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2021年03月24日02:19

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溺死された方々の音楽

 今月の始めには珍しい溺死のニュースがありました➝https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=6436157&media_id=202
 つい先日も、フランスでいじめられていた少女がセーヌ川に突き落とされて溺死したという悲しいニュースがありました➝https://news.mixi.jp/view_news.pl?id =6454392&media_id=202 これはもはや事故というより、事件ですね。フランスのいじめ問題も相当深刻なものと見えます。
 それはともかく、以前日記にも書きましたとおり、私自身一度ならず溺れかかった経験があるためか(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1541534021&owner_id=22841595https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1438090906&owner_id=22841595)、こうした溺死のニュースには、つい敏感に反応してしまいます。どちらのニュースも、つぶやきの数が少ないのが信じられないほどです。
 加えて最近では、これはもしかしたら発見かもしれないということ(でもないか(^^♪)が気になって、余計に過敏になっている始末です。
 その発見かもしれない気になることというのは、作曲という活動をした人には、溺死された人が意外といらっしゃるということです。概して皆さんお若いです。

 例えば、中華人民共和国の国歌(『義勇軍進行曲』)を作曲した聶耳(ニエアル)は、国民党政権による弾圧を逃れ日本に滞在していたときに溺死しています。神奈川県の湘南海岸(鵠沼海岸)で友人と遊泳中に行方不明になり、翌日水死した遺体が見つかったそうです。享年24歳。
 この死をめぐっては、「中国国民党または日本国政府による謀殺」とする陰謀論もありますが、他の水死者と特に変わった点はなかったとの地元民の証言がある他は詳しいことはよく分かってないようです。


 また、アレクサンドル・スクリャービンには、愛人との間にジュリアン・スクリャービンという男児がいたのですが、この子も船の転覆事故により、わずか11歳で、キエフのドニエプル川で水死しました。
 でも、この子は神童で、父親の神秘的な作風を彷彿とさせる作品をすでに幾つか作曲していたらしく、それらは今日もコンサート等で演奏されているようです。


 さらに将来を嘱望されていた指揮者のイシュトヴァン・ケルテスも、イスラエルのテルアビブの海岸で遊泳中、高波にさらわれて溺死しました。享年43歳。
 この人は専ら指揮者を生業にしていたようですが、まだハンガリーにいた若い頃には、フランツリスト音楽院でちゃんと作曲を学んでいます。というか、指揮者が独立の仕事になるまでは、作曲者自らが自作を指揮することが多かったわけですから、作曲を学んでいたのも指揮者ならいわば当然のことであったとも言えるでしょう。
 この人の十八番は何と言ってもドヴォルザークでした。


 ただ、作曲活動をした人の中で最も劇的な溺死を遂げたのはスペインの作曲家グラナドスといえるでしょう。

 多分、この曲を聴いたことがあるという人は多いと思いますが、この曲(『スペイン舞曲集』の「アンダルーサ」)の作曲者がグラナドスです。
 この人は、代表作『ゴイェスカス』(ピアノ作品)を改作したオペラ作品『ゴイェスカス』の世界初演を行いたいとのメトロポリタン歌劇場からの申出を承けて、妻アンパロと共に渡米したのですが、帰路、乗船していた客船サセックスがドイツ潜水艦による魚雷攻撃を受けてしまったのです。当時は第一次世界大戦の真っ只中だったのです(冒頭の写真は魚雷攻撃後のサセックス)。目撃者の話によれば、このとき、グラナドスはいったん救命ボートに救い上げられようとしたのに、波間に沈もうとする妻アンパロの姿を見て再び海中に身を投じ、二人はもつれ合うように暗い波間に消えたということです。享年48歳。
 オペラ作品のニューヨークでの初演がそれほど成功していなかったなら、夫妻はすぐにスペインへの直行便に乗り、災難には見舞われなかったかもしれません。でも、初演は大成功し、夫妻はウィルソン大統領の招きによりホワイトハウスで演奏会まで開くことになってしまったために、グラナドスは、予定していたスペインへの直行便をキャンセルしてしまったそうです。しかも、アメリカ滞在が延長した結果、乗船することになったサセックスは、ロンドン経由だったために英仏海峡を渡航しなければならず、そこをドイツ潜水艦に狙われたということです。
 ところで、グラナドス夫妻が渡米する原因となったオペラ作品の元となったピアノ作品の『ゴイェスカス』には第5曲にこんな曲があります。

 曲のタイトルは「愛と死」。後付けであることを承知で言えば、何やら自らの死を暗示するようなタイトルです。

 今日はエンリケ・グラナドスの105回目の命日です。
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