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2015年06月17日15:22

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6月15日 上野広小路亭 立川流夜席

志らくと談春にこんなに差が付くなんて、昔は思ってもみなかった。よく言われることだがTVで注目されて以降しばらくは志らくの方がずっと人気があった。先に真打ちになったのも志らくの方だった。芸道は長いレースで、先を走っていたはずが追いつかれたり追い抜かれたりすることは当たり前であるけれど、志らくと談春はやはり長く比較される二人だろうし、お互いが意識し合う二人でもあろうと思う。

 7年くらい前を最後に志らくの独演会には行っていない。志らくの落語は嫌いではないのだが、もう自分には特段必要のないものだと見切ってしまったのかな。自分の中では志らくは批評精神の人で、鼻っ柱の強さが若い頃には面白さだった。だが次第にその批評が、いま現在売れているものや志らくの趣味に合わないものへの批判としか思えなくなり、「結局面白いのは自分(というフィルターを通した談志)の落語でそれがわかるお客さんはエライ」に収束していくのは・・・あまり嬉しくない。これが志の輔なら、世間から取り込めるところは貪欲に取り込んでいくだろうし、談春なら売れているものや世の中に受け入れられているものにも、そこに学ぶべきところがあるのなら素直にリスペクトするだろう。以前志らくのマクラで、自分は基本人見知りなので宴席でもなじめない。アッチ(談春)は年長者の懐に飛び込むのが上手いから可愛がられる・・・と云うようなことを聞いた記憶がある。どうも志らくは自分から世間を狭くしている気がして仕方ない。弟子は多いのに。

 今日は立川流夜席は仲入りなしのほぼ志らく一門会。主任のこしらは志らくの総領弟子だが、自分はあんまり回数を見ていない。どちらかというと弟弟子の志ら乃の方を回数見ている。この二人は協会の落語家なら可龍や龍玉あたりと同じくらいになるのだろうか。

 受付に座っていた女性が一門の志ら鈴だったのかな? 渋谷らくごなどサブカル人気が高いらしいこしら主任のためか、30人程度の客のほぼ半分は女性。前座も志らく一門からのようだが、遅れて入場したためわからず。背の高い今風の若者だった。

●らく人「ちりとてちん」
 今日のお客さまはこしらファンでしょうということで、こしらが企画した田植えツアー(?)の話題をマクラで。若いのにえらいオーバーアクションな演じ方をするのでちょっとびっくりする。いや、オーバーアクションと云うより古風な芝居がかった感じ? ところどころ自分なりのくすぐりを入れて面白い所もあったのだが。

●らく兵「洒落小町」
 次の演者は兼業医師のらく朝だったのだが、嬉しい代演はこの人。客席もちょっと驚きつつあたたかい拍手で迎えていた。お帰り、よかったね!という感じ。マクラでは破門になってから八王子にある住職が落語好きな寺で修行の日々を過ごしていたという話を。ということは志らくもこの人をただ放逐しただけではなかったのだろうか。この人を辞めさせたと聞いたときにはなんと勿体ないことを!と思ったものだが。そして「洒落小町」ですか…途中に挟まれた談志の物まねは全く似ていなかったけれど。そしてガチャガチャのお松さん、まるでオンナとは思えなかったけれど(いくら大雑把でももう少し女性らしさを匂わせた方がいいんじゃなかろうか)。この人はさぞ男性ファンが多かろう。男が惚れる芸人になりそうだ。それだとまるで談春のようだが。とにかく復帰おめでとう!

●談慶「居酒屋」
 寄席でよく聞くのは文枝の新作「ぼやき酒屋」だが、これは古典落語でいいのかな? 言葉遊びの噺で、上方落語の感覚に近い。そしてこの噺を聞くと森田芳光の映画「のようなもの」を思い出す。

●コメディアン 寒空はだか
 今日はこの人が出るから仕事帰りに上京して来た。年に一度のはだかの日。以前市馬が「落語協会に入って寄席に出て欲しい」と云っていたが、後に出たこしらが云う通り「4回みるとネタが一巡する」と思う。自分には年に一度見るくらいがちょうどいい感じ。最近立川流の定席では主任がひとりだけ色物さんを呼べることになったらしく、こしらの熱望で呼んだとのこと。志の輔の会で初めてこの人を見た時、上岡龍太郎のところのテントを思い出したが、その後笑志の会にゲストで出たとき大阪の人に見せたら「関西にあんな芸人いない」と言っていた。バタヤンの「十九の春」の節にのせて尾崎豊の「十五の夜」を歌う際、ギターを高めに抱える(フリをする)のがポイントというのに笑ってしまいました。

●こしら「御神酒徳利」
 エスニック柄のタイシルクを無理矢理誂えたような変わった着物で登場。「(客席と)距離がありすぎますよね!」とマイクと高座を舞台の前に押し出す。少しはだかの話などしたあと、「今日は御神酒徳利やります!」と言い出して、いきなり帰宅した善六がおかみさんに相談するところからスタート。「待って! いま占うから!」とおかみさんもかなりヘンな占いマニア。普通の「御神酒徳利」からするといろいろ説明不足でもあるし、品川(神奈川ではなくて)の宿で善六の部屋を訪ねてくる女中に善六が関係を迫ったり、妙なところに付け加えもあるという不思議な落語。稽古つけてもらったというより、CDで聞いたのをうろ覚えで自分で面白く補完しながら話しているような。まあ改作というほど内容がズレてはいないけれど。惣領弟子のこの落語を志らくはどう思うのだろう。意外にこちらが抱いた感想は「やっぱり似てますね」だったりするのだが。

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