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2020年12月16日03:59

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ジョージ川口やマイク真木を笑えないクラシックの作曲家

 最近は以前ほどではないようですが、一昔前には純血の日本人でありながら、カタカナの名詞をアタマに付けたり、洋風の名前を名乗ったりする方々が結構いらっしゃいました。
 例えば、ジャイアント馬場とか、アントニオ猪木とか、アニマル浜口とか、ピストン堀口とか、ダンプ松本とか、…。
 これらの格闘技のアスリートたちの場合、カタカナ部分は、多かれ少なかれ強さをアピールするために付けたものと思われます。でも、今見るとなんか可愛いというのか、可笑しいですね。
 これらに対して、別に強さをアピールする必要もない音楽関係者(主として洋楽関係者)も、しばしば純血の日本人でありながら、洋風の名前を名乗っていたものでした。
 ジョージ川口とか、マイク真木とか、ミッキー吉野とか、パラダイス山元とか…。
 これらは、洋楽の本場、先進地に対する憧れから付けたものといってよいでしょう。彼の地で活躍しているミュージシャンの名前や、彼の地をイメージさせる言葉を拝借して自分の芸名にすることがかっこよく思われた時代があったということです。
 こうしたことはわりと昔から行われてきたことで、クラシックの作曲家、それもかなりの大物もやってきたことです。
 その筆頭はモーツァルトでしょう。今ではほとんどの人がヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが彼の名前であると思っています。特に映画『アマデウス』がヒットした関係で、“アマデウス”という名前が有名になりましたが、実はこの名前はモーツァルトの生まれつきの洗礼名ではなく、彼が自らちょっとした改造を施したものなのです。
 モーツァルトの本当の名はヴォルフガング・テーオフィル・モーツァルトなのですが、このギリシャ系のドイツ語のテーオフィルはかっこ悪いとあって、この人は13歳の時イタリアを旅行するに際して同じ意味のイタリア語のアマデオに自発的に名前を変えてしまったのです。これがアマデウスの由来なのですが、なぜここでイタリア語が出てきたかというと、単に次の旅行先がイタリアだったからではなく、当時はイタリアが音楽の先進地であり、モーツァルトも少しでもイタリア人にあやかりたかったからです。
 こんな例は、モーツァルトに限らず、この時代にはいくらでも見られたようです。今となっては、皆さん故人ですから、多くの場合、文献を見て、当時そういう名前の人がいたのだと知ることになるのですが、イタリア人っぽい名前がついているからといって、その人をイタリア人だと即断すると、大きな間違いの元となります。
 例えば、ウィーンの宮廷での筆頭楽長だったジュゼッペ・ボノという人も、Giuseppe Bonnoという明らかなイタリア語の名前を名乗りながら、実はれっきとしたボヘミア(チェコ)人で、名前も本当はヨーゼフ・ボンだったということです。イタリア人でないと幅の利かない社会ではそのほうがかっこよく、何かと都合がよかったのでしょう。
 そういうわけで、今ではクラシックといえばドイツ・オーストリア音楽みたいに捉えられがちですが、モーツァルトの時代には、ドイツやオーストリアは音楽的にはまだまだ僻地で、イタリアこそがその本家本元の先進地であったというわけです。
 このように音楽においてイタリアが強かった時代は、今年、生誕250周年を迎えたベートーヴェンの時代になっても、まだ少し続いていたようで、ベートーヴェン自身、しばしばルートヴィヒではなくイタリアふうに、ルイジ・ベートーヴェンとサインしていたということです。
 ドイツ人の権化のようなイメージがあるベートーヴェンですが、彼もまたイタリアには憧れていたのです。このことは、作品からも伺われ、この人の第三交響曲『英雄』はシンフォニア・エロイカとイタリア語で表題され、今もこの名で呼ばれています。
https://www.youtube.com/watch?v=88NoK2bg2fA


 今日は、250年前にルイジ、いやルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンがおそらく生まれた日であろうと云われている日です。

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