上京して間がない頃、新宿の駅の地下通路で鬼怒川温泉の観光ポスターを見た。
その時私は「きぬがわ」を「きどがわ」と読んでいた。
そして鬼が怒る川って言うくらいだから、とても荒々しい川だろうと思った。
それから20年後。
当時小学生だった子供たちと家族で日光江戸村に行き、鬼怒川の宿に泊まった。
その時はちゃんと鬼怒川を「きぬがわ」と読むとマスターしていたが、なぜこの川が鬼が怒ると言われるほどの川なのかわからなかった。
ごく普通の川じゃない？
でも今回、主人の退職祝いに鬼怒川温泉の上流にある川治温泉まで足を伸ばして、やっとその名前に納得できた。
鬼怒川の上流はいくつも滝があり、眼下の渓谷を流れる川はあちこちの岩にぶつかり白い水しぶきを上げて激しく流れている。
水の色は青緑色だ。
白い岸壁とのコントラストは美しいが、たしかに鬼怒川というネーミングは間違ってはいないと思った。
尤も細長い山国の日本列島は海までの川の距離は大陸に比べ短く、そのため勾配は急だ。
おそらく日本はどこの川も平野にたどり着くまでの流れは鬼怒川と同じようなものだろう。
鬼怒川にある龍王峡のハイキング。
川治温泉はそれが目的だったが、不覚にも私は奥入瀬川のほとりを歩いた時と同じだろうと思い込んでいた。
けれど勾配が緩やかで、川沿いの散歩道はきちんと整備されてて歩き安かった奥入瀬に対し、龍王峡は川が眼下。木道もあったものの、道なき道も多く、険しく、木の根っこに足を取られそうな道や、岩場を登るような道と、スリルと見事な景観を楽しめると言う、慣れたハイカーが喜ぶコースだった。
ただ全長6kmはあるハイキング・フルコースは今回途中工事のため通行止めになっており、結果的に2kmくらいしか歩けなかったので、高齢者のにわかハイカーの我々は助かった。
2泊したホテルではハガキ大の和紙を作る紙漉きに挑戦したり、石臼を引いて大豆をきな粉にするといった体験もさせてもらえ、そのきな粉をお土産にできた。
２泊のホテルライフを退屈させないこの企画はなかなかだった。
翌日は川治温泉とは対照的でホテルが乱立し、日光江戸村や、ワールドスクウェア、猿軍団などの観光地も多い鬼怒川温泉まで下って2泊。
ここに来るのは3度目だっただけに私は幾分不安だった。
子供と来た昔のように老いた身でも楽しめるだろうか？
結果から言えば杞憂だった。
忍者屋敷のアクションショーも、南町奉行所のコミカルな時代劇も子供から大人、外国人の観光客まで楽しめるようにできている。
以前はなかった花魁道中もあり、そのパレードも見応えがあった。
なんでも花魁道中は当時、高級娼婦とは言え庶民には高嶺の花のような存在だった花魁を一眼でも見たいというニーズがあって始まったらしい。
なるほど。
だから群衆の中でも顔が良く見えるように、20cmはあろうかというような高いポックリを履いて練り歩いたのだろうか。
旅には必ず新しい発見が何かある。
そしてそう言うものをまだ楽しめる自分に、私は心底ホッとした。
このところずっと寝付けず鬱々としていただけに…
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トリックアートの壁ドンですが、これじゃあちっとも騙せない！
もう少しリアルに描いてよ〜
成り切ってる私が馬鹿みたいじゃないの。(笑)
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石臼を轢いて、きな粉を作っているところ。
きな粉が大豆からできるって知らなかった…(恥)
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日光江戸村で、駕籠かきに担いでもらいました。たった10歩くらいだけど(喜)
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