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2020年07月29日09:42

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分光器の改造

6月に作った分光器でいろいろテストした結果いくつかの問題点がわかったのでそれらを改造した分光器を新しく作ってみた。

1:太陽光を撮ったとき水平方向にノイズ状の模様が出たので、これは回折格子表面の汚れかキズによるものかと思ってDVD-Rの保護用透明板をはがさない回折格子を作ってテストしてみたらやはり同じような模様が出たので原因がわからなかった。
しかし数枚撮ったものを比較してみるとどれも同じような模様があるがそれぞれ位置も形も違う。
回折格子表面のキズやヨゴレならばどれも同じ場所に同じ形になるはずだが、よくよく見ているとすっきりと晴れてなく薄雲がかかっているので太陽表面に雲が流れているとノイズ状の模様が出る。
結局回折格子表面の問題ではなく天候の状態によるものだった。
表面の透明板が無いほうが反射率が高いので以前の方法のものを使うことにした。

2:鏡筒にスリットを固定していたためスリットと回折格子の距離や回転角を変えることが出来なかったので、鏡筒に内接する筒を黒い紙を丸めて作りそれにスリットを取り付けた。
鏡筒も長いものにしてスリットと回折格子の距離可変範囲を長くした。(鏡筒は前回と同じ100均で買った賞状入れの紙筒だ。)
内筒を前後にスライドさせることでスリットと回折格子間の距離が変えられるし回転させるとスリットの角度が変わるようにもなるようにした。
さらに鏡筒の回折格子側出口を直径1cmほどの穴を中心に開けた紙でふさいだ。
スライドさせたり回転させたりすることでいろいろなことがわかってきた。

3:スペクトル分解能を上げる。
回折格子のピッチが狭いほうが分解能が上がる。CD(1.6μm)→DVD(0.75μm)→BD(0.32μm)とピッチが狭くなる。
そこでBDを使えばもっと分解能が上がるのではないかと思いBD-R(5枚組)を買ってきた。
ところがBDの表面を見てみると全くの鏡で虹色が見えない。水平方向まで傾けると青の領域が見えるが赤の領域は見えない。
CDやDVDは正面から虹色が見えるがBDは正面からだと自分の顔が見えるだけの鏡で虹色が出ない。
それでもBD-Rを切って回折格子を作ってみたが案の定分光しない。
そこで回折角を計算してみると赤の波長では計算式が成り立たない。つまり回折光が出てこない。結局BDは回折格子としては使えないことがわかった。
 (一次の回折角の式 320sinΘ=600nm(赤の波長)を満たすsinΘは無い。)

4:分解能を上げるためには
カメラ側のレンズの焦点距離を長くする。
いろいろな焦点距離のレンズを試してみたが125mm相当まで上げると部分的にかなり拡大できる。
水銀輝線の576.961nmと579.067nmの間隔が45mmだと約40ピクセルで125mm相当で約80ピクセルとなる。
あと今回は試してないが回折格子を2段にする方法もある。(構造的に難しい。)

5:スペクトルの輝線や暗線をくっきりさせるためのソフトを作ってみたが、もうすこし良くしたいと思い計算方法を一部変更してみたらだいぶ良くなった。
別の方法としてはRSで処理する方法もあるのでこれもやってみた。
補正量を大きくするのも善し悪しでノイズと変わらないようなレベルの低い輝線や暗線はノイズを減少させていくと一緒に消えてしまう。

お天気が悪く太陽光が撮影できないのでフラウンホーファー線がどう見えるようになったか気になる。
その状態によってはさらに改造が必要になるかもしれない。


しこしこと工作をやっていたら家内から”小学生の夏休みの宿題の工作をやっているみたい”と言われてしまった。そんなものかもしれない(^_^;)


写真1:今回新しく作り直した分光器(鏡筒の長さを長くしたのと鏡筒の中に入れる筒が増えた。内筒の右側先端にスリットがある。これをこの向きに鏡筒に差し込むことでスリットと回折格子の距離を変える。)

写真2:45mmで撮った蛍光灯の水銀輝線。理科年表によるとこの波長帯に水銀輝線が20本ぐらいある。蛍光灯から何本出てるかわからないが少なくとも10本ぐらい出てるかもしれない。弱い輝線はノイズに隠れてしまっている。
改造ソフトでは強い輝線は強調されて,より見やすくなっている。

写真3:125mm相当で一部を撮ったもの。576.961nmと579.067nmの間隔は約80ピクセルになっている。


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