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2021年03月22日18:25

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3月17日 深川江戸資料館ホール「道楽亭深川寄席昼の部」

 三井記念美術館にて「小村雪岱スタイル」鑑賞。
 雪岱好きなのだが、雪岱だけでそんなに展示並べられるかなと思っていたが、やはり物足りなかった。終盤ほとんど工芸品展示だったが、雪岱と同時代に活躍した画家やグラフィックデザイナーの作品を見せればよかったんじゃないか。雪岱が資生堂なら杉浦非水なんかずっと三越やっていたわけで、三井なら余裕で集められるでしょうに。まあ今回の展示はあくまでも日本画にルーツを持つ雪岱メインで、大正イマジュリィとは別なのだけれども。予約制鑑賞は非常に見やすいですね。美術館側としては入場料収入減って大変だろうが(その分入場料が高くなってはいる)、見る側としてはとても快適。

 午前中雪岱を見て、午後は清澄白河にて新宿道楽亭11周年記念「道楽亭深川寄席」午後の部。出演者の顔ぶれは良いのだが、こんな平日の昼間に集客できるのかしら・・・と危ぶんでいたら、50人強といった感じ。宣言下だし、こんなものでしょう。オンライン配信もあったようだ。

●前座 楽ぼう「たらちね」
 かつての黒服のような暑苦しめセンター分けお兄さんで初見。有能そうな前座さんで、テキパキと落語も高座返しもこなしていた。

●小辰「代脈」
 二度目の宣言下で奥さんとの上下関係がさらに決定的になったらしく、妻の仕事中に家で子供の面倒を見る日々の話が続く。というのも小辰があがった時点で楽屋に誰も来ておらず「このままだと小辰・楽ぼう二人会になる」。前の日は地方で市馬と一之輔とホール落語「(東京と違って)宣言が出ていないのでホールが定員700人満席」。満場いっぱいの客が揺れるようによく笑う・・・一之輔も、トリの市馬もテンション振りきっていたそうだ。もうそんな感覚も失われて久しい首都圏だなあ。

●萬橘「長屋の花見」
 大家から花見に誘われ道中浮かれに浮かれて来た長屋連中が、現場で酒肴の内容を知らされ、衝撃を受けるという展開。荷物を運んできた月番だけは事の次第を知っているので、暗い面持ちで粛々と酒をつぐ。そのあとに来る住人の落胆がいちいち可笑しい。果てはやけっぱちになった住人たちが、敵対する隣町の花見に酒肴をせびりに行く・・・というあまり聞いたことが無い「長屋の花見」。萬橘お得意の変化球かな。

●貞寿「お富与三郎」
 貞心門下の女流講談師。初めて聞くがもうかなりのキャリア。春日八郎の「お富さん」でも有名な件を読んだが、前座が演目を「お富よ、三郎」と書いたというのはホンマかいな。

●天どん「反対俥」
 主催である新宿道楽亭席亭氏の人となりについて語る。いろいろ自由な人らしいが、自分は終電が危うい道楽亭やらくごカフェには足を運んだことがなく寡聞にして知らず。落語会プラス打ち上げあってなんとか利益を出しているのかと思うが、コロナ禍では運営も大変だろう。「(今日)昼夜通しで見る人もいるからわけわからない。昼はまだいいけど夜はムチャクチャ」と天どんが云う夜の部、なるほどトリが快楽亭ブラック改め被告福田(わかわからん)でヒザが大本営八俵(居島一平)。天どんはちゃんと古典。正座のまま飛び上がるのも連続でやっていた。

●百栄「露出さん」
 天どんが古典をやるとは思っていなかったようで、「・・・じゃあ新作を」と久々に聞いたフルバージョン。ちゃんと落語になっている新作だな。

●漫談 ねずっち
 お風呂上りに肌も露わにスマホを見ている奥さんに「何か着ろよ」といったら「着ないモード」と応えたというの、ひっそり受けた。

●遊雀「花見の仇討」
 ねずっちが私服に着替えたところを袖から呼んで絶賛。ついでに小辰も呼んで無茶ぶりで謎かけをさせるが、こちらはグダグダ。年に一度の季節ものなので今日はこの噺をやろうと思って来たが、すでに萬橘が花見ネタを演じた後。「萬橘ちゃん帰ったから、やってもいいよね?」ということで、後は楽しい花見の余興。桜の噺を二つ聞けて、こちらは得した気分。


 20日はたぶん都内で一番朝早い寄席「矢来町土曜早朝寄席」で笑福亭羽光独演会。寄席でも人気者、NHK新人落語大賞で、もっとたくさん入るかと思ったが、30人くらいか。先月の小辰の方が入りは良かった。

 もうすぐ真打昇進する4人で揃って記者会見を開いたが「ほとんどの質問が(東大卒の)昇吉兄さんに集中。あと昇々兄さんはイケメン、イケメンいうても、あんな感じですしね(笑」羽光への質問はただ一つ「師匠の下ネタは引き継がれますか?(東スポ)」。小笑への質問はゼロだったそうだ! 成金は一昨年の秋に終わったが、末廣亭の深夜寄席は休演を余儀なくされている。「本来なら卒業寄席をやるところなんでしょうが、それもコロナで・・・」と残念そう。羽光としては成金やシブラクと同じく、若いファンが中心の深夜寄席に育てられたという思いがひときわ強いことだろうに。

 ●「みんな京阪」
 ●「鶏と卵」
<中入り>
 ●「ん廻し」
 ●「偽物落語家」

 三実作「みんな京阪」と雲水から習ったという古典「ん廻し」。残る2作が羽光の新作だが、どちらも頭で考えた落語で着想は面白いけどオチが弱い。NHKのコンクールで演じた「ペラペラ王国」は、さすがに落語として完成されているが、どうしたって新作については作り続け、演じ続けて上書きしていくしかない。まだまだラジオドラマみたいだが、これがいつしか誰もが演じられるような落語作品として醸成される日を待ちたい。


 着る着物の柄、かける噺にしても、時と場合に応じて選ばなければ、先輩から注意を受けるのが寄席。羽光も以前は寄席というものが、いまひとつよくわかっていなかった。「(自分は)関西の芸人だから、基本自分ひとりが受ければいいと思っていた」が、「東京の寄席ではそれは違って・・・いろいろな芸人が出てくる中で、皆がトリに向かって流れを作っている」。特にそれを強く感じたのが「遊雀師匠」。
 末廣亭3月上席夜の部、くいつきで上がった自分の新作落語や、前に出た落語家の噺を主任の遊雀が自分の演目の中にどんどん入れ込んでくれる。「遊雀師匠によってその日の寄席の世界が閉じられるというのがすごい」と思ったそうな。ふ~む「その日の寄席の円環を閉じる」ような凄い意図があったのか。喬太郎も結構同様のことをやるし、あの世代の噺家の「お約束」の入れ事だと思っていた。
 でも、こんなふうに感じる後輩がいるというのは素晴らしいことだ。昇太が廃業した三太楼を受け入れ、小遊三が「遊べや親のない雀」の意も込めて遊雀の名を与え、若手落語家たちの目標として、また中堅として芸協に良い影響を与えている。よかった遊雀。

 


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