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2017年09月15日12:41

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9月14日 鈴本演芸場9月中席夜の部

 長らく患っていた友人が一昨日未明に息を引き取った。本人の希望で見舞いは許されず(元気な時の笑顔だけを思い出にしてほしいと云われた)葬儀もなく、ただご遺族の好意で(やっと安らかな顔になったからとのこと)自宅に帰ったところを訪ねることを許された。仕事を5時になんとか切り上げ、急いで八王子の住宅地にある友人宅へ。夜の住宅街を記憶とグーグルマップを頼りに訪ね当て、ご遺族に花を渡し、眠っているような姿に対面してきた。余命三か月と聞かされた時から4年ほど永らえたのだが、自分と同い年の死はまだ早い。早いが世間に無い話ではないのだ。残された時間は少なくなっているなあと実感する。
 翌日は休み。歯医者に行った後、秋の彼岸には早いが墓参り。若いころは、人は死ねばすぐ忘れられるとドライに考えていたが、実際二親に死なれてみると、折に触れ昔のことを思い出す。たぶん亡くなった友人のことも、自分がボケて記憶があいまいになるその時まで忘れないだろう。ともかく生前その人とつながりがあった人間の記憶の中に、過去の人々の姿は遺されるのである。

 気持ちを切り替えて鈴本夜席へ。白鳥主任「落語の仮面まつり」は今年で3回目。最初の年は新作+「落語の仮面」構成だったと思うが、2年目からは鈴本前のたて看も月影先生コスプレの白鳥。今年はついに原作者・美内すずえ先生公認と看板に銘打たれてのイベントとなった。ロビーにはその先生から毎度のことながらのお花が飾られ、その前で写真を撮る人が多数。圧倒的にアラフォー、アラフィフくらいの女性が多い。自分が見たのは2話「嵐の初天神」と4話「ライバルの行方」だと思っていたのだが、今回のラインナップを見ると、4話のタイトルが「テレビ仮面舞踏会」となっている。ちょっと記憶があやふやなのだが・・・。

●前座 彦星「子ほめ」
 素敵な前座名の正雀のお弟子さん。普通に前座らしい落語だが、「えーっ」と間投詞が入るのはよろしくない。

●美るく「千葉棒鱈」
 千葉出身を生かしてのびのびと演じていた。この人がこんなに明るく演じるのを初めて見た。どうなることやらと思っていた白鳥バックアップの女流の会、ちゃんと成果を上げているようで良かった。つる子、粋歌、ちよりんと交替。

●奇術 アサダ二世

●一朝「幇間腹」
 寄席の良心たるこの人がなぜだかこの出番。

●小ゑん「下町せんべい」
 春日部から浅草にやってきた下町マニアが煎餅職人と出会い・・・という新作。田原町を歩くと「ソース焼きぞばの匂いがする」に肯く。

●漫才 ホンキートンク
 以前も白酒主任の時に挑戦していた無理やり上下をきる落語漫才をやっていた。

●白酒「真田小僧」
 真田幸村のくだりまではいかず。金坊「ここが切れ場」「ここからが濡れ場」って、もはや子供の発言じゃない。

●百栄「はてなの茶碗」
 中トリで天どんと交替。ここでちゃんと古典落語、しかもあんまり声を張らない百栄だけに、茶金さん、清水の茶屋の主などの関西弁がやさしく聞こえていい感じ。

<中入り>

●ギター漫談 ペペ桜井

●文蔵「時蕎麦」
 薄い竹輪が麩ですらなく、どんぶりの模様だというのが可笑しい。また残すほど(しかも呑み込めなくて戻すほど)まずい蕎麦設定なのね。先週見た末廣亭でも米福が「大口のお得意さんがいるって云ってたが、そのお得意さんのところに連れてってくれよ。面が見てぇ」と怒っていたが、ホントに一度そのお得意さんが出てくる落語が聞きたい。ちなみに屋号は車の前に人が倒れていて「当たり屋」。

●紙切り 二楽
 「ガラスの仮面を着けた桃太郎」のハサミ試しの後は「月影と白鳥の相合傘」、そして何故か「流れの豚次伝」の「カラスのカー助」。かなり困惑していた。

●白鳥「落語の仮面 第7話 短命からの脱出」
 今回作りづらかったのか、かなり原作漫画に寄せてきている。というか、ほとんど原作漫画そのまま(笑)と云っても差支えがないのでは。「笑点」の座布団運びとなり一躍人気者となった三遊亭花。ところが大都芸能が仕組んだスキャンダルで芸能界を追われ、傷ついた心を抱えたまま、女流落語家ならだれもが目指す大ネタ「無限桜」の舞台となった桜の木がある山奥に旅する。そこでスーパーナチュラルな体験をした花は、落語への情熱を再び燃やし、一度は破門された師匠・月影の元を訪ねて、自分の思いのたけを告げる・・・。
 再起をかけて再び落語会を企画する花は、練馬の石神井公園を会場に決める。木立に囲まれた劇場のロケーションを十二分に活用するために、高座に留まらず縦横無尽に移動する演出プランを巡らす花。そんな花に「それはもはや落語じゃないよ!」と最もなツッコミを入れる桜小路くん。それに対する花の答えがふるっている。「私が目指すのは(古典落語のような)そんな高い山じゃなくて、お花が咲いて、みんなが登れるような低い山」。つまり、いろんな高さの山があっていい=いろいろな楽しみ方が出来る落語があっていいという割と崇高なテーマが呆れたストーリーの中に展開されるのである。
 花の無謀な演出プランを実現させるために、月影は花に「反対俥」を演じながら小学校のグラウンドを10周、「野晒し」の歌を歌いながら山手通りを歩く、バンジーロープを足に結び付けて歩道橋の欄干の上で正座という地獄の特訓を施す・・・この特訓がクライマックスでどのように生かされるのか!?

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