妄想探偵社

〜移動〜

早朝の新幹線ホームはビジネスマンが多く
これから旅行！というハイな気分の人は少ない…けど

『ねえねえ伴尾さん』
『はい　何でしょう？』
『新幹線って車内販売あるかしら？』
『はい　のぞみは継続します』
『えへへ　アイスクリーム食べちゃおっと』

藍尾君は完全に旅気分だ
ここでひとつ洞察力テストでも出して引き締めるか

「ねえ伴尾君」
『はい先生　何でしょう？』
「クライアントから預かった捜索対象が撮って残した資料に
この駅の新幹線の写真あったよね？」
『はい　二枚あります』

僕は伴尾君から手渡された二枚の写真を見て藍尾君に問題を出した
「この二枚で何が読み取れるかな？」
ふふ　難しいぞ

『えへへ　っと‥これは‥
この駅の早朝３０番台ホームで自分が乗る関西方面の前の便を見送って
次に自分が乗る便の入線を撮ったものと推測されます』

ほう…

「藍尾君のこの推測の根拠は何かな？」
『えへへ　だって
早朝の理由は
ホームに人影がまばらだからです
３０番ホームの理由は
すぐ奥に見えるビルが八重洲側の高層ビルですし
関西方面行きの理由は
左手に八重洲を見る新幹線のテールランプが赤という事は
関西方面に出車した便を撮ったと思われるからです
それに赤いテールランプが遠ざかるという事は
とにもかくにも関西方面によく使われる車両がＮ７００Ａだからです』

ふぅーっむ　鋭い…