2019年に話題になったフランス版実写映画。原作ファンのフィリップ・ラショーの
熱量が大きく、監督・脚本・主演と八面六臂。わざわざ脚本を携えて来日し、
原作側からOKをもらったとか。
字幕版のほうは観ていないが、吹き替えだと原作の雰囲気が十分に出ていることが
分かる。キャラ名も原作準拠で、この方法は新発見だった。日本人らしくない
キャラ名でも映画としては成立するが、長年馴染んだ名前だと観る側の入り方が違う。
攻殻機動隊と同様にアニメ声優をそのまま起用するシステムも手堅いし好ましい。
本人の辞退で主役とヒロインは交代になったが、代役も一流で違和感は全くない。
実写制作にあたっては漫画的表現を極力排したとある。時折現れる100tハンマーや
とぼけたシーンで登場するカラスの意味は原作派であれば説明の必要がなく、
作品を損なわないアクセントになっていたと思う。悪くない演出だ。フィリップの
趣味に違いない。
どんでん返し、オチもきっちり描かれて、完成度は高い。原作寄りに作ると評価が
上がるのは当然ながら、漫画、アニメ的表現をあまり多用すると実写である
必要性がなくなるのでさじ加減は難しいところ。巧くクリアした。
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