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2016年05月22日00:45

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子役の宿命

 私が子どもの頃通っていた岡山の小学校は、年に一度くらい映画の上映会を開催してくれました。
 大抵、アニメーションではないディズニー作品でしたが、上映会が行われる日には、映写機やフィルム等を積んだ小型バスみたいな見慣れない車が小学校に乗り付け、講堂あるいは体育館に集合させられた児童たちは、映写技師がスクリーンに映し出す映像を楽しむことができました。
 一方、このように学校側が映画を取り入れた行事を行うことは、アメリカの小学校でもありました。もっとも、2年間の私の滞在期間中、一度だけでした。方法も、学校で映画を観るのではなく、担任の先生が児童たちを映画館に引率して、そこで映画を観るという方法が採られていました。
 思えば、これが私がアメリカの映画館に入って映画を観た唯一の経験となりました。日本映画でも上映されないかぎり、言葉の壁がある以上、英語が話される映画を観ても、よく分からないだろうと最初から諦めていたからです。とは言っても、入ってみると、そこは日本の映画館とほぼ同様の造りになっていて、とくに目新しいものはありませんでした。
 上映された作品は、「第三の男」で有名なキャロル・リード監督の1968年のミュージカル映画「OLIVER!」でした。作品中に出てくる歌のうち、日本でも、次のナンバーは比較的知られているのではないでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=e0gNMQsImoQ

 チャールズ・ディケンズの原作が優れていたためか、あるいはミュージカル仕立てで作られていたためか、言葉の壁があっても、子どもでも観てれば分かる作品で、十分に楽しめました。
 のみならず、主人公の少年を演じていた子役にどこかで見覚えがあったことにも思い当たりました。映画「野にかける白い馬のように」でした。
https://www.youtube.com/watch?v=XsMoo_OgGtI

 この作品は、自閉症(失語症)の少年が白馬と心を通わせ成長していく過程を描いたなかなか感動的な作品なのですが、ここでその少年を演じていたのも、「OLIVER!」の主役を演じていたマーク・レスターだったのです。
 マーク・レスターといえば、一般には「小さな恋のメロディ」の方が圧倒的に有名ですが、私にとってのマーク・レスターは上記2作に止めを刺します。どこか影があったり、暗いところがあったりする少年を演じさせたら、この人は抜群にうまかったと思います。
 ただ、子役として大成した人の宿命ともいえるものですが、この人も大人の俳優になる上で大きな試練にぶつかり、どうもこれを乗り越えることに失敗したようです。既に俳優は引退し、昨年にはカムバックする話もあったようですが、いまだにとくに音沙汰もないところをみると、一般人として生きているものと思われます。
 こんなことを思い出したきっかけは、昨日マイミクhayamiさんが書かれた日記でした。その日記では、真利子哲也監督の新作「ディストラクション・ベイビーズ」が紹介されていたのですが、その映画の主人公が、2004年のカンヌ国際映画祭で最年少で男優賞を受賞した柳楽優弥くんで、カンヌで受賞したときに出演した作品「誰も知らない」とは全く違う役どころで、ひたすら殴り合うチンピラを演じていたということでした。
https://www.youtube.com/watch?v=RAyEeODqFzc

 もしかしたら、やはり子役として大成してしまった柳楽くんも苦労しているのかもしれません。
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