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2016年11月12日22:46

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首都直下地震[読書日記601]

題名:首都直下地震
編者:平田 直(ひらた・なおし)
出版:岩波新書
価格:760円+税(2016年2月第1刷)
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新聞の書評で紹介されていた本です。
著者は、東京大学地震研究所の平田直教授。

「表紙裏」に書かれた惹句を引用します。
“一極集中が加速する一千万都市・東京。もしもここに、M7の大地震が襲いかかったら……。
 東京付近の地下で発生し、市民の生命・身体・財産をはじめ、政治・経済・ビジネスに大きく影響を与えうる首都直下地震。巨大都市の弱点を突くこの地震は、どのような被害と災害をもたらすのか。地震学の最新の知見を紹介する”

著者は「首都直下地震」を次のように定義しています。
“ここでいう首都圏とは、東京都を中心とする150キロメートル四方の範囲である。この範囲に、M(マグニチュード)七程度の地震が100年間に五回程度の頻度で発生していたことが判明している。
 それが、いわゆる首都直下地震である”(6p)

目次を紹介します。
 はじめに
 第1章 首都直下地震とは何か
 第2章 予想される被害
 第3章 震源はどこになる?
 第4章 予知は可能なのか?
 終 章 首都圏を守るために
 おわりに

著者は「第1章 首都直下地震とは何か」で、2001年から2010年までの一〇年間に関東の約二〇〇キロメートル四方の範囲内で発生した地震の数を紹介したあと、次のように書いています。
“この数(関東地方の地震発生回数)は世界的に見て非常に大きいといえる。つまり、日本だけでなく世界的に見ても、関東地方は地震のきわめて多い地域なのである”(36p)

この第1章では首都直下地震が、幕末に起きた史実も紹介されています。
“江戸幕府に開国を要求したペリーが浦賀沖に到着したのは1853年7月8日である。その前後、欧米列強が幕府に開国を迫っている。
 ロシアの軍艦ディアナ号は、1854年12月23日、地震(安政東海地震M8.4)発生の当日に幕府との交渉のため下田に寄港していたため、大津波に遭遇し大破した”(20p)
そういえば、竹村公太郎氏の著書『日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】』にも、この地震によって欧米列強が日本の植民地化を諦めたのではないかと説得力のある推理を展開されていました。

「第3章 震源はどこになる?」では、東日本大震災が“観測史上五番目の超巨大地震”だったことを記しています。
“「ひとつ間違えば、首都直下地震が起きていたかもしれない」東日本大震災発生後、著者は本気でそう思った。
 二十世紀以降、M九以上の地震は世界で五回しか発生していない。(略)
 地球規模の超巨大地震が、東京からわずか三〇〇キロメートルの至近距離で起こったのである。ここから先は何が起こってもおかしくないと思われた”(108p)

「おわりに」では、“2011年東日本大震災の発生から四年半たった2015年11月時点で、全国に暮らす避難者数は約18万人である”(187p)という事実を紹介した後、本書執筆の目的を述べています。
“現在の地震学で何が確実に言えて、何が言えないか。読者にそれが分かっていただければ、本書の目的は達せられたと思う”(189p)

地震を「防災」することはできないが、対策によって「減災」することはできる。
最低限の対策は立てなければ、と思いを新たにしました。

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平田 直(ひらた・なおし)
1954年東京都生まれ
東京大学地震研究所教授。東海地震判定委員。
文部科学省首都直下地震防災・減災特別プロジェクトリーダーなども務めた。
専攻――観測地震学
著書など――『地殻ダイナミクスと地震発生』朝倉書店(分担執筆)。『首都圏にくる地震の姿とプレートの構造』科学、2010年8月号(共著)、『マグニチュード9.0の衝撃』科学、2011年5月号(分担執筆)ほか。

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