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2022年02月06日16:32

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1月29日 藤沢さかなや落語「入船亭小辰独演会」

 3年目に突入したコロナ感染自粛の日々。変異種・オミクロン株の感染威力はもの凄く、東京の感染者数は20,000人超えと止まるところを知らない。当初はインフルエンザと大差ない、そろそろピークアウトなどと楽観視する声も多かったが、重症化する事例や、さらに変異した亜種がみつかるなど、つまり現時点においてはこれは2年前の繰り返し。医療従事者の疲弊、病床使用率の高止まり、飲食店の時短要請、イベントの自粛、海外渡航の規制…この2年間に何がしかの学びがあったとするなら、それはどう生かされるのだろうか。

 ニュースで扱われるからなおさら過剰に反応してしまうのかもしれないが、芸能界の感染が止まらない。スタッフやレギュラー出演者が感染してしまうと、番組の収録が止まって情報番組などリモート出演。でかいモニターがスタジオに林立するさま、ホントにエヴァのゼーレみたい。落語界でも前座や若手のみならず、ビッグネームも休演の報が飛び交い、高齢の大師匠など心配なところだろう。

 藤保水産は、藤沢駅からすぐの地元の魚屋。そこが経営するカレー屋の二階で開催されるからさかなや落語で、もう何度目かの小辰の独演会。来場者は30人ほどか、狭い会場なので満員御礼。

 小辰から改めて今秋の真打昇進、十代目扇橋襲名の挨拶で客席から温かい拍手。「大阪で襲名の挨拶をしたが、反応が…」扇派の大名跡、先代は大阪で枝雀と二人会もやっていたと説明しても、リアクションが薄い。まあ仕方なかろう。圓生も認めた古典落語の雄、俳句も嗜む趣味人で、小三治の盟友ではあったが、自分の年齢でも全盛期をちゃんと生で聞いた覚えはない。2000年初め、寄席で扇橋を何度か見てはいるがほぼ爆睡していた記憶だし(聞こうと思ってもどうしても眠くなる)、病に倒れてからそこそこ長患いで亡くなったので、現役を通した小三治と異なり、忘れられるのも早かったか。

「名跡というバトンを大師匠から渡されて、持ってみたらこれがものすごく重かった」が、自分の代で軽くして、次の世代に手渡すのが役目と小辰。軽くする必要はないけど、小辰なりの扇橋で良いよ。


●小辰「初天神」
●小辰「明烏」

<中入り>

●小辰「鰍沢」

 三つ聞き終えて、もう秋の昇進披露目興行の小辰主任回を三日聞き終えた後のような疲れるほどの熱演。地域寄席でも手抜き感無し、やりすぎじゃないかと思える充実ぶりである。
 「初天神」は喜多八に稽古をつけてもらったとか。「子供の噺の後は女郎買いの噺で」と、そのまま「明烏」へ。
 仲入り後は新潟出身である師匠の雪(というか積雪)への恨みにも似た思いと、自分の「東京生まれなので(雪が)ヘタをするとちょっと嬉しい」を比べつつ、「次は(ここでは)初めてかける噺なんですが、笑いどころがない噺で…」と演じ始めた「鰍沢」。まさに「北越雪譜」の世界である。九代目扇橋の十八番だそうだが、先代はこの噺や「団子坂奇譚」「茄子娘」など、盛り上げつつ肩透かしを食らわすような少し不思議な噺を弟子たちに伝えた。それが名前以上に重い落語の「バトン」なのだろう。客を疲れさせるほどクドめに演じるのはどうかなとは思うが、秋の披露目、楽しみである。

 さて末廣亭の2月中席・宮治主任の芝居は、なんとチケット販売サイト委託と決まった。開場前の長蛇の列を作らないという判断だろうが、世の中こうして変わっていくのね…と、ある意味寄席興行の転換点を見る思いがする。大阪で宮治と共演した小辰によると「あたしが昇進しますと云っても、後から宮治兄さんが出てくるともう笑点!で全部持っていかれちゃう」とのこと。「落語」や「寄席」とは異なる「笑点」という新たなフィールドに踏み出してしまったのだな、宮治は。これで壊れるようなメ ンタルとは思えないが、どうなるのでしょうね。
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