「ブリッジ・オブ・スパイ」

1950〜60年代の米ソ冷戦下で起こった実話を描いたサスペンスドラマで、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、ジョエル＆イーサン・コーエン脚本のアメリカ映画です。

保険の分野で着実にキャリアを積み重ねてきた弁護士ジェームズ・ドノバンは、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベルの弁護を依頼されます。
ドノバンは敵国の人間を弁護することで人々から非難を受け、家族も危険な目に遭いますが、「誰でも裁判を受ける権利がある」との信念で、弁護士としての職務を誠実に行い、被告人アベルの信頼を得ます。

死刑が確実と思われたアベルは、ドノバンの弁護で懲役30年となり、裁判は終わりますが、数年後、ソ連で捕虜となった米偵察機のパイロットとアベルの交換の交
渉役に指名されます。ちょうどベルリンに壁が作られた時で、混乱の最中、米国人留学生がベルリンで逮捕される事件が起きていました。

交渉の場となった、見知らぬベルリンで、ほとんどサポートも受けられないまま、ソ連、東ドイツ相手に重大な任務をこなすドノバン。

いわゆるスパイ映画とは程遠い地味さの上に、わかりやすいとは言えない映画です。
一触即発の時代だったことをリアルに感じさせられましたし、ドノバンの人間性、勇気に感動させられました。
硬派のエンターテインメントで、見る人を選びますが、ユーモアもあり、家族愛も描かれていて、良い映画でした。後日談も興味深かったです。

トム・ハンクスももちろんですが、アベルを演じたマーク・ライアンスも好演でした。