな八五郎に、あまり過剰な仕草を入れないのが良い。身体が大きいのに割と省エネ。なのに端々に面白さが見えてくるのだ。
＜中入 ＞
●浮世節 橘之助
●文蔵「夏泥」
扇辰と交替。泥棒の噺で桃花とネタがついちゃっているのだが、わかってやってるんだろう。
●馬石「金明竹」
三三と交替。馬石お得意、松っちゃんより天然なおかみさんメインの「金明竹」。耳の横で記憶をくるくる巻き戻す仕草、可笑しい。
●ジャグリング ストレート松浦
●喬太郎「百川」
座布団の後ろにもう一枚座布団をバンドで巻いたあいびき代わりが置かれた。この体型だし、膝が心配。「四神剣」の説明を始めたので、ほお「百川」やるのか･･･の空気が場内に流れると「この流れで『芝浜』になったらおかしい」笑）。「司る」を何度か言い間違え、逆ギレした上、「つかさどるってコンドールマンに似てますよね」と、スキあらばぼそっと特撮小ネタをはさんでくる。どるしか合ってないし！
師匠の得意ネタ、弟弟子・左龍の十八番でもある「百川」。確かに喬太郎ではあまり聞かない気がする。本人も聞き覚えた噺を思い出しながらやる･･･的なことを云っていたので、「本当は恐ろしい〜」シリーズみたいになるのかと思ったが、そうではなく普通に「百川」。だが最初から最後まで喬太郎らしい「百川」だった。途中の顔芸に少し過剰さを感じるところはあったが、「百川」でこんなに笑ったの初めてだ。
明日６日は一之輔、七夕は白鳥代演
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