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2021年08月15日12:18

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8月11日 お江戸日本橋亭 桂吉弥 山の日だったのに・・・落語会


 久しぶりの上京。午前中に対面での仕事を終え、東京ステーションギャラリーにて開催中の藤戸竹喜展を鑑賞。木彫りクマ大好き。この状況下でも東京は、やはりオリンピックに浮かれておるなぁ。日本橋の袂にはお台場や新国立競技場と同様の五輪モニュメントが置かれ、輪っかから顔を出して記念写真を撮る人々が引きも切らず。反対側の歩道からその様を写真に撮ろうと三脚を立ててカメラを構える人まで。このモニュメント、高尾山や横浜赤レンガにもあるらしい。おそらくどこでも輪っか顔出し自撮りでしょう。これだけ煽っておいてステイホームとは酷じゃわい。

 お江戸日本橋亭は座椅子席を取っ払い、パイプ椅子を並べての客席。特にアクリル板は置かず、高座は普段より舞台奥に引っ込んでいたか? この日は「山の日」。「祝日だったら午後2時ごろから始めて、遅くならないように皆様にお帰りいただこうと思てたんですが」とすまなそう。また会場を押さえた時には、開催時にはコロナ禍も収束しているのでは・・・という思いもあったようだ。想定を超えた状況ということだが、オリンピックをやる以上、収束していなければ変異株が蔓延するという事態も予測出来ていたはずだよねぇ。一年間準備延長があったんだから。いや吉弥じゃなくて国がだけれど。

●開口一番 優々「池田の牛ほめ」
 雀々の弟子、ということは東京でも活動しているのか。師匠の新歌舞伎座独演会で開口一番を任され「好きなだけやれ」と云われた。開口一番とはいえ、過去には松之丞など勢いのある若手があがった大舞台だけに、25分の噺を選んで稽古。ところが前日師匠から「お前の出番は5分」と電話があり、「25分の噺を必死で5分にまとめて、お客様からはよく縮めたな!と拍手をいただいた」。一度訪ねて腐して怒られた家を、小遣い欲しさに再び褒めに行くという設定がくどくて可笑しい。江戸落語では与太郎噺だが、上方では予習が嫌いで万事いい加減という誰もが思い当たる喜六キャラなので、演じ手なりにふくらませて語ることが出来て、ある程度長い噺に出来るのだろう。

●吉弥「愛宕山」
 「最近よく落語会に行っている」というのも東西問わず同業者の落語は客席からではなく、舞台袖から聞いて学べとされているのだが、このご時世で楽屋に入れる人数も半減。「この前も正蔵師匠の会に行ったんですが、舞台で師匠が『松山鏡という噺をやりますが、この噺は上方でも演るんですか、吉弥さん?』と云われたので、バレてる!と」大いに焦ったとか。アップルミュージックでも落語を聞いているそうで「今日のお囃子は白鳥師匠の落語にも出てくる恩田えりさん」。守備範囲広いな!
 「愛宕山」は吉弥も出演した朝ドラ「ちりとてちん」においてヒロインが落語家を目指すきっかけとなる噺で、人気の高い噺でもある。でもこれ大阪人から見ると、京都の人間がいかにいけすかないかという噺。山登りなどしたくない幇間の一八は、若旦那が聞いていないところで、京都の人間がいかにしみったれているかと悪口尽くし。若旦那が大阪の天保山を「あんなん(京都の山に比べれば)地面に出来たおできや」と云えば、ムキになって言い返そうとする。何かと云えば「ああ〜大阪に帰りたい〜」と、実に大阪愛に溢れた噺なのだ。江戸落語ではこの辺が伝わらない。また三味線が入る「はめもの」でもあるが、一八が景気づけに歌う歌い出し曇らば曇れ箱根山 晴れたとてお江戸が見ゆるわけじゃなし コチャエーコチャエーは、子供の頃、うちの親の鼻歌で聞いた記憶があった。当然関東方面のローカルな端唄と思っていたが、上方落語で聞くということは全国区だったのでしょうね。ラスト、アクロバティックに帰ってきた一八に「えらい!一生ひいきにしてやるぞ!」と云わない京都の若旦那は、やっぱりしみったれているなあ。

<仲入り>

●吉弥「池田の猪買い」
 「まだ放送日が決まってないんですが・・・」と『徹子の部屋』出演報告。サイボーグ化、果ては実在しないのではとまで云われる黒柳徹子の存在をしっかり確認、吉弥よりも大師匠・米朝出演時エピソードの方が多いかも?というような、まあそんな内容だよねという感じで収録を終えた。終了後、吉弥がラジオで一緒に番組をやっている元関テレアナ桑原征平が、NHK「夢で逢いましょう」の現場で徹子さんに会ったという雑談をふると、徹子嬢がその話題に大きく反応。「一時間くらい思い出話が止まらなくて・・・その間は『吉弥の部屋』でしたわ」(笑)。
 「愛宕山」のかわらけ割りの件で、小判を拾いに行こうとする一八に「この辺りには猪や狼が出る」と脅しが入るが、オオカミはともかくイノシシは今でも市街地に降りるという話を聞く。池田を含む北摂地域は自然が豊かだそうで、この噺でも猪撃ちに登った山から大阪を一望する絶景を望む場面、賑やかな市内から池田へ進む道すがらの描写や、里山にて猟師の家を尋ねての村人とのやりとりなど、頭に風景を思い描くのが楽しい。500匁の肉のために雪がちらつく中猪撃ちには行かれない・・・という猟師の気持ちを、アホなようでいてチラッチラッと煽ってその気にさせる、手前勝手ではた迷惑な男のキャラクターもいい。



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