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2016年07月23日08:59

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たった一人の熱狂 [読書日記585]

題名:たった一人の熱狂 仕事と人生に効く51の言葉
著者:見城 徹(けんじょう・とおる)
出版:双葉社
価格:1300円+税(2015年5月第7刷発行)
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友人から薦められた、幻冬舎社長:見城徹さんのエッセイです。
エッセイといっても、SNSの一つ「755」に届いたユーザーからの質問に答える形式。
しかも、無名の若者に対して熱血漢の著者が答えるので、叱咤激励調が多くなっています。

ふだんは叱咤激励調の(しかも「仕事と人生に効く51の言葉」というハウツーもの風な)本を読んでも読書日記に書かないのですが、この本は本音が語られて良かったので紹介します。

書き出しが、ちょっと変わっていて、堀江貴文氏の仮釈放の話から始まります。
“はじめに ―755の奇跡―
 囚人番号755番。2013年3月27日、長野刑務所に服役していた懲役囚・堀江貴文が仮釈放された。その瞬間、
彼は「755」という無機質な記号ではなく「堀江貴文」という有機質な氏名を娑婆で奪還した。
堀江が刑期を満了したのは、仮釈放から7カ月半後の2013年11月10日だ。仮釈放されて娑婆に戻って来たからといって、刑期が終わる前に法律に触れることをやらかせば、堀江は再び刑務所へ収監されてしまう。
そんなリスクが残る中、盟友であるサイバーエージェントの藤田晋社長はただちに行動を開始した。
2013年6月3日、堀江と資金を折半し、新会社「7gogo」を創立したのだ。社名の由来は言うまでもなく、長野刑務所時代の屈辱的な囚人番号を指す”(1p)

「755」というアプリの話題は聞いたことがあるのですが、ホリエモンの囚人番号にちなんでいるとは知りませんでした。

いつものように、印象に残った部分を5つ抜き書きします。
以下、【 】内は初めに掲げられたタイトル。そのあとの言葉は著者の説明です。

1.
【小さなことこそ真心込めろ】
“仕事ができない人間の共通点は、自分に甘いこと。
 思い込みが強いこと。小さなこと、片隅の人を大事にしないこと。
 約束を守らないこと。時間に遅れること。
 他者への想像力が足りないこと」”(90p)
 著者は「先にした約束は、そのあと大きな仕事の予定が入って重なっても、先の約束を優先してきた」と語っています。

2.
【GNO(義理、人情、恩返し)を大切にしない人間は、
 何事もうまく行かない。
 小さなことにクヨクヨし、小さなGNOを死守するのだ】(94p)
 豪快に大胆不敵に生きることを美徳とし、「小さなことに
 クヨクヨするな」と言う人がいる。
 一理あるが、僕は敢えて「小さなことにクヨクヨしろよ」と言いたい。(略)
 解りやすい言い方をするならば、GNO(「義理」「人情」
 「恩返し」の頭文字)こそが、仕事においても人生においても最も大事
 だと思っている”(95p)
 今の若者には「義理、人情」は死語かもしれませんが、この言葉は大事だと思います。

3.
【幻冬舎の挑戦】
“「出版は斜陽産業だ。
 僕は出版部門の利益はゼロになると予測し、暗闇の中でジャンプする」(110p)
 僕は出版物の未来には、明るい展望をまったく抱いていない。2020年
 までに、幻冬舎の出版部門の利益はゼロになるとさえ予測している。(略)
 だから幻冬舎メディアコンサルティングや〜多くの子会社を設立し、
 出版に軸足を置いた別の関連事業を積極的に展開してきた”(111p)
 著者は“自分が熱狂できる分野だから出版の世界で生きてきた”と語っていますが、その思いは別にして、出版の未来に幻想を抱いているわけではないようです。

4.
【理念なんかいらない】
“「熱狂と圧倒的努力さえあれば、最初は理念なんてなくてもいい。
 思念など成功したあとにあと付けで掲げればいいのだ」(132p)
 極論を言えば、起業家に理念なんて必要ない。「この仕事なら自分は
 無我夢中で働ける」という仕事に懸命に取り組む。圧倒的努力を費やし、
 結果を出す。結果が出た時に初めて「実はあの時、僕はこういう理念を
 持っていたんですよ」と言うくらいでちょうどいい”(134p)
 角川書店を辞めて、幻冬舎を立ち上げた著者ならではの言葉だと思いました。

5.
【金が全てだ】
“「金だけじゃない、というのは自分への言い訳です。
 金が全てだということは僕が仕事を始める時の前提でした。
 それを無理にでも呑み込んで、僕はこの世界での闘いに飛び込んだのです。
 汚れているのは言わずもがなです。今も金が全てだと言い切っています。
 そう言い聞かせています」”(154p)
 最後の「そう言い聞かせています」が、著者の苦渋を語っているように感じました。

著者の言葉のすべてに賛成するわけではないのですが、行間から著者の真剣さが伝わってくる本でした。

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見城 徹(けんじょう・とおる)
1950年静岡県生まれ。75年、角川書店に入社。
『野性時代』副編集長を経て、『月刊カドカワ』編集長に。
『月刊カドカワ』時代には部数を30倍に伸ばす。400万部を超えた森村誠一の『人間の証明』や5本の直木賞作品をはじめ数々のヒット作を生み出す。
93年、角川書店を退社。幻冬舎を設立。五木寛之『大河の一滴』、石原慎太郎『弟』、唐沢寿明『ふたり』、郷ひろみ『ダディ』、天童荒太『永遠の仔』、村上龍『13歳のハローワーク』、劇団ひとり『陰日向に咲く』、長谷部誠『心を整える』、渡辺和子『置かれた場所で咲きなさい』など21年間で21冊ものミリオンセラーを世に送り出す。
著書に『編集者という病』『異端者の快楽』。藤田晋との共著に『憂鬱でなければ、仕事じゃない』『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』などがある。

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