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2022年06月09日17:02

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エニグマ余話

 前回触れた暗号機の方のエニグマについては、第二次世界大戦後も嫌な話があります。
 戦時中、暗号解読成功の事実が大変な極秘事項だったことは前回みたとおりですが、この事実は戦後も口外が固く禁じられ、極秘事項であり続けました。イギリスはこれを奇貨として、ドイツから没収した数千台のエニグマ機を、なんと幾つかの旧植民地に与えて使わせ、これをこっそり傍聴解読していたのです。
 最初、この話を聞いたときには、「おまえ最低だな」とイギリスを罵りたくなったものでした。
 ただ、よくよく考えてみると、希望的観測ではありますが、この傍聴解読で被害を受けた旧植民地は案外少なかったのではないか、という気も今は少ししています。
 というのは、以前触れたように、イギリスは近代ボクシングのルールまで植民地支配の道具にしてきたわけですから(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1548829385&owner_id=22841595)、その汚い手口、やり口は旧植民地側も十分に知り尽くしていたのではないかと思われるからです。
 イギリスがどう言ってエニグマを売り込んだのかは分かりませんが、旧植民地側は、いい暗号機を紹介してくれたと喜んでこれを使ったわけではなく、むしろ、そんなに優れた暗号機ならなぜ我々に紹介するのか怪しんだのではないか、そう思われるのです。 
 そして、旧植民地側はこう推測しただろうと思います。イギリスは決して認めないけれど、きっとイギリスは暗号の解読に成功したに違いないと(推測できなかったとすれば、素直・お人好しとは言えるかもしれませんが、あまりにも学習能力が低いというか、外交的に初心(うぶ)すぎます)。
 そこで、表向きいいものを紹介してくれてありがとうと、騙されたふりをしながら、実際にはどうでもいいくらいの重要度の低い情報しか流さなかったのではないかと推測されるのです。あるいは、さらに進んで、わざと虚偽の情報を流してイギリスを出し抜いたこともあったかもしれません。だとすれば痛快な話ですが、何分、極秘事項とされたことに関わることなので、現実にそういうことがあったかどうかは不明です。
 分かっているのは、これらの地でエニグマが使用されなくなった1970年代になってようやく、大戦中のエニグマ解読に関して、少しずつ重い口が開かれるようになったということだけです(おそらく、チューリングの功績が明らかになったのもこの時期)。

 ところで、前回も含めて、エニグマの解読に見られるこのような傾向((暗号解読という)重要な事実が周りに知られないように伏せられ、そのことを奇貨として種々の企みが実行される傾向)は、ある一つのマルウェアを想起させるものがあるような気がします。
 「トロイの木馬」です。
 詳しいことは分からないのですが、「トロイの木馬」というのは、正規のソフトウェアやファイルになりすまして、ユーザーに気付かれないようにして攻撃を仕掛けるマルウェアです。
 「トロイの木馬」に感染すると、個人情報が流出したり、突然PCが終了したり、ということが起こるようですが、セキュリティソフト等で検出は可能です。
 ただ、「トロイの木馬」は現在も進化し続けており、種類によっては更新されたアンチウイルスソフトウェアによっても、完全には削除出来ない場合もあるので厄介です。
 今はまだ、検出自体は容易ですが、検出が難しくなってしまうと、これはもう先の極秘事項(エニグマ解読成功の事実)と同じといってよいでしょう。感染の事実すら知らないうちに個人情報が流出してしまうのです。
 今のところ、マメにアップデートを重ねれば何とか大丈夫そうなので、皆さん気をつけましょう。
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