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2016年05月12日04:18

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5月8日 浅草演芸ホール上席夜の部

 大型連休は無関係で8日だけ休み。小三治が主任だと思い当たり、久々に夜の浅草へ行こうと決めた。しかし落語協会HPで調べると小三治は休演。中トリは権太楼で主任がさん喬。これはこれで・・・ということで、いずれにしてもの浅草へ。

 権太楼はただいま鈴本でGW恒例夜の部主任だから、中トリを終えたら速攻そちらへ向かうのだろう。夏の鈴本これまた恒例、権太楼・さん喬交互主任の時のような緊張感は望むべくもないが、その分また別の面白さが楽しめるかもというゆるめの期待を抱きつつ、蔵前のダンデライオンチョコレートで、かなりスパイシーなホットチョコレートをいただいてから演芸ホールへ。浅草の裏通りはもちろん、合羽橋近辺や蔵前辺りにも外国人向けのゲストハウスがやたらと目立つ。大通りの外国人の多さは言わずもがな。4時過ぎに入場するとホームランの漫才、次が彦いちの漫談。くいつきに木久蔵が出て「金明竹」を演じたらしく、「木久蔵は金明竹をやっただけであれだけウケて・・・」とさんざんネタにしていた。その後はきく姫、小円歌、昼主任の木久扇。近頃の子供は鞍馬天狗を知らない・・・から始まっての漫談だったが、この人の多才さを今更ながら思い出させる、なかなか楽しい話だった。

 昼席が終わると客席は50人弱のゆるい入り。しかし日曜夜の部というタイトな条件のせいなのか、通常の浅草にはあり得ないほど若い客が多い。まるで大学落研主催の落語会みたいな雰囲気である。

●市朗「子ほめ」
 ずいぶん弟子が増えている印象の市馬一門。ちょっとごつい見た目。

●ろべえ「旅行日記」
 小三治お供のわんこそば競争のマクラから数年前に池袋で聞いた時とすべて同じ。この噺するときはセットなんだろうか。先代今輔の新作落語で、師匠の喜多八でも聞いたことがある。今席はこみちと交替。

●川柳「ガーコン」
 声が細くなったのではないか。

●マジック アサダ二世
 昼の部に出るはずだったが、花島世津子と交替かな。

●〆治「親子酒」
 福治と交替。昼の部終わるまで立ち見だった場内は汗ばむほどの暑さ。頭痛を隣席の荷物に頭を載せてしのぐ。

●志ん輔「ふぜいや」
 入場前に飲んだ薬がやっと効いてきた。この噺、そういえば志ん輔でしか聞いたことないと思ったら、ご本人が小佐田定男に頼んだ新作だったのか。

●ものまね 小猫
 3月に亡くなったお父さんの話も少し。ウグイスの声を聞いていて思い出したが、最近家の近所にはウグイス以上に外来生物・ガビチョウの声がやたら響いている。

●馬石「元犬」
 極めていつも通り淡々と。

●はん治「鯛」
 関東の人間には文枝の新作落語を聞く機会はあまりないが、常々この人を通して聞いているわけだな。

●曲芸 鏡味仙三郎社中
 この後の二楽もだが、若い客が多いせいか反応がストレートで、演者は嬉しかったのではないか。「柳亭市朗さんありがとう」

●権太楼「町内の若い衆」
 日頃から登り窯だのトドだの酷い云われようのおかみさん、今回は「箱根の山」のように煙をだしているとのこと。長屋の六畳間には何も物がないって流行のミニマリストじゃないか。しかも部屋の一角に蜘蛛が張っている巣は「あれでモチが焼ける」ほど立派らしい。

<仲入り>

●しん平
 「昔はいい男だったのに・・・」と、だいぶ贅肉が付いた体を鍛え直すためのダイエットの話。そんな空しい努力する人だったんだとちょっと意外。

●紙切り 二楽
 鋏試しの後は「朝顔」と「川下り」。最初の客が「朝顔、につるべとられて・・・」と続けたので、「つるべ取られて・・・まで切らなくちゃいけませんよね」と苦しそうに言っていたが、出来上がってみれば見事な作品で盛大な拍手。

●歌奴「鼓滝」
 この噺、この人でもよく聞くが、正蔵もよく演じる。
●小里ん「手紙無筆」
 出番が出番だけに語りはあっさり。外見はずいぶん老け込んだなあと思う。こうして聞いていると、読めないことを誤魔化そうとする兄貴の誘導質問は、占い師とかもよく使う手。市馬の代演。

●漫才 ホームラン
 今日は昼間も出ていたが、内容はすっかり変えていた。一見するとたにしはボケに見えないのだが、実はものすごいボケというのがおかしい。ただ夜席は客が若すぎて、三波伸介の昔の人気者ぶりとか通じにくかったかもね。ホンキートンクと交替。

●燕路「夏泥」
 夏向けに髪の毛も刈り込んで、若々しい印象に。「もぐら泥」とか、泥棒噺がいいんだなぁ。

●粋曲 柳家小菊

●さん喬「笠碁」
 主任が高座に上がると少ない客でもいっぱいの拍手。小三治じゃない、さん喬を見に来た客だということで連帯感があふれる客席。自分はさん喬の「笠碁」を聞くのは初めて。権太楼では何度も聞いているのに・・・。お互いのお店の事情などをくみ取りつつ、普段はよい碁敵として過ごしている二人が、ふとしたことで口喧嘩、仲たがいしてしまう・・・その仲直りまでの顛末を語る噺。さん喬はそこに可笑しみだけでは終わらない、老境にさしかかった男二人の寂しさ、残りの日々を数える人生だからこその、道連れとしての友を求めるひとの心を見事に描き出した。思いのほか若い人が多かった客席にそれがどのくらい伝わったかはわからないけれど、同じく人生の先が見えている自分はしみじみしてしまった。今日の客は正に演者から良いものをいただいたと思う。


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