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2019年03月10日23:53

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マーベル映画みたいな明るく楽しい“ハレ”の映画に。だが、それが正解である 『アクアマン』

「DC映画? いやだ暗くない?」
誇張の感想はともあれ事実が存在する。
一般の人々 *1 は明るく楽しい映画を好む。
もう大衆のジャンルとなったアメコミも一緒だ。

世界興収10億ドルを突破した本作は、DC映画の従来のイメージをハレへと払拭した。
まずアーサー = アクアマンをつとめたジェィソン・モモアがとてもよい。

髭面、太く深い声、筋肉、ワイルドさそのままに悩まず、
すがすがしく道を切り開くアーサーを好演。
また、ヒロインのメラは今時の自立した女性そのままに、
アクションも十分にこなす第2のヒーローだ。*2

映画の構成も上手い。
陸と海、本来へだてられた世界の男女が出会い、*3 両者の血を引くアーサーが誕生。
以後はアーサーの異父兄弟たるオームが
彼を憎み地上侵攻を行うシェイクスピア的展開。

だが、物語はさらなる父と子の関係も描く。
父を殺すアーサーを憎むアクアマン最大のヴィラン、
土偶のような強烈な見た目のブラックマンタの誕生だ。

第1部がアクアマン誕生と親子の絆。
第2部がブラックマンタとの対決。
第3部はオームと王の座を巡り両軍入り乱れる海中決戦。

長尺をわかりやすく整理する。

自身のエンタメの持論は「観客の予感の結実」だ。*4
そのポイントを監督はとてもよくわかっている。
「伝説の怪獣カラゼンが伝説のトライデントを引き抜くアーサーへとしたがう」
そうしてアーサーは物語序盤で師匠が披露した槍の技を本人のまえで最後に使う。

最高だぜ。


※1 「一般の人々」だ。自分も、この感想を読みに来てるヒトたちもきっとちがうぞ。自覚はあるはずだ。

※2 まずヒーローとヒロイン、男女の活躍が公平であることが、現在はポリティカル・コレクトネスとして必須。ただ、本作はそれを無理矢理導入せず2人の弱さを含めて自然に内容へ落し込む。そこがいいのである。

※3 アーサーの父親で地上人のトムと母親で海底人のアトランナの出会いと生活はコミカルでおもしろい。同時に前半ではアーサーと父親の絆へフォーカスし、後半では母親の絆へフォーカスする。最後に物語のはじまりの2人に物語が還る部分も上手い。

※4 最大公約数的に人々が「こうなってほしい」のを叶える物語が、すぐれたエンタメの証明で同時に作り手の技量だ。
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